大むかし漂流記 [★★]

[初出誌] 『無題』、「小学四年生」19777月号、11頁、67コマ

[単行本]  『大むかし漂流記』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第17巻」1979725日 初版第1刷発行、15頁、87コマ

[大全集] 『大むかし漂流記』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 72010428日 初版第1刷発行、15頁、87コマ

 

[梗概] ドラえもんとのび太は海の真ん中で、タイムマシンの出口を探してもなかなか見つからなかった。一億年前の人間のまだいない時代にきていたが、この大冒険を始める直前にポケットの大掃除をし、持っている機械の半分近くを修理に出したため、使えそうなひみつ道具は『タイムベルト』しか残っていなかった。

 

 このベルトはタイムマシンの一種であるが、海の真ん中の小さな島が二十世紀まで残っているとは、とうてい考えられなかった。このベルトは時間だけかわって、場所は動かないので、全く使い物にならなかった。

 

 のび太が「無責任だよ。ろくに用意もなしに、こんなとこへつれてきて」となじるので、ドラえもんも堪忍袋の緒が切れて、海の真ん中で「うるさあい」と思いっきり大きな声で怒鳴っている。

 

 ことの発端は、のび太が「大発見! 世界的ノーベル賞的大発見!」と、ドラえもんの部屋に飛び込んできたときからはじまった。のび太は学校のうらの崖で魚と貝の化石を発見したとき、すばらしい閃きが頭をよぎった。

 

のび太は見つけた場所が海から何十キロも離れており、そこに魚や貝がいたということは、はるか大昔、魚や貝は陸の生き物のはずだったと考えた。

 

「それが、なぜ今は海にすんでいるか。それはきょうみたいにあつい日に、海水浴かなんかにでかけて…。あんまり気もちよくて、そのまますみついたという…」という説を、のび太はウットリしながら、とうとうとドラえもんに話し聞かせた。

 

 この珍説を聞いて、ドラえもんは「ウヒャ ヒャ ヒャ ヒャ。ヒイ ヒイ」と笑い転げていた。そして、「一億年前、日本は大陸と陸つづきで…、関東地方の大部分は海の底だった」と説明すると、のび太は「陸がういたりしずんだりするかい」と猛烈に反論してきたので、ふたりはタイムマシンで一億年前の学校のうらやまに行くことにした。

 

 のび太がタイムマシンの出口から、飛び出ると、海に「ボチャン」と落ち、魚が泳ぐ海の中に「ゴボ ゴボ ゴボ」と沈んでいった。

 

 しかし、ドラえもんがゴムボートに引き上げてくれたので、ボートの上から見ると、この時代の海岸線ははるかなたに見ることができた。のび太は新学説もこれでおしまいだと、ガッカリしていたら、ドラえもんからしばらく遊んで行こうと誘われた。

 

 帰るときのタイムマシンの入口もわかるように、ちゃんとブイに浮かべて、上陸することになった。海も静かできれいであったので、魚の先祖をつかまえて帰ろうということになった。

 

釣り糸を垂らしていると、「ググッ」と大きな魚竜がかかり、「ザッバーン」と飛び跳ねたので、さおを離そうとしたら、糸がうでにからまり、岸からどんどん離れて、引っ張られることになった。そして何かにぶつかって冒頭の海の真ん中の小島に辿り着くことになった。

 

 のび太とドラえもんが「くるんじゃなかった…。このままうえ死にしたら…。一億年後に化石で発見されるかもね」と話し合っていた。のび太が「いっそひとおもいに…」と考えて海をのぞくと、何かきもち悪い目でギョロッとにらまれた。

 

 「キャッ ワッ」と大騒ぎしていると、島が動き出したので、のび太はひょっとして、島ではなく、図鑑で見たことのある大昔の巨大カメ、プロガノケリスとかアーケロンとかではないかと思い始めた。

 

 ドラえもんがこれは凶暴な肉食ガメであると確認すると、肉食ガメは「ゴボ ゴボッ ザア グァー」と獰猛な頭をもたげだした。首が短いから後ろに離れて、二人がとどかないところにいたら、「ゴボ… ゴボ ゴボ… ザバ ザバ」と水に潜りだした。

 

 ドラえもんが「あれっ、のび太くんは泳げなかったはずだけど」と声を掛けると、のび太は「そんなこと、気にしているばあいかっ!」と懸命に泳いでいた。ドラえもんが「タイムベルト! もとの世界へ!」と絶叫すると、巨大ガメに食われそうになっていた二人は「パッ パッ」と消えてしまった。

 

 二十世紀の海の底…と思っていたら、のび太の目の前に金魚が現れたので、立ち上がってみると、二人は「わあい、ここはもう陸地になったんだ!」と歓声を上げることになった。そこへ、スネ夫が走ってきて、「うちの池で泳ぐなっ」と怒鳴っていた。

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