お金がわいて出た話 [★★]

[初出誌] 『未来小切手帳』、「小学四年生」19795月号、10頁、77コマ

[単行本]  『お金がわいて出た話』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第18巻」1980125日 初版第1刷発行、10頁、77コマ

[大全集] 『お金がわいて出た話』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 92010830日 初版第1刷発行、10頁、77コマ

 

【初出誌vs.大全集】

 タイトル『未来小切手帳』が『お金がわいて出た話』に変更

 

[梗概] 『少年ヨンデー』の発売日が今日であったので、のび太はママにこづかいの前借りを頼んだけれど、全くその願いを聞いてもらえなかったので、大騒ぎしていた。ドラえもんに「友だちみんなきょうよむんだよ。

 

 ぼくだけ、おくれた人間になるんだよ」と懸命に訴えるので、ひみつ道具『未来小切手帳』を出してくれた。この小切手帳に必要な金額をかいて、サインすれば、なんでも買えるものである。

 

 小切手の意味がよくわからないので、ママに尋ねると、「銀行に貯金のある人がいちいちおろしてこなくても、小切手をかけばうけとった人が銀行へ行ってお金にするのよ」と、懇切ていねいに説明してくれた。この話を聞いて、銀行に貯金のないのび太はドラえもんにだまされたと思った。

 

外に出る、ジャイアンとスネ夫が今月号は特におもしろいぞと言いながら、買ったばかりの雑誌を見せびらかしていた。のび太はだめで元々だと考え直して、本屋さんに百五十円と書いた小切手を思い切って手渡した。

 

買って帰ると、「お~い」と呼び止められたので、「やっぱりだめか」とあきらめると、主人から千五百円の小切手だから、おつりの千三百五十円を返してもらうことになった。

 

 前から買いたかった8000円もするスーパーカーの模型を注文すると、同じように手に入れることができた。小切手を使えば、何でも買えるので、「ぼくは世界一の金持ちだ」と大喜びし、「タリラリラ~ン」と有頂天になって歩いていると、ジャイアンやスネ夫に「とうとう本物のばかになったか」と思われてしまった。

 

小切手に「サラ サラ」と書いて、その二人に千円ずつのこづかいを与えている。しずちゃんには五万円を与え、「たりなかったらいつでもいってよ、えんりょなく」と伝えている。

 

 家に帰ると、車のセールスマンがママに車をすすめていたので、のび太は小切手を書いて、二、三台持ってきてよと、注文している。不動産会社へ電話して、大きな屋敷を一軒買いたいと頼み、ママには、世界一周旅行や自家用ヨットの話しをしている。

 

 ママは「おこづかいほしさのあまり、頭がおかしくなったんだわ」と確信し、ほしがっていたおこづかいをあげることにした。しばらくすると、のび太はママに、おこづかいの袋は空っぽだと言ってきた。さらに、のび郎おじさんからもらったこづかいの袋にも、一銭も入っていなかった。

 

 帰ってきたドラえもんに話しをすると、びっくりしたドラえもんは「ただで買い物できるわけないだろう」と叱りつけたあと、「それはきみが、これから手に入れるはずのお金を先に使っているんだぞ」と説明された。

 

 ドラえもんが計算すると、使った小切手の合計は「きみがサラリーマンになって四十三歳の夏のボーナスまで一円も入らないことになる」という額であった。のび太はそれを聞いて、「ギョエー」と絶叫して、後ろにぶっ倒れてしまった。

 

のび太は今日手に入れたものを全部持って、「うまいも話しってないもんだなあ」と口走って出掛けている。それに対して、ドラえもんは「品物を返して小切手をとりかえしてこいっ!!」とすごい剣幕で、怒鳴り散らしている。

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