天井うらの宇宙戦争 [★★★]

[初出誌] 『スペース・ウォーズゲームセット』、「小学四年生」19789月号、20頁、109コマ

[単行本]  『天井うらの宇宙戦争』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第19巻」1980725日 初版第1刷発行、24頁、132コマ

[大全集] 『天井うらの宇宙戦争』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 82010630日 初版第1刷発行、24頁、132コマ

 

[梗概] ドラえもんが次から次へと新しいコンピューターゲームを出しても、のび太はすぐ全部クリアーして、あきてしまった。ドラえもんは非常に高いとっておきのひみつ道具『スペースウォーズ・ゲームセット』を最後に取り出した。

 

 のび太が白いロケットに飛び乗ると、「ピュルル・・」と小さくなって、コックピットにうまく座ることができた。ぶきっちょなのび太がロケットを運転すると、部屋の壁や窓に「ガツン ゴチン ドスン」と激突しまくるので、ドラえもんはプラネタリウムを出している。

 

 部屋が真っ暗になり、ドラえもんから「レーザー砲でうちおとせ」の命令がでたけれども、動きが速くて狙いが定まらなかった。敵のロケットが的に入ってきたので、「カチッ」とボタンを押すと、ロケットではなく、ドラえもんに「ジャ ジャ」と命中し、「ギャア」と絶叫をあげさせている。危なくてしょうがないので、ドラえもんはこの部屋から急いで退散しすることにした。

 

 のび太はコツがわかってきたので、次から次へと敵のロケットを打ち落とすことに成功している。突如、見たこともないロケットがあらわれ、のび太のロケットを「ガシャン」と打ち落としてしまった。

 

 打ち落とされたあとも執拗に攻撃してくるので、のび太は部屋にあったバットを持ちだし、見たこともないロケットやプラネタリウムを派手にぶっ壊してしまった。部屋に飛び込んできたドラえもんは「まだ月賦も終わっていないのに! バットでなぐるなんてむちゃだ! べんしょうしろ!」とかみついてきた。

 

 「ゲームセット」に入っていない壊されたロケットを手に取ると、なにかが「ポト」と落ち、豆粒みたいなロボットが「キー キー ピー ピー」と音を出し、「ピカ」と壁に立体映画を映し出した。

 

 

 「わたしはリリパット星のアーレ・オッカナ王女です。悪者のアカンベーダーにつかまっています。たすけてください。はやくたすけにきて。はやく…」といいながら消えていった。のび太は「映画のせんでんかしら」と思った。

 

 ロボットが「キー キー」と何か言っているので、「ホンヤクコンニャク」で聞くことにした。

 

 「ワタシR3-D3。アーレ姫ノケライ。アァンベーダーガ、リリパット星ヘ、セメテキタノデ、宇宙ヘ逃ゲタ。地球ノ近クデ、アカンベーダーニツカマッタ。ワタシダケボートデ逃ゲタ。サバクノ中ニ着陸シタ。……。トコロガ、カレラノ基地ヘツレテイカレル途中…、コノ家ニマヨイコンデ、バットデナグラレタトイウワケ」という内容であった。

 

 のび太は『スターウォーズ』そっくりだと思った。助けを求められたが、「悪いけどほかをさがして」と頼んでいる。R3は「アカンベーダーハ地球ニ基地ヲ造ッテル。

 

 地球ヲセイフクスルタメニ」と訴えるので、のび太がR3とボートをさばくにさがしに行くため、「どこでもドア」を使うと、さばくとは公園の砂場であることがわかった。子どもたちがボートをボールのように蹴って遊んでいたので、「メッ」と注意して、手に入れた。

 

 ドラえもんがドライバーでボートの修理を終えたので、ひみつ道具『ガリバートンネル』を通って小さくなり、ボートに乗ってアカンベーダーの基地へ乗り込むことにした。

 

 のび太は基地はアマゾンの原始林か、バミューダトライアングルか、と胸をわくわくしながら探していると、意外や意外、ジャイアンの家の天井裏であると判明した。

 

のび太はアカンベーダーより、ジャイアンが怖いので、帰ると言い出した。すると、のび太とR3の間で、「帰る」と「ダメ」の押し問答が続いた。ドラえもんの「おちつけよ。ジャイアンは、野球にでかけてるはずだ」とのアドバイスで、アカンベーダーに気づかれないで、真っ暗な天井裏に入っていった。

 

 明かりに照らし出されて、天井裏が改造されて、お城になっていることが確認され、見張りが厳重でうっかり近づくこともできないほどの状況であった。R3が「見ツカッタラオシマイデス。二度ト生キテハ帰レナイデショウ」と脅すので、のび太は「宿題が気がかりだ」と言いながら、帰ろうとすると、なにかにつまずいて「ワッ」と声を上げてしまった。

 

 「動くな!!」と見張りに怒鳴られたとき、「ウ~ッ ウ~ッ ウ~ッ」と何度も警報機が鳴り出したので、天井のすき間からすべてのロケットがどこかに出動してしまった。

 

 空っぽになったすきにアーレ姫を監禁された部屋から助け出すことができた。アカンベーダーが帰る前に逃げ出すことにした。アカンベーダー一行は食事に出掛けていたことが判明した。そのため、ジャイアンのかあちゃんは「また! ご飯のしたくするたびに、だれかが食べちゃう、ネズミの団体かしら」と猛烈に腹を立てていた。

 

 食事からもどると、アーレ姫がいないので、アカンベーダーは全軍に出動を命じている。多くのロケットが追跡してきたけれども、のび太はゲームで鍛えた腕前をフルに発揮して、「カチ ビビビ ジャーッ ジャーッ」と次から次へと撃墜していった。

 

 敵を撃ち落とすと、「ゴゴゴゴ…」と巨大な母船が追撃してきた。のび太たちは「だめだっ、いくらうってもこたえない。ぐんぐんおいついてくるぞ。たすけてえ」と逃げたが、絶体絶命のピンチに陥ってしまった。

 

 そのとき、ジャイアンの打ったホームランが母船を「ズガガン」と粉砕してしまった。アーレ姫は「おおっ、地球ノミサイルはすばらしい!!」と感嘆の声を上げている。

 

 ジャイアンは「おれのホームランでなにかおちてきたぞ。ラジコンかな…」、かたわらのスネ夫も「かなり高級なももんだぞ。こりゃ高いょお」と言いながら、二人は持ち主が来る前に逃げ出そうとしていた。

 

そこへ、ボートが近づいて、アーレ姫が「おかげで、宇宙の平和がまもられました。あなたがたのてがらにたいしくんしょうを…」わたそうとすると、二人は一目散に逃げて行ってしまった。その光景を見ていた、のび太は「いやにスケールの小さい宇宙戦争だったね」と、ドラえもんに語りかけている。

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