のび太のおよめさん[★★★]

[初出誌] 『無題』、「小学四年生」19722月号、8頁、65コマ

[単行本]  『のび太のおよめさん』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第6巻」197511日 初版第1刷発行、10頁、68コマ

[大全集] 『のび太のおよめさん』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 12009729日 初版第1刷発行、10頁、70コマ

 

【初出誌vs.単行本】

 タイトル『無題』が『のび太のおよめさん』に変更

 「もうすぐ小学五年生!!」が「もう、りっぱな小学生」に変更[158(4)]

「あと二年ほどで中学か……」が「あとわずかで中学か……」に変更[159(1)]

「町のようすがすっかり変わってる」コマ挿入[161(7)]

 

  「おそいわねえ」、「おくさん、どこまで、さがしに行ったのかしら」コマ挿入 [163(9)]

「わかった? あれがノビスケ!」、「?」コマ挿入[165(8)]

 

【単行本vs.大全集】

 「もう、りっぱな小学生」が「もうすぐ小学五年生!!」に変更[628(4)]

「あとわずかで中学か……」が「あと二年ほどで、中学か……」に変更[629(1)]

「こらっ、やめろってば。キャーッ」、「あいたよ」コマ挿入[637(1)]

 

「静香ちゃんがお祝いにきてくださったのよ」が「しずちゃんがお祝いにきてくださったのよ」に変更[637(3)]

「のび太さん、おめでとう」コマ挿入[637(4)]

 

[梗概] のび太はみんなから「お誕生日おめでとう」と祝福された。赤ちゃんの写真を見ながら、「もうこんなに大きくなった」、「幼稚園に入ったと思ったら」、「もう、りっぱな小学生」、「あとわずかで中学か…」と話の輪がどんどん広がっていった。

 

 「大学を卒業したら、一人前のおとなだ」、「その次はおよめさんね」とまで話が発展した。ドラえもんが「だれかきてくれればだけど」と茶々を入れると、のび太は顔を真っ赤にして、腹を立てている。しかし、突然、「ぼくにだけおよめさんのきてがなかったら、どうしよう」と心配し出した。

 

  ドラえもんから「タイムマシン」でおよめさんを見にいったらと言われたが、最初は、「そ、そんな…、とてもぼくは…、はずかしい」と、行くことをためらっていたが、タイムマシンに乗って、二十五年後に行く決心をした。

 

 タイムマシンから降りると、わが家は公衆便所になっており、町の様子もすっかり変わっていた。おまわりさんに尋ねると、野比家は十年前に、マンションの十二階の六十八号室に引っ越ししたと教えてくれた。

 

  部屋の前で、ドラえもんが出してくれたひみつ道具『とうしめがね』で中をのぞいてみると、怖い顔した女の人が「クルッ」と振り返るのが見えた。

 

 部屋の外で、のび太は「グイッ」と女の人に腕をつかまれたので、思わず「二十五年前の源静香さん」と尋ねてしまった。すると、「ママにむかってなにをわかりきったこと」と言われてしまった。そして、部屋の中にいたスネ太郎のママの前で、「ほんとにうちのノビスケはわんぱくで」と頭を押さえつけられて、わびることになった。

 

 のび太は最初、チンプンカンプンであった。冷静になって、ノビスケがぼくとそっくりの顔であるということは、自分の息子であると確信できた。そのママがしずちゃんだあるということは、結婚している確固たる証拠であった。

 

  ばんざいと叫んで、しずちゃんに「しあわせえ! そうかきみだったのか」と語りかけると、「ママにむかって、きみとなんです」と思い切りほっぺを引っ張られてしまった。

 

 しずちゃんから「パパはあんなにのんびりした、おとなしい人なのに、おまえはどうしてきかんぼなの?」と、半分おしりを出して「ペチ ペチ」と思いっきりたたかれた。のび太が「わあ、なにするんだよ! やめてえ、ひとちがいだあ!」と叫んでいると、ノビスケが「ただいま」と言って帰ってきた。

 

ノビスケが「おまえだれだ! なにをしているんだっ!」と言い張るので、のび太は「ノビスケ! あまりらんぼうしちゃいかんぞ。勉強はちゃんとしてるかね」と威厳をもって諭すと、ノビスケのパンチを「ボカ」と顔面に受けることになった。

 

「ママ、こいつ宇宙人だよ。ぼくにばけて、この家をのっとる気なんだ。きっと!」と大声で訴えたあと、バットをもって追いかけてきた。

 

 タイムマシンの入り口が閉まっていたので、ノビスケに追いつかれて、バットで二人とも殴られることになった。タイムマシンで家に帰ると、しずちゃんがお祝いのケーキを持ってきてくれた。

 

  のび太は真っ赤な顔をして、テーブルの下で小さくなっていた。ママから、「どうしてそんなにはずかしがるのよ。おかしな子ね!」と、不思議に思って眺められていた。

 

 この作品の欄外には、のび太としずちゃんが夕日を浴びて、長い影を落としながら、幸せそうに手をつないで、歩いているシーンが描かれている。

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