ゆめふうりん[★★]

[初出誌] 『無題』、「小学四年生」19727月号、12頁、88コマ

[単行本]  『ゆめふうりん』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第2巻」197491日 初版第1刷発行、12頁、90コマ

[大全集] 『ゆめふうりん』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 22009830日 初版第1刷発行、12頁、90コマ

 

【初出誌vs.大全集】

 タイトル『無題』が『ゆめふうりん』に変更

 「こらあ」、「そこにいるでっかいの!」、「ツカ ツカ」コマ挿入[43(6)]

「にいし」、「デカバカ川あ」コマ挿入[45(9)]

 

[梗概] パパがのび太に大人になったら何になるかと尋ねると、案に相違して、ガキ大将と答えたので、「トホホホ」と意気消沈して、ガックリきてしまった。

 

  ドラえもんがのび太と土管のある遊び場に行くと、ジャイアンが町内の子どもたちに「みんなあつまれえ」と号令をかけて、威張り散らしていた。それを見て、のび太はドラえもんにぼくもああなりたいと告げている。


 ジャイアンは一緒に楽しく遊ぼうじゃないかと提案しながら、一人ひとりにやりたい遊びを聞き出している。それに対して、スネ夫は野球、しずちゃんはゴムとび、のび太はあやとりをそれぞれ提案した。

 

  しかしながら、みんなの希望を聞いた後、最後にジャイアンがひとこと「すもう!!」と叫ぶと、みんなしぶしぶそれに従うことになっ

た。


 ジャイアンはニコニコしながら「そうかそうか。みんながやりたいからすもう大会をひらこう」と言いながら、優勝賞品になるおかしとか鉛筆とかノートを各人家から持ってくるようにと命令している。「ばからしいや。どうせジャイアンがとっちゃうんだ」とのび太には全部先が読めていた。

 

  のび太が家に帰って、寝転がりながら、「いいなあ、ガキ大将は」とつぶやくと、ドラえもんは「ガキ大将って、子どもがなるもんだよ」と話した。すると、「子どものうちになれないから、大人になってからなるんだ」と反論しながら、「グウ」と寝てしまった。ドラえもんはのび太の寝顔を見ながら、「お父さんのなげく気持ちわかる」ような気がした。


 のび太にガキ大将を経験させるため、ドラえもんはのび太を昼間から布団に寝かせ、真夜中に起こして、広場に連れ出している。ドラえもんはおもむろにひみつ道具『ゆめふうりん』を取り出し、「リーン リーン」となる風船を町内の「十歳ぐらいの子だけにきかせよう」とダイヤルを調整している。

 

  しばらくすると、しずちゃんは「スヤ」と寝息を立て、ジャイアンとスネ夫は鼻チョウチンを出して、眠ったまま起きて、残り三人の男の子とともに広場に集まってきた。


 のび太が「あちまれェ」と大声で命令すると、みんな「サササッ」とのび太の回りに集まった。ひとりジャイアンだけが集まらないので、「こらあ」と怒鳴って、耳を「ギュ」と引っ張ろうとした。すると、「カッ」と目を覚まそうとしたので、ドラえもんに本当に目を覚ましたらどうするんだと注意された。


 のび太がみんなに向かって、ボスのいうこときかないやつはと言い掛けると、かたわらのドラえもんがひみつ道具「おねしょ蛇口」を取り付けると加勢している。のび太があやとりをしたいと宣言したが、ジャイアンが一言おれすもうと寝ながらいうと、みんなすもうに賛成してしまった。

 

  寝ながらみんなバカにしていると、のび太が涙を出してドラえもんに訴えると、ドラえもんから寝ている相手なら勝てると言われたので、みんなに「賞品を持ってこい」と命じている。


 持ってきた賞品はみんなゴミばかりであったが、ドラえもんから「寝ぼけてんだよ、しょうがないさ」と言われたので、不承不承納得することにした。広場に土俵を書き、ドラえもんが行司になって、のび太山とデカバカ川がハッケヨイの掛け声で、取り組むと、のび太山はアッという間に突き出されて「コテン」と仰向けに倒れてしまった。

 

  次は、スネ夫に「ビタン」と投げ飛ばされ、しずちゃんにも「ヒョイ」と投げられてしまった。


 最後の小太りの男の子には、ドラえもんがのび太くんを負かしたら、おねしょ蛇口を付けると脅している。そして、ドラえもんは「のび太くんは一気にぶちかます。きみははじき飛ばされるいいな!」と念を押して、軍配をかえすと、「ダダッ」と突進したのび太は草につまずいて、相手と闘う前に「ビタン」と前に倒れてしまった。


 次の朝、登校中のび太の目の前で、男の子が「おもしろいゆめを見たよ。のび太くんとすもうをとってかったの」と話すと、スネ夫は「ぼくも見た」、そしてし、ずちゃんも「わたしも」と相槌を打っていた。
[S0231A0204047207]