おそだアメ[★★]
[初出誌] 『おそだアメ』、「小学四年生」1975年11月号、8頁、57コマ
[単行本] 『おそだアメ』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第10巻」1976年4月25日 初版第1刷発行、9頁、62コマ
[大全集] 『おそだアメ』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 5」2010年1月30日 初版第1刷発行、9頁、62コマ
【初出誌vs.大全集】
「いかが?」、「えんりょなくかんそうをきかせてよ」コマ挿入[295(4)]
「え? なあにきこえないわ」、「パク パク パク」コマ挿入[295(5)]
「へえーなかなかいいじゃないママの歌」コマ挿入[295(8)]
「その夜、午前2時ごろ……」コマ挿入[297(7)]
「その夜、午前2時ごろ……」削除[113(5)]
「パンパカパーン」、「剛田武ヒットパレードはなやかにスタート!」コマ挿入[298(1)]
[梗概] のび太は「帰ったら、にらめっこの決勝戦をやる約束」だったが、ドラえもんがどこにもいないので昼寝をすることにした。すると、どこからともなく、「みんなであき地にあつまって、会議をひらくことになったのだ。…、この声は今から30分前に、しゃべったものだ」と流れてきた。
ドラえもんの報告によると、ジャイアンが久し振りにリサイタルを計画しているとのことであった。そのため、みんなで、なんとかはた迷惑なリサイタルを止めさせられないか、と相談しているところへジャイアンがやってきた。
ジャイアンに殴られ、そのうえ、脅されたので、「ジャイアンくんのリサイタル、楽しみだなあ」ということになった。そのため、明日三時間たっぷりのリサイタルを聞かされることになったので、ドラえもんも、「歌をやめさせる機械はないなあ…」とつぶやいて、意気消沈していた。
のび太がさっき部屋に流れてきた声について質問すると、ドラえもんはひみつ道具『おそだアメ』を使って、音のつたわりかたをおくらせたものであると、説明してくれた。一粒食べると、十分後に声が聞こえてくるものであった。
のび太はこの説明を聞いて、ジャイアンが歌う前になんとか20粒ほどのませることができれば、三時間以上たって、リサイタルが終わるまであの声が聞こえないということに気付いた。
「ジャイアン大いに歌う」というタイトルのリサイタル当日になった。スネ夫は耳栓をしてきたので、しずちゃんから「ばれたらころされるわよ」と指摘されている。いつものように、木の箱のステージにたったジャイアンは「ぼくの歌をききたくて、こんなにも大ぜい集まってくださった。お客さまは神さまです」とあいつした。
すると、ドラえもんとのび太が「よう、よう、まってました!」とエールを送ると、ジャイアンは涙を流して、「きみらは、ほんとうの芸術が、わかる人だ」とお礼を述べている。みんなは「チェッよけいなおせじなんかいっちゃって」ときわめて不興であった。
のび太が声のよくなるアメだといって、20粒ほど飲むといいよとすすめた。ジャイアンは20粒なんていわないで、全部いただきましょうと言って、「ザラザラー」と豪快に飲んでしまった。歌がはじまると、みんなは「頭を低くして、お腹に力を入れて、気を失わないように…」と準備を整えた。
すると、ジャイアンは、気持ちよさそうに歌ってるのに、みんなには何も聞こえなかったので、大喜びをして、テープや紙吹雪で歓迎し、「いいぞいいぞ」と大声援を送った。
その夜、午前2時ごろ……、「パンパカパーン 剛田武ヒットパレードはなやかにスタート! おいらがうたえばああ あの子もこの子もふりかえる」と町中に流れ出した。
町の人々は外に出て、「真夜中に三時間も大声でうたうなんて。あの声はジャイアンとかいうガキ大将ですよ。みんなでこうぎにいきましょう」という声が、野比家にも聞こえてきた。
[S0544・A1001・047511]