野比家が無重力 [★★]

[初出誌] 『重力ちょうせつ機』、「小学四年生」197810月号、10頁、60コマ

[単行本]  『野比家が無重力』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第32巻」1985125日 初版第1刷発行、12頁、77コマ

[大全集] 『野比家が無重力』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 82010630日 初版第1刷発行、12頁、77コマ

 

[梗概] のび太は宇宙パイロットになるため、天井からロープをつるし、そのロープにからだを縛りつけて、無重力状態の訓練をしていた。ドラえもんがなんのためと質問すると、「火星着陸第一号をめざす」という返事であった。

 

 アメリカかソ連に先を越されるというと、「なんでもいいから一番のりをして歴史に名まえをのこすんだ!!」と言い張った。「とつぜんゆめみたいなことを思いついてカーッとのぼせるのがのび太くんのくせなんだ」とドラえもんはのび太の性格を十分承知していた。

 

 ドラえもんは「できるできないはべつとして、しょうらいに夢をもつのはさんせい」であるので、ひみつ道具『重力調節機』を出している。この機械は「無重力から地球の百倍の重力までを自由につくりだせる」ものである。

 

 重力を0.5Gに下げると、のび太は「ヒョイ ヒョイ」と体も軽くなって、いつもの倍ほど跳べるようになった。火星なみの0.38Gにして、のび太が跳び上がると、天井に「ガツン」とぶつかってしまった。

 

 重力をゼロにすると、「フワ フワ」と浮き上がり、自分のからだをコントロールできなくなってしまった。ドラえもんからひみつ道具『指はめロケット』を借り、ロケットのボタンを「カチ」と押し、「プシュ」と軽く吹かしながら向きを変えると、自由自在に飛び回ることができるようになった。

 

この機械の及ぶ範囲を設定したので、野比家の上空はず~っと無重力になった。しずちゃんがやってきたので、「お~い」と呼び掛けると、のび太は無重力空間からはみ出して、大地に墜落してしまった。

 

 しずちゃんを家の中に誘うと、無重力で上も下もない状態なので、なかなか馴れることができなくて、落ちつかない様子であった。のび太がジュースでも飲んでもらうため、栓を抜くと、空中に浮かんだ「ブヨン ブヨン」のかたまりを飲むことになった。

 

 しずちゃんは飲むことを遠慮していると、「ブヨン ブヨン」が服につきそうになったので、急いで逃げると、机に「ゴチーン」と衝突してしまった。

 

 のび太はトイレに行きたくなったので、トイレに狙いをつけるのが難しくて、おしっこをすると、水玉になって、のび太といっしょに部屋の中に漂いだした。

 

 しずちゃんからよらないで、「シッシッ」と言われたとき、のび太がオナラを「ボム」とすると、それが推進力になって、しずちゃんにぶつかりそうになったので、しずちゃんがサッと身をかわすと、のび太は「ダン」と天井に激突してしまった。

 

 のび太がおしっこまみれで、しかも、コントロールも効かないで、部屋の中を飛び続けるので、しずちゃんも最初は「こないでってのに!!」と叫びながら逃げ回っていた。

 

 しかし、危険を察知したしずちゃんが身近にあった「重力コントローラー」を投げつけると、「ガシャン」と壁と激突してしまった。のび太としずちゃんは無重力でなくなったので、空中に浮いていた物と同じように「ドサ ドサ」と畳の上に落下することになった。

 

 部屋の中は乱雑になってしまって、ママに片付けるように言われたが、のび太は「無重力になれちゃったら自分の体が重くて重くて」と、物を片付ける体力もない状態であった。

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