人間うつしはおそろしい[★★]
[初出誌] 『無題』、「小学四年生」1975年3月号、8頁、63コマ
[単行本] 『人間うつしはおそろしい』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第45巻」1996年5月25日 初版第1刷発行、8頁、63コマ
[大全集] 『人間うつしはおそろしい』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 4」2009年12月30日 初版第1刷発行、8頁、63コマ
【初出誌vs.大全集】
タイトル『無題』が『人間うつしはおそろしい』に変更
[梗概] 「勉強しようという意欲がぜんぜんない。めんどくさがりで、根気がなくてだらしない。注意力がたりない。いつもぼやっとしている。あやとりばかりやってないでスポーツもしなくては。
もっとあらゆることにやる気を起こさないとだめだ! と、先生はいったんでしょ、わかってんだ。いつもいわれているから」と長々と話したので、ママは顔を真っ赤にして、「だれのことだと思ってるの!」と怒鳴りつけ、いつもよりこっぴどく叱られることになった。
のび太が「今叱られながらつくづく考えた」と言いだしたので、その考えを質すと、「ぼくが人なみになるんじゃなくって、人をぼくなみにする、そんな道具はないの?」というものであった。
のび太は「世の中不公平なんだよ。同じ人間なのに、頭や体が強かったり弱かったり、こんなこと許せない」と訴えるので、ドラえもんはひみつ道具『人間うつし』を出し、のび太に口を大きく「あ~ん」と開けさせ、このばい菌を飲ませた。
ばい菌はのび太の中で増え、増えたばい菌は、汗になって流れ、汗が乾いて空気に混ざる。その空気を吸うと、「のび太病」にかかってきみそっくりになるというものである。
次の日になると、ママは「ごはん食べるの? めんどくさいなあ。…。どうせまたおなかがすくんだから、食べるだけむだじゃないかしら」というので、パパもママを食事をしないで出掛けることになった。ドラえもんはのび太病がうつらないようにばっちりマスクをしていた。
学校へは全員三十分ほど遅れ、先生も顔を赤らめて、遅れてごめんなさいと謝っている。算数の時間になると、昨日教えたばかりの問題が誰ひとり解けなかった。先生も黒板の問題を解くことができないので、子どもたちから、先生のできない問題ができるはずがありませんと言われている。、
のび太は「だあれもできないの。そのあとの授業もめちゃくちゃ。いやあ、世の中公平になったよ。これでくらしやすい社会ができるのだ」と満足して、ドラえもんに報告していた。
ドラえもんが腹がへって目がまわりそうだよと訴えたので、のび太も給食を食べなかったことに気づき、ママにたのもうとしたらどっかへ遊びにいってしまったいた。
外に出ると、スネ夫は犬に追い掛けられてドブに「ボチャ」と落ち、ジャイアンはあやとりをし、ママは女の子となわとびをし、「ごはんなんて作りかた忘れちゃった」とのび太そっくりになっていた。
のび太は自分のやり方がまちがっていたと反省したので、どのように反省したかを聞いてみると、「ぼくが考えたのは、ばい菌を先生に飲ませて、ぼくに先生をうつせば…」というものであった。そのため、ドラえもんは「ちっともわかっていない」と渋い顔をし、腕を組んで座っていた。
[S0448・A4512・047503]