ジ~ンと感動する話[★★]

[初出誌] 『ジーンマイク』、「小学四年生」19756月号、10頁、75コマ

[単行本]  『ジ~ンと感動する話』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第9巻」19751125日 初版第1刷発行、11頁、78コマ

[大全集] 『ジ~ンと感動する話』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 52010130日 初版第1刷発行、11頁、78コマ

 

【初出誌vs.大全集】

 タイトル『ジーンマイク』が『ジ~ンと感動する話』に変更

 「じ~ん」コマ挿入[211(4)]

「わな わな」コマ挿入[211(6)]

「さあ、まとめて感動させるぞ!」コマ挿入[213(8)]

 

「桃口山枝がきてる」が「西条ひろみがきてる」に変更[214(4)]

「キャーひろみい、こっちむいてえ」、「サインしてえ」挿入[214(5)]

「じゃあね、山枝ちゃん」、「じゃあね、山枝ちゃん」が「じゃあね、ひろみくん」、「オッケー」に変更[215(2)]

 

「すてきい」、「しびれちゃう」、「キャー キャー キャー」コマ挿入[215(4)]

「ね! ね! のびちゃん、なんて感動的な歌かしら」コマ挿入[215(5)]

「心の底からジーンとなるわ。ウキーッ」コマ挿入[215(6)]

 

「なんだろうね、このさわぎ」、「ちょっとばかし、歌がよくて歌がうまいだけじゃないか」コマ挿入[215(7)]

「そうだ!」、「ぼくが今ここで、ジーンマイクをつかって歌えば……」コマ挿入[215(8)]

 

「あれ」、「とれない」、「どっかへひっかかったかな」コマ挿入[215(9)]

「じいん」が「じじじいん」に変更[216(1)]

「よしてよ、みっともない」が「よしてくれ、はずかしい」に変更[216(2)]

「あ、ぼくの大すきな歌だ」コマ削除[38(5)]

 

「青い海白い波彼のかみが風になびいて私のほほを」、「音符」コマ削除[38(6)]

「きみ!」、「まってください。ぼくはこういうものですが」コマ削除[39(1)]

「あの有名な作詞家の早川先生!!」、「きみの歌は、すばらしい! ぼくは心をうたれました」コマ削除[39(2)]

 

「きみ、サクラテレビの「星への階だん」という番組しってる? ぼくもしんさ員してるんだけど。どうだろうきみ、出てみない?」コマ削除[39(3)]

「ぼくならぜったいにスターになれるって」、「よかったね」コマ削除[39(4)]

 

[梗概]  先生が帰ろうとして教室をのぞくと、0点を取ったのび太がまだ教室に残っていた。先生が「0点とったのはざんねんなことだが、すぎたことばかりくよくよしたってしかたがないだろう。

 

  目が前向きについてるのは、なぜだと思う? 前へ前へと進むためだ! ふりかえらないで、つねにあすをめざしてがんばりなさい」と、「じいん」と感動する話をしてくださった。

 

 早速、下校時にあったしずちゃんたちにジーンと感動した、「目が前についているの話」をすると、「きまってるわ、うしろについてたらかみの毛がじゃまだもの」、「ばかみたい」という反応だった。スネ夫に話しても、「じゅくへ行くんだよ。なぞなぞなんかやってるひまはない」と腹を立てられてしまった。

 

 家に帰って、のび太の「テストの答案をみせる前にはなしがあります。なぜ目がついているかというと…」に対して、ママから「答案をみるためです。はやくだしなさいっ」と言われ、さらに、「すぎたことふりかえるよりあすをめざして…」に対しては、「なんです、へりくつばっかり!」と怒鳴られてしまった。

 

 プリプリしたのび太が「せっかくいい話を聞いたのに、誰もまじめに聞いてくれない」と訴えるので、ドラえもんは、のび太がおこるのはもっともだと思いその話を聞くことにした。のび太が「あのね、目が前についてるのは前に進むためなんだよ」と話したので、ドラえもんは感動するどころか、「? ? ?」の連続だった。するといつものパターン、ドラえもんに背を向け、壁に向かい、「どうせぼくのいうことなんか…」と猛烈にすねだした。

 

ドラえもんは「そうやけになるなよと」声を掛けながら、聞く人の脳をゆさぶってジーンとさせるひみつ道具『ジーンマイク』を取り出した。のび太がこのマイクに「ほんとかなあ」とつぶやくと、「じじじじいん」と体にきたドラえもんは、「な、なんという感動的なことば! さすがのび太くん、いいこというなあ」と泣き崩れてしまった。

 

 「あそびにいってくるね」とママに告げると、ママは「わな わな」と震えだし、「なんてりっぱなことをいうんでしょ」と言いながら、「ギュ」とのび太を抱きしめることになった。広場に行くと、土管の上にジャイアンが座っていた。

 

  感動的な話をすると言うと、ジャイアンが笑って相手にしないので、「くびをかけてもいい!!」と宣言し、もっと多くの子どもたちを集めて話をすることになった。

 

みんなの前で話をしようとしたら肝心のマイクがないので、ジャイアンに「くびをよこせ!」と追い掛けられながら、落としたマイクを探していた。

 

みんなが自動車の「ブウ ブウ ブウ ブブウ」のクラクションに「じいん」と感動したので、そちらの方へ行くと小さな男の子が自動車の前で「ジーンマイク」を持って座っていた。マイクをもらって「まとめて感動させるぞ!」と叫んで、みんなの所へ帰ろうとすると、公園で西条ひろみがロケしているので、みんなは「ド ド ド ド」とそちらのほうへ走って行ってしまった。

 

 のび太も公園で見学しながら、「みんなにさわがれるって、いい気もちだろうな」とドラえもんに話し掛けていた。

 

  西条ひろみが「ふたりの午後に 海をみたいといったとき」と歌い出すと、見学者の「キャー キャーの」歓声が最高潮に達した。しずちゃんもドラえもんマンガ史上、最高の興奮振りであった。のび太のシャツを握って、「ね! ね! のびちゃん、なんて感動的な歌かしら。心の底からジーンとなるわ。ウキーッ」といったように。 

 

 のび太はこうした光景を見て、「そうだ! ぼくが今、ここでジーンマイクをつかってうたえば…」という心境になった。ジーンマイクを取り出そうとしたら、ズボンのポケットにひかかって、なかなか取り出すことができたかった。

 

  そうこうしているときオナラを「プウ~」としてしまった。すると、「じじじいん」と感動した見学者が涙を流しながら、のび太を追い掛けだした。

 

 コマの欄外では、ドラえもんの「ジーンマイク」に「じいん じいん」と感動した、ネズミがドラえもんを追い掛けている。

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