好きでたまらニャい[★★★]

[初出誌] 『無題』、「小学四年生」19712月号、14頁、108コマ

[単行本]  『好きでたまらニャい』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第7巻」1975525日 初版第1刷発行、14頁、110コマ

[大全集] 『好きでたまらニャい』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 12009729日 初版第1刷発行、14頁、110コマ

 

【初出誌vs.単行本】

 タイトル『無題』が『好きでたまらニャい』に変更

 「自分ほどすぐれたロボットが、この世にいるものか、と」コマ挿入[53(8)]

「ちょ、ちょっと! るす番てだれのこと?」、「もちろんあなたよ。なんでもしてくれるっていったでしょ」コマ挿入[55(9)]

 

【単行本vs.大全集】

 「ぼくは科学文明の、21世紀からきたんだぞ」が「ぼくは科学文明の二十二世紀からきたんだぞ」に変更[265(2)]

 

[梗概] ドラえもんは「ポヤ~ン」とし、昼間からゴロゴロし、食欲はあるが、機械的に食べ物を口に流し込んでいた。部屋でボール紙のつけ耳をしているので、のび太が大きなシルエットを見たとき、「ギャッ、ばけネコ」と思わず叫んでしまった。

 

  ドラえもんが悩んでいるというのを聞いて、のび太はひっくり返って、「ウヒ ウヒウヒ ゲシ ゲシシ ドヒャヒャ」と大わらいしてしまった。

 

 腹を立てたドラえもんは庭の塀の前に行って、のび太に背を向け、頭を垂れてしまった。のび太の恒例の抗議パターンをされたので、のび太も真剣になり、悩みは何であるかと聞き出している。

 

  すると、顔を赤らめて、好きなネコができたと告白したので、思わずのび太は両手で「ク。ウ、ウ」と口を押さえて、笑いをこらえるのに苦労していた。

 

 ひとりでくよくよしても、しょうがないので、のび太は外にドラえもんを連れ出している。ドラえもんが突然、「ドキン」と驚愕し、「ドキ ドキ ドキ ブル ブル ガタ ガタ」としだしたので、のび太が屋根の上を見ると、ドラえもんの大好きな白いネコが昼寝をしていた。

 

  「てれるがらじゃないだろ」と背中を押すと、ドラえもんは電柱をよじ登って、白いネコのところへ行く途中、「ツルン」と滑って、「ゴロ ゴロ ドテン」と地面に墜落してしまった。二度目に屋根の上に上がって、「ニャ、ニャニャニャゴ…」と焦ってしゃべると、白いネコにじっと見つめられてしまった。

 

 ドラえもんはなにを言わずに、家に一目散で帰ってしまった。大きなヤスリやトンカチを使って、自分を痛みつけるので、理由を聞いてみると、「あけましておめでとう。きょうは中ぐらいのお天気ですね…」と、とりとめのないことを焦って、しゃべったと言いだした。

 

 すると、じいっと顔を見つめるので、「デブはいやだって。風船みたいな顔は、きらいだって」と思われたような気がしたとのび太に語っている。

 

 ドラえもんは「ぼくはもう、こわれてしまいたい」と泣きじゃくるので、のび太は「男だろ! どうして見かけにばっかりこだわるんだ。人間のねうちは中みだぞ」と励ました。

 

 「たとえひと目見てふき出すような顔でも…。ふた目と見られない顔でも、はじることはない」と、エスカレートしたので、ドラえもんも「それほどでもないぞっ」と反論している。

 

 のび太は本格的に恋のコーチを開始した。まず、最初に、きっかけをつかむため、かつお節をプレゼントする作戦を考えた。次に、なにかおもしろい話をして、相手を引きつける作戦を考え、二人で練習することになった。

 

 二人が「きょ、きょ、きょうは、中の上くらいのお天気ですね。天気なんか、どうでもいい;公害についてですね。もっと夢のある話を;ドラやきを100こ食べたゆめを見てね」と、いつまでたってもすきだという言葉が出てこなかった。のび太はだめだこりゃという気持ちになってしまった。

 

 ドラえもんがダイナマイトをだして火をつけようとしたので、のび太は急きょ、「話なんか、どうでもいいさ。口先よりま心だ」と作戦を変えた。のび太は「いちばんいけないのはじぶんなんかだめだと思いこむことだよ。自信を持て! ぼくは世界一だと! 自分ほどすぐれたロボットが、この世にいるものか」と叱咤激励した。

 

 すると、ドラえもんも「世界一とはいわないけど、ネコ型ロボットとしては、二番目か三番目だな。そうだ! ぼくは科学文明の、22世紀からきたんだぞ」と自信を持って、外に出かけることにした。

 

 ドラえもんがかつお節のプレゼントを、左手に持って意気揚々と歩いていたが、スネ夫から「ようどこへ行くんだウスラデブ!」と言われて、「だめ…、とてもだめ」と路上で泣き崩れてしまった。きりがないので、手っ取り早くしずちゃんを恋の相手とみなして、のび太はドラえもんに見本を見せることにした。

 

のび太がしずちゃんに会うなり、「ぼく、野比のび太というものだけど。知ってるわ;ぼくと友だちになってよ。もともと、友だちじゃない;な、かんたんだろ。なんの話よ」と展開した。

 

「これ、ほんのつまんないものだけど。まあ。どうもありがとう;というぐあいにきがるになにげなくわたすのがこつだ」とプレゼント作戦を展開し、最後に、「きみってすばらしいよ。あたまもいいしきれいだし。あら。そんなこと…;と、まあ、おせじのひとつもわすれずに」と締めくくった。

 

 そのため、しずちゃんが怒って家の中に入ろうとしたので、のび太はしずちゃんの手をギュッと握って「ぼくはいつも思ってる…。きみのためならどんなことでもしてあげたい」と話した。

 

 すると、しずちゃんはのび太に留守番を頼んで、スネ夫と一緒にスケートに出掛けていってしまった。ドラえもんから「それからどうするの?」と尋ねられたが、「うるさい! ひとりで考えろ」と怒って家に帰ってしまった。

 

 ドラえもんは「無責任だなあ」と思いながら、左手にカツオブシのプレゼントを持って、屋根の上で愛する白いネコに会った。何か言いたいことがあって、オタオタしていたが。思い切って、「友だちになって下さい」と告白すると、あっさり「いいわよ」という返事をもらうことができた。

 

 その後、野比家の屋根の上で、「フニヤーゴ。ニャゴ」と楽しげに、しかも、にぎやかに語り合っていたら、家に帰っていたのび太から「うるさい。うるさあい!」と怒鳴られてしまった。

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