勉強べやの大なだれ[★★]

[初出誌] 『無題』、「小学四年生」19721月号、12頁、77コマ

[単行本]  『勉強べやの大なだれ』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第2巻」197491日 初版第1刷発行、12頁、80コマ

[大全集] 『勉強べやの大なだれ』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 12009729日 初版第1刷発行、12頁、80コマ

 

【初出誌vs.大全集】

 タイトル『無題』が『勉強べやの大なだれ』に変更

 「さ、がんばって」、「やっこらしょ……」コマ挿入[159(1)]

 

「じゃ、なにかこの雪が冷たくて気ぶんが出れば」、「まじめに練習するのか?」、「ン……、まあね」コマ挿入[161(4)]

「ゴオオオ」、「ビュウ~」コマ挿入[163(10)]

 

[梗概] スネ夫が新しく買ったスキーを自慢すると、しずちゃんもジャイアンもすばらしいスキーを持っていると語り出した。しずちゃんからのび太さんはどんなスキーと問われたが、持っていないと答えると、スネ夫やジャイアンから滑れないもんだから、買わないんだと言われてしまった。

 

  心の中では「どうか、お父さんが買ってくれませんように」と祈りながら、二人に対しては、「買ってもらうぞ!!」と宣言してしまった。


 家でゴルフをしていたパパに、「スキーは高いもんね、買ってくれないよね」と三人の見ている前で、頼むことにした。案に相違して、パパは「自分でやる気になったとは感心だ」と言いながら、物置から「こんなこともあると思って、ちゃんと買っておいた」と、新品のスキーをのび太に差し出している。


 のび太が「雪がふらないとすべれないよ」とみんなに言い張ると、「まもなく雪がふるでしょう」とテレビから天気予報が流れてきた。みんながスキーができるとバンザイするので、のび太は家に入って、ドラえもんに「なんとかしてっ!、みんながころぶところを見ようと待っている」からと強引に頼んでいる。


 今すぐ練習をしたいと言い張るので、ドラえもんは部屋の中にひみつ道具『おざしきゲレンデ』を出している。ドラえもんは得意満面な笑みを浮かべて、ゲレンデであるベルトの上を巧みに滑り、「クルッ」とターンをするとベルトも向きを変え、スキーをストップするとベルトも止まるといったデモを次から次えと演じている。


 のび太がスキーでベルトの上にのると、「ツル」と転んで、「ゴロ ゴロ」と転がり、転がるスピードに合わせてベルトも動き出し、止まるとベルトも止まった。

 

  やめるというので、ドラえもんが「みんなの前ではじをかきたくないんだろ!」と注意すると、のび太は「はじはかきたくないけど、いたいのはもっといやだ」と言い、「こんなとこではばかばかしくてできない」と居直り出した。


 のび太は「見わたすかぎりの雪げしきがなくちゃ、すべるきになれないね」と言うので、ドラえもんは気分を出すため、立体映画でスキー場の臨場感を出している。びっくりするような雪景色の中で、のび太が滑り出すと、景色も動き出し、「ゴロ ゴロ」と転がると、雪煙りもちゃんと写った。

 

  うまく滑れないので、のび太は「雪が冷たくない」といちゃもんをつけ出した。「おざしきゲレンデ」のボタンを操作して寒くすると、寒いようと愚痴りだし、挙句の果て、「スキーなんかいやなんだよ」と泣きだす始末であった。


 堪忍袋の緒が切れたドラえもんは「そこがきみの悪いところだ!! なにかやってみて、うまくいかなくなるとすぐいやになってしまう! そんなことでは、いつまでたってもなにもできないよ」と心から叱りつけた。すると、のび太は「そんなにぼくのこと心配してくれたの!? うらんだりして悪かった、ごめんよ」と涙を流して謝っている。


 のび太は心を入れ替えて真剣に取り組んだので、少しは滑れるようになった。しかし、滑っていないドラえもんは「ブル ブル ガタ ガタ」と震え出し、ぼくは特別さむさによわいんだよと言いながら、寒さ調整ボタンを「カチッ」といじくった。

 

  どうも変なところをいじくったため、「ギューン ガクガク バリバリ ガガガ」とすごい音がし出し、「ビュー ゴオオ」と嵐になり、その上、「ゴゴー」と雪崩になり、二人とも流されてしまった。


  雪から顔を出すと、ドラえもんはどこにも見当たりません。のび太はわが家の六畳にいるはずなのに、「走っても走ってもドアがない」状態であった。「だれか! たすけてえ!!」と絶叫すると、一階からママがやってきて、「なにやってんの、あんたたち」と言われてしまった。

 

  その時、のび太は猛烈な速さで「おざしきゲレンデ」の上を走り、ドラえもんは押し入れから落下してきた布団の下で意識を失っていた。
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