名刀「電光丸」[★★★]

[初出誌] 『無題』、「小学四年生」19752月号、9頁、58コマ

[単行本]  『名刀「電光丸」』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第11巻」1976725日 初版第1刷発行、15頁、97コマ

[大全集] 『名刀「電光丸」』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 420091230日 初版第1刷発行、15頁、97コマ

 

[梗概]  巌流島の決闘で佐々木小次郎を倒した宮本武蔵が、ジャイアンのもっとも尊敬する歴史上の人物であった。彼に触発されてジャイアンは剣道を習い始めた。のび太はジャイアンが何かを習い始めると、試して見たがるので、相手にならないようにと「そろり そろり」と逃げ出そうとした。

 

 すると、ジャイアンから「人が話をしてるのに、かってに帰るとはなんだ。おれは気分をこわした。決とうを申しこむぞ!」と言われた。その決闘の時刻は午後四時、場所はいつもの空き地を指定された。

 

その話を聞いたドラえもんはひみつ道具『名刀「電光丸」』を取り出した。この電光丸は襲ってくる敵の動きを組み込まれたレーダーがキャッチし、自動的に相手を倒すものである。

 

この刀を使えば、かならず相手に勝つことができるが、問題は相手に向かっていく勇気があるかどうかにかかっていた。のび太は勇気がないというので、タイムマシンに乗って、宮本武蔵と小次郎の決闘を見て、それを参考するために出掛けた。

 

 のび太がタイムマシンに乗っているとき、「こわいこわい」とビビッたので、タイムマシンは時代も場所もくるって到着してしまった。そこでは、ひとりの豪傑が拙者の顔を見て笑ったと、ひとりの若者をいじめていた。のび太もおもしろい顔なので、「ゲラ ガラ」と笑うと、その豪傑が鉄の棒を振りかざして追いかけてきた。

 

 のび太が逃げる途中、「ステン」と転んでしまい、豪傑が鉄の棒で襲ってきた。この時、のび太が「電光丸」を抜いて戦うと、あっという間にもの見事に豪傑を倒してしまった。

 

 これでジャイアンにも勝てる見込みがついたので、帰ろうとしていたとき、先ほどいじめられていた若者が弟子にしてくださいとついてきた。

 

 その若者は日本一の武芸者になりたいと思っていたが、生まれつき気が弱く、本物の刀を見るとすくんでしまい、みんなからばかにされていると泣きながら訴えた。ドラえもんとのび太はジャイアンの決闘があるので、かまわないで帰ろうとすると、若者は執拗についてきた。

 

 とても逃げられそうもなかったので、本当のことを話して謝るとこにした。のび太がさっき、豪傑に勝ったのはこの刀のおかげであると白状した。その若者が刀を手にとって、「まさか! うそでしょう。先生はじょうだんもおじょうずですな」と話していた。そのとき、豪傑が子分を四人したがえて、「ドドドド」と襲ってきた。

 

 ドラえもんや若者は懸命に逃げたが、電光丸をもった若者はレーダーによって、「いきたくないよお」と絶叫しながらも、豪傑たちに立ち向かうことになってしまった。豪傑が鉄の棒で「ドン」と大地を叩くと、その若者は「ヘタ ヘタ」と座り込んでしまった。

 

 しかし、いったん刀を「シャッ」と振り回すと、「ドピュッ ジャリーン ジャリン」となり、あっという間に豪傑をはじめ四人の手下をやっつけてしまった。

 

 若者は刀を掲げながら、「自信がついてきたでござる!」と言い、さらに、両手をついて「ご恩はおわすれませぬ。これから修行にはげんで強くなります」ときっぱり言い切っている。そして、「もうしおくれました。せっしゃ、宮本武蔵といいます。さらばでござる」と、その場を去って行った。

 

 タイムマシンで、のび太とドラえもんは「武蔵もはじめは弱かったんだね。自信がつくことはたいしたもんだ」という会話を交わして、帰ってきた。しかし、電光丸を持っていかれてしまったので、のび太はあれがないと勝てるわけがないと思い、あまり殴られないうちに、じょうずに負けようと言いながら、決闘の場所である空き地に向かった。

 

 ドラえもんは「さっきの自信はどうした! ここが武蔵とのび太の違いなんだな」と妙に納得してしまった。空き地に着くと、蛍光灯の下で、スネ夫が「ジャイアンならかぜひいて帰っちゃったよ」と親切に教えてくれた。

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