ああ、好き、好き、好き![★★★]

[初出誌] 『無題』、「小学四年生」19709月号、14頁、97コマ

[単行本]  『ああ、好き、好き、好き!』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第3巻」1974101日 初版第1刷発行、14頁、100コマ

[大全集] 『ああ、好き、好き、好き!』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 12009729日 初版第1刷発行、14頁、100コマ

 

【初出誌vs.大全集】

 タイトル『無題』が『ああ、好き、好き、好き!』に変更

 「タケコプターでにげろ!」が「ヘリトンボでにげろ!」に変更[118(2)]

 

「そんなこといわれたのはじめてだ!」「もっと、いって!」コマ挿入[120(3)]

「ヒョイ」コマ挿入[120(4)]

「文字なし」コマ挿入[123(3)]

 

[梗概]  のび太は一人部屋で大好きになった女の子への愛の告白の練習をしていた。恥ずかしさのあまり顔を両手で押さえていたら、ドラえもんが「ブヒャハハハ」と笑い転げ、なんのまねであるか執拗に聞いてきた。だが、のび太は「うるさい! ドラえもんなんかに関係ない!!」と怒鳴り散らしている。


 のび太が玄関を出ると、偶然その女の子に出会い、「ドキン」として、顔を真っ赤にして、「あ、あ、あの、あの、あの」とドモッている間に、彼女はどこかへ行ってしまった。

 

  のび太が正直に、二、三日前から、ぼた子の家にきている女の子で、友だちになりたいんだと白状すると、ドラえもんは「ジャジャーン」と言いながら、ひみつ道具『キューピッドの弓と矢』を出してくれた。


 試しに、飛んでいたスズメをこの弓で射ると、スズメは痛くもないし、傷もつかないうえ、うった人が好きになる道具である。当たったスズメはドラえもんに「チチチチッ」とチュウをし、「ヒョイ」と矢をぬくと、「ふん」と腹を立て、ドラえもんの頭に「ピチャ」とオシッコを垂らして飛んで行ってしまった。


  この矢を持って歩いていると、女の子がぼた子の玄関に入ろうとしていたので、早速、「ピュン」と射ると、女の子に当たらないで番犬に当たってしまった。すると、番犬にモテモテになり、のび太は顔を「ぺロリ ペロリ」と何度もなめられた。


 のび太がドラえもんの背に乗って、ぼた子の家をのぞいていると、突然、ぼた子からバケツに入った水を「バシャ」とかけられた。次に、ドラえもんの尻尾を引っ張ると姿を消すことができたので、姿を消してぼた子の家に入っていった。ぼた子と女の子が楽しく話をしていたので、ドラえもんはその話を聞くことにした。

 

ぼた子が「ちこくしたり、宿題忘れたり、いつも立たされている」とのび太の話をし、さらに、「おまけに、へんなロボットがついてんの。ノラえもんとかいう」としゃべるので、女の子も「まあけっさく、ノラえもんなんて」とほほ笑み、ぼた子が豪快に「ワハハハハ」と笑っていた。

 

「ノラえもん」ではなく、「ドラえもん!」と叫ぶと、ぼた子は「だれだ、いまどなったのは!」と凄むので、ドラえもんは「おっそろしい」と脅えて、女の子の読んでいた本を持って、玄関から逃げようとした。

 

 追いかけてきた女の子をめがけて、のび太が「ピャッ」と弓を引くと、ぼた子のお尻に当たってしまった。ぼた子が「ニコ ニコッ」とのび太を見つめたので、のび太は「ゾ~」とし、ぼた子に「えんりょなさらないで」と言われながらつかまってしまった。

 

  ドラえもんが矢を抜こうとしたら、「いやらしい! おしりにさわったりして」と咎められた上、「ズデン」と投げ飛ばされてしまった。


 のび太が執拗にぼた子に追いかけられるので、ドラえもんからタケコプターを受け取って窮地を出している。女の子がぼた子を呼びにきたので、狙いを定めて「ピョッ」と弓を射ると、カバのような男の人の鼻に「スポッ」と矢が入ってしまった。

 

  「ハクション」と大きなくしゃみをすると、その矢は近くにいたドラえもんに当たってしまった。ドラえもんが「オー オーオー」と叫びながら、カバのような男に近づき、「ニコ ニコ ニコッ」として、その男の肩に触っている。

 

  のび太が「やめろよ」とドラえもんに注意すると、蹴りを入れながら「うるさい、じゃまするな!」と怒鳴っていた。


 のび太がかろうじてドラえもんの頭に刺さっている矢を抜くことができた。再再度、目の前に女の子が現れたので、よっぽど近寄らないと、当たらないので、のび太は弓を持って「タ タ タ タ」と追いかけた。女の子が「ひとごろし」と叫んで逃げている時、のび太は先生につかまって弓を取り上げられてしまった。


面白そうな弓であったので、先生はアパートである「しあわせ荘」に帰って、

弓の練習をしていた。ドラえもんとのび太がアパートの前に来ると、「ドタ バタ」と中がとても騒々しかった。

 

  練習していた弓の矢がガス代の集金に来たおじさんに当たってしまった。「ぼくは、もう、あなたなしではいられないのです。どうか、どうか、ぼくのおよめさんになって」と訴えるガス代の集金人から、先生は逃げ回り、「だれかたすけてえ!」と絶叫する深刻な事態なっていた。

 

 ガス代の集金人の矢を引き抜いて、ドラえもんとのび太は公園を歩いていた。見込みもないので、のび太は思い切って、弓矢を捨ててしまった。すると、木陰のベンチに座っていた例の女の子に「コツン」と当たってしまった。

 

  のび太の顔を見ると、「どうかお友だちになって」と握手を求められてきた。のび太は信じられないと言いながら、右ほっぺを思いっきり引っ張っている。

 

 そこへ、アメリカへ転勤するパパが女の子を呼びにきた。がっかりしながら、家に帰ると、ねじり鉢巻きをしたぼた子が「すごおくうまいおかし、つくってやるからな」と料理の真っ最中であった。
[S0112A0312047009]