タイムふろしき[★★]

[初出誌] 『無題』、「小学四年生」197012月号、14頁、95コマ

[単行本]  『タイムふろしき』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第2巻」197491日 初版第1刷発行、14頁、97コマ

[大全集] 『タイムふろしき』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 12009729日 初版第1刷発行、14頁、97コマ

 

【初出誌vs.大全集】

 タイトル『無題』が『タイムふろしき』に変更

 「フワリ」コマ挿入[95(7)]

「うるさいわね。なんざます!!」コマ挿入[97(8)]

 

[梗概 野比家の古い白黒テレビは「ビ~ ガ~ ザザー ジャー ザピー」と雑音を出し、完全に壊れて見えなくなってしまった。のび太がママに「このチャンスにカラーに買いかえましょう」と洗濯中のママに語りかけた。

 

  しかし、ママが手刀でテレビを約60度の角度から殴ると「ピタ」と故障が直って、再度テレビが映りだした。ママは「カラーはもっと値下げしてから」と言い残して部屋を出ていった。


 再度、テレビが故障したので、ママのところへ行くと、ママは洗濯機、パパはカメラを買い換えようと言い争っていた。当分無理だということが分かったので、ドラえもんはひみつ道具『タイムふろしき』を取り出している。このふろしきでテレビや洗濯機やカメラを包むと、昔の状態にかえり、新品同様にすることができた。


 ドラえもんとのび太は古いものをもらって、このふろしきで新品にして商売を始めることにした。のび太はしずちゃんの家に行って、古いものをいただき「おありがとう」とお礼を言っている。ドラえもんはスネ夫の家で「くず~いおはらい」といいながら、廃品を回収している。

 

  スネ夫から「なにすんだ」と尋ねられたが、「スネ夫くんはずるいから、教えられない。タイムふろしきで、新品にして売るんだ、なんて教えたら、きっと横取りするだろう。だから、教えない」とペラペラしゃべって帰っている。


 ドラえもんとのび太が古いものをもっと集めている間に、スネ夫は木にかけてあった「タイムふろしき」をちょっと借りて、ジャイアンの家で古いものを集め出した。最初は秘密にしていたが、ジャイアンに両手で首を絞められたのですべてを白状している。


 ジャイアンは町内の子どもたちを集めて、古いものを持ってこさせている。ジャイアンが「もう、こづかいに不自由しないぞ。ムシシ」とほくそ笑んでいると、突然かあちゃんに「ギュ」と耳をつかまれ、「お店の手つだいすっぱかして、なにやってんだよ」と言われながら、「ズルズル」と引っ張られている。

 

  「みのがしてくれたら、一万円やるぜ」と話すと、「ねぼけんな」とビンタをくらい、山田さんのところへ、卵を届けなと命令されている。


 スネ夫から奪ったふろしきで卵を包んで届けると、途中、卵がひよこにかえり、ジャイアンは往来で「ピヨ ピヨ ピヨ ピヨ」となく二十羽のヒヨコを追い掛けていた。

 

  一方、スネ夫が古いものをたくさん集めて戻ってくると、ジャイアンがいないので、「まぬけのウスノロの、よくばりの、トーヘンボク。ブツ、ブツ、ブツ、ブツ」と呟きながら探していた。

 

  風に「ピュウ」と吹かれて、「タイムふろしき」は「ヒラ ヒラ ヒラ」と空に舞いだしたので、スネ夫もドラえもんもそのふろしきに気づいて、一緒に追い駆けっこすることになった。


 そのふろしきは「フワ~ フワリ」と風に吹かれるので、なかなかつかまえることができなかった。たまたま走っている車をフワリと包んだので、パイプをくわえた藤本先生らしき運転手がオンボロな廃車に「キーッ!!」と金切り声を上げている。

 

  さらに、「ヒラ ヒラ」飛ばされて禿げたおじいさんの頭に「フワリ」と落ちて、「フサ フサ」とした髪を生やしている。同じように探していたジャイアンがふろしきを見つけて、「おれはもう、おまえをはなさないぞ」と、そのふろしきで体を包んだ。すると、ジャイアンは赤ちゃんになってふろしきの下で「オギャー、オギャー」と泣きだした。


 スネ夫が一足先にドラえもんより早くふろしきをつかんで、家に入ってしまった。玄関前で、ドラえもんがスネ夫のママに抗議しながら、ふろしきを返してもらおうとした。

 

  スネ夫のママは「人の物は返すざます」と言いながらも、すてきなふろしきであるとスネ夫から告げられると、「返す前に、一度使うざます」と言って、ワニ皮のバックを包んだ。すると、本物のワニになってしまい、「新しすぎるざますっ!!」と絶叫している。
[S0115A0209047012]