ハリ千本ノマス[★★]
[初出誌] 『無題』、「小学四年生」1975年4月号、8頁、58コマ
[単行本] 『ハリ千本ノマス』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第10巻」1976年4月25日 初版第1刷発行、9頁、58コマ
[大全集] 『ハリ千本ノマス』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 5」2010年1月30日 初版第1刷発行、9頁、58コマ
【初出誌vs.大全集】
タイトル『無題』が『ハリ千本ノマス』に変更
[梗概] のび太はドラえもんやママから、電話がかかっていると言われても、そんなでたらめに、ひかかるもんかと、猛烈に腹を立てていた。スネ夫から、切手のコレクションをやると言われても、ジャイアンから、ケーキが山ほどあるから取りにこいて誘われても、「べえだ!」と舌を出していた。
ドラえもんにはのび太の機嫌の悪いのがわかった。今日はエイプリルフールであり、毎年だまされて、みんなの笑いものになっているので、今年こそはだまされまいとしている結果であった。土管のある広場では、ジャイアンもスネ夫も、自分のウソにだまされて、のび太はのこのこやってくると確信していた。
しかし、しずちゃんは「がっかりさせるのはかわいそうよ。それより、びっくりさせといてあとでほっとさせるほうが、親切だわ」と、思いやりのあるところを披露していた。そして、「あたし、親切なうそついてあげよう」といって二人と別れている。
のび太は何を言っても信じないので、ドラえもんはこれからひとりごとをいうと宣言して、ひみつ道具『ハリ千本バッジ』の話を始めた。誰かにうそをつかれると、このバッジが鳴りだし、うそをついた人はそのことを、ほんとうにしなければいかなくなるひみつ道具である。
ドラえもんは「ひとりごと、終わり。うっかりバッジをおとしていこう」と言いながら、部屋を出て行った。
のび太は最初信じなかったが、バッジを付けて、ママにうそをついてと頼んでいる。「今月はおこづかい、千円よけいにあげます」といったウソをついてもらった。すると、バッジが「ノマスー」と叫び、ママは戸棚から千円を出して、のび太にこづかいを与えてくれることになった。
のび太が広場に来ると、ジャイアンもスネ夫も「さっきのこと、本気にしちゃって」というので、のび太は「さっきのことって何だっけ」と、とぼけて尋ねている。
すると、ジャイアンはケーキの話、スネ夫は集めた切手の話をするので、バッジが「ノマス!」と叫んだ。ふたりはわけもわからず、「ビュー」と走って、ケーキと切手を土管の上に座っているのび太に持ってきてくれた。
のび太がケーキと切手をもらった帰る途中、しずちゃんから「あんたの家が火事よ」と告げられた。すると、しずちゃんはわけもわからず、マッチでのび太の家に火をつけようと走り出した。のび太は真っ赤になって追いかけ、玄関前のドラえもんに対して、「わあやめてっ。ドラえもん、バッジをはずしてくれえ」と絶叫している。
[S0537・A1013・047504]