人生やりなおし機 [★★★]

[初出誌] 『天才のび太』、「小学四年生」19774月号、15頁、110コマ

[単行本]  『人生やりなおし機』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第15巻」1978725日 初版第1刷発行、16頁、111コマ

[大全集] 『人生やりなおし機』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 72010428日 初版第1刷発行、16頁、111コマ

 

【初出誌vs.大全集】

 タイトル『天才のび太』が『人生やりなおし機』に変更

 「まあ、おりこうそうなぼっちゃん」、「ぼく字が書けるんだもん」コマ挿入[186(1)]

 

[梗概] のび太は小学四年生であったが、わが家へ遊びに来た四歳の子ばかりほめられるので、頭の中身はそのままで、四歳に戻りたいと、思ってしまった。そうすると、ドラえもんがひみつ道具『人生やりなおし機』を出してくれた。

 

  この機械はあのときこうすればよかったと思ったとき、昔へ戻って、もう一度新しく人生を生き直すことのできるものである。

 

 のび太がこの機械を装着して、四歳の時を「ピーッ ピーッ ピイ ピーッ」と選択すると、あっという間のその時代に戻った。

 

  小さい頃遊んだ近所の材木置き場に戻り、当時をなつかしく思い出していると、ちっちゃなジャイアンが「なにやってんだ」と現れ、スネ夫やしずちゃんもかくれんぼしているのに、おにがさがしにこないものであるから、不平を漏らしていた。

 

 のび太が「かわいい~」と言うと、ジャイアンは「ばかにちゅるな」とのび太の頭をなぐり、この頃から乱暴であった。しずちゃんが「よわいものいじめをしちゃだめっ」とたしなめたが、ジャイアンやスネ夫から「よわむちのび太やああい。のろまの、なきむちやあい」とバカにされた。

 

  しずちゃんがもっとおもしろいあそびをしようと言い出し、みんなで、自分の名前を書いてみることになった。のび太ひとり漢字で名前を書いたが、誰ひとり正しく書けるとは思っていなかった。

 

 通りかかったおとなの人に見てもらったところ、その人も「この字を? きみがかいたの?」ととても驚いていた。ジャイアンとスネ夫が「のび太のくせに、漢字をかけるなんて。なまいきだい。のび太のくせに。いじめるじょ」と手を上げてなぐろうとしたら、のび太がちょいと手をだしたら、二人は「ゴチン ズデン」と吹き飛ばされてしまった。

 

 「ウエ~ン」という泣き声が聞こえたので、おばあちゃんもママもてっきり、のび太が泣かされて帰ってきたものと思っていた。のびちゃんがジャイアンとスネ夫を泣かしたので、みんなはびっくりしている。

 

  ママはこんなお小言はじめてよと言いながら、「のびちゃん、あんまりらんぼうしちゃいけません」と注意し、おばあちゃんは「わんぱくでもいいたくましくそだっておくれ」と、顔をほころばせている。

 

 天才教育研究会の人が四歳の子どもが漢字を書けるということで、調査にいらした。漢字や算数などいろいろなテストで調べた結果、とても四歳になったばかりとは考えられないという結論になった。診断の結果、体力も知能も小学二年生程度と判定されたので、小学四年の当ののび太は「ガクン」ときてしまった。

 

 パパが帰ってくると、のび太は賞賛の的になり、おばあちゃんからは頭をなでなでしながら「ナムアミダブツ、ナミアミダブツ」と泣かれ、ママは「このぶんなら、まちがいなく、東大に入れるわ」、パパも「東大どころか、きっと大学者になるよ」とその夜の話題を独占した。

 

 のび太がひとりでおしっこに行くと、ドラえもんが出てきて、「たっぷりたのしんだろ。そろそろ帰ろう」と誘いに来た。

 

  のび太は「帰る? ばかいえ、せっかくみんなよろこんでるのに。ぼくはこのままおとなになるよ」と強く主張するので、ドラえもんは「こんな機械にたよるより、人間の中身をかえていかなきゃ」と説得しながら、その後ののび太をタイムテレビで見せている。

 

 小学校の一年の段階では、テストの結果はいつものように百点であるので、ママから見なくてもわかっていると言われている。のび太が授業が簡単すぎてつまんないというので、ママは先生に頼んで三年生ぐらいにあげてもらおうかしらと、真剣に考えている。

 

  野球に出掛けると、ジャイアンやのび太は「のび太くんがきてくれた。のび太がきたらこっちの勝ちだ」という通りになった。

 

 四年生になると、「ソロリ ソロリ」と部屋に入ろうとすると、ママから「のびちゃん。また0点取ったんでしょ。もっとお勉強しなさい」と叱られている。小学二年生なみの頭であるから、もうどうやっていいかわからなくて、チンプンカンプンの状況であった。この映像を見て、もう帰ると言いだしてもとの状態に戻ることにした。

 

 努力しなければ成功があり得ないことがわかったので、のび太は捻り鉢巻きをして机に向かい、「勉強して発明するんだ。勉強しなくても頭のよくなる機械を」と宣言した。それを聞いて、ドラえもんは「どうも、まだ、よくわかってないみたい」といった感想を漏らしている。

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