うそつきかがみ[★★]

[初出誌] 『無題』、「小学四年生」19715月号、10頁、73コマ

[単行本]  『うそつきかがみ』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第2巻」197491日 初版第1刷発行、10頁、75コマ

[大全集] 『うそつきかがみ』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 12009729日 初版第1刷発行、10頁、75コマ

 

【初出誌vs.大全集】

 タイトル『無題』が『うそつきかがみ』に変更

 「見る目のないひとに、どんな美しいものをみせてもむだです。ぶたにしんじゅを見せるようなものです」コマ挿入[81(6)]

「さては!」コマ挿入[83(8)]

 

[梗概] ドラえもんが忘れていった鏡を、のび太が覗くと、「世界一の美男子じゃ、ないかしら」と思うほどハンサムに写っていた。さらに、その鏡が「あなたさまは、世界一なのです」としゃべってくれた。しかし、この鏡はひみつ道具『うそつきかがみ』であったので、ドラえもんは見ない方がよいといってどこかへ持っていってしまった。


 しばらくすると、「ガチャン」と大きな音がしたので行ってみると、なんと、ドラえもんが部屋の中でボウリングをして、ママの鏡台を割った音であることが分かった。ドラえもんがママから叱られて申し訳なさそうな顔をしていたので、のび太は例の鏡をママに貸したらと提案している。


 ママが鏡を覗き込むとウットリするほど美しく写り、鏡からも、「おくさまは、世界一の美人です」と言われたので、ルンルン気分で美容院へ出掛けていった。のび太も鏡の前で、「かがみよ、かがみ。世界中でいちばん美しいのは、だれかしら」と問い掛けると、鏡は「もちろん、あなたさま」と答えている。

 

  そんなこと今まで言われたことがなかったので、鏡にどうすればいいかを尋ねると、のび太のまゆ、口もと、かみ、目についてアドバイスをくれたので、その通りにすると、鏡から「おお これこそ理想的男性!!」と絶賛された。


 表情がこわれないうちに、ひみつ道具『マジックセメント』でママの割れた鏡台を直したドラえもんにその表情を見せると「なんて顔してんだ」と言われ、その上、「ばか!! かがみのおせじなんか、本気にして!!」と怒鳴られてしまった。

 

  のび太が鏡台を覗くとひどい顔になっていたので、真っ赤に怒ってボウリングの球を鏡台にぶつけて「ガチャ」と壊してしまった。


 ドラえもんが「うそつきかがみ」を返さないとひどいぞっと怒鳴って追い掛けてきたので、のび太は「ネズミ!」とうそをついて脅し、そのかがみを持って裏山に駈け登った。

 

  目の前の鏡から、「わたしは、いつもほんとのことしかもうしません。見る目のないひとに、どんな美しいものをみせてもむだです」と言われたので、しずちゃんにこの顔を見せに行こうと決心した。


 しずちゃんのママから、「バレーボールの練習にでかけてますけど」と言われ、帰りしなに「へんな顔してどうしたの、おなかでもこわしたの」と尋ねられてしまった。

 

  しずちゃんがバレーのボールを探しに来ると、目の前にのび太の残していった鏡があった。鏡から「あなたは美しい。でも、わたしのいうとおりにすれば、世界一になれます」と言われたので、そのとおりの顔を維持しながら、往来を歩いていた。

 

  すると、例の顔を維持し続けているのび太に出会い、お互いの顔を見合って、「ブヒャ ヒャ ヒャヒャ」と大笑いしてしまった。お互いに失礼だと言い合いながら、ひとりで鏡を見る方が楽しいと思った。


 夜になって、野比家の前では、町内のお母さんたちがうちの子はまだ帰らないと大騒ぎしていた。心配になったドラえもんが探しに出掛けると、みんな鏡の前でウットリした表情で、「あなたがた、みんな世界一」という言葉に聞き惚れていた。

 

タケコプターを使ったドラえもんが「サッ」その鏡を奪い、「ちょうしのいいことばっかりいってひとをだまして!! こわしてやる」と怒鳴りつけたので、鏡は謝って猛反省していた。

 

家に帰ったのび太が「かがみ、かがみ」と呟きながら鏡を覗き込むと、のび太の顔はピカソの絵のようになっており、鏡から「あなたは、ほんとうはこんな顔です」と言われてしまった。
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