おはなしバッジ[★★]
[初出誌] 『無題』、「小学四年生」1972年6月号、10頁、69コマ
[単行本] 『おはなしバッジ』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第3巻」1974年10月1日 初版第1刷発行、10頁、71コマ
[大全集] 『おはなしバッジ』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 2」2009年8月30日 初版第1刷発行、10頁、71コマ
【初出誌vs.単行本】
タイトル『無題』が『おはなしバッジ』に変更
「いぬが、宝のうまっている場所を、教えてくれるはずだ」、「そう、うまくいくかしら」コマ挿入[177(6)]
「もう、はなしがはじまってるんだよ」、「えっ、どんなはなしだろ」コマ挿入[179(8)]
【単行本vs.大全集】
「やあ、おじいさん。バッジを使って楽しんだね」が「やあ、バッジを使ってみた? おじいさん!」に変更[273(7)]
[梗概] のび太が昼寝をしていたら、セワシくんからの小包みが机の引き出しから「ドサッ」と届いた。小包みには、七冊の絵本形式のケースにひみつ道具『おはなしバッジ』が七個入っていた。
「おはなしバッジ」を付けると、おはなしの主人公と同じできごとが起きるという、最近売り出されたおもしろい商品である。「幼稚園ではやっていますから、おじいさんにぴったりでしょうという」、とても気になるセワシの手紙が入っていた。
ばかばかしかったが、ためしに「もも太郎」のバッジを付けると、岡山のおじさんからきびだんごが届いた。まさかと思って外に出ると、ジャイアンのおばさんが連れていた犬から、「クン クン」ときびだんごを求められ、引き連れていたサルそっくりのおばさんからも、強引にきびだんごを求められた。
スネ夫やはるお夫や安雄はジャイアンからシール、メンコ、ビー玉を取り上げられ、「あいつはおにだ!」と喚いていた。それを見て、半信半疑ののび太はジャイアンに直接、「みんなからとったものを、返してやれよ」と話すと、「ボカ ドスッ ガッ」と殴られてしまった。
すると、ジャイアンの苦手なおばさんがやってきて、のび太の前にジャイアンを座らせ、ジャイアンの頭を押さえながら強引に謝らせた。のび太には鬼の大将が謝っているように見えた。そして、鬼が宝物を差し出すように、奪ったものを全部返している。キジが出なかったと思ったら、おばさんはジャイアンのかあちゃんに洋服のきじを送っていた。
のび太の報告を聞いて感心したドラえもんは、「花さかじいさん」のバッジを付けてでかけている。さっきの犬が出てきて、「ワンワン」吠えるので、ドラえもんがシャベルで掘ると十円玉が出てきた。
それを木陰で見ていたジャイアンがポチに教えられて、穴を掘ると、犬の好物の骨が出てきた。真っ赤になって怒ったジャイアンに追い掛けられると、ドラえもんはゴミを燃やした灰の入った石油カンに、「ガン ガラ ガン」とつまずいてしまった。
花屋さんが自転車に花の入った箱を付けて乗っていたが、舞った灰で前が見えなくなり、なにかに「ドシン ズズ・・」と衝突して、ぶっ倒れてしまった。すると、あたり一面に花が咲いた。
のび太がなんのバッジかよく分からないバッジを付けて、往来を歩いていると、男の子がジャイアンにつかまって殴られていた。のび太が「おばさんにいってやろいってやろ」と遠くでわめいたので、その子は逃げることができた。
すると、「うちのかめ吉をたすけていただきまして…」と感謝された。かめ吉のママは喫茶「りゅうぐう」で働いていたので、ドラえもんと一緒に喫茶店でもてなしを受けることになった。目の前の大きな水槽を見ながら、「おとひめさまのごちそうに、たいやひらめのまいおどり」という文句がぴったりであった。
もう食べきれないほどの歓迎を受けたが、「まだよろしいじゃありません」といわれたが、「家で心配しているといけないので」と断ると、大きなおみやげの箱をもらうことができた。
「帰ってみたら、しらない人ばっかりだったりして」と噂しながら家につくと、ママから「どなた?」と言われてしまった。しかし、ママから「めがねが見あたらない」という話を聞いて、二人はホッとした。
「おじいさんになるかな?」とビクビク心配しながら、プレゼントの箱を開けると、中からりっぱなデコレーションケーキが出てきた。そこへ、机の引き出しから、突然、セワシが「やあ、おじいさん、バッジを使って楽しんだね」と手を差し出しながら現れた。
[S0230・A0317・047206]