のぞきお化け[★★★]
[初出誌] 『無題』、「小学四年生」1970年8月号、15頁、111コマ
[単行本] 『のぞきお化け』、「藤子不二雄ランド ドラえもん短編第3巻」1984年8月10日 初版発行、15頁、113コマ
[大全集] 『のぞきお化け』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 1」2009年7月29日 初版第1刷発行、15頁、113コマ
【初出誌vs.大全集】
タイトル『無題』が『のぞきお化け』に変更
「ずいぶん集めたね」コマ挿入[59(8)]
「何、宿題を?」、「だれがやったんだっ」コマ挿入[61(8)]
[梗概] 最近のび太は昼寝していても、部屋に座っていても、階段を下りるときも、トイレに入っていても、誰かにジッと見つめられているような気がした。しかし、ママに相談してもまともに取り上げてくれません。
夏休みの宿題も全然手を付けていなかったので、ドラえもんに相談すると、セワシの宿題で忙しいと言われてしまった。セワシに抗議すると、五分間貸すと約束してくれた。ドラえもんは自由研究として、「小惑星イカルスの運行が地球の海面に及ぼす影響」を調べなさいと言い出す始末。
もっと簡単な課題がないかというと、アサガオの成長記録なんかどうかと提案して、セワシに呼ばれて、未来の世界へ帰ってしまった。
のび太は「ドラえもんなんか、あてにしないぞ」と決心して、机に座り、しばらく考えていたら、眠くなってしまった。天井から、「バサ」とのび太の行動を調べたメモが落ちてきたので、目覚めて、ドラえもんを大声で呼び寄せた。
ドラえもんにそのメモを見せると、ドラえもんは「その生活を見習ってためになるほどりっぱな人でもない」とつぶやきながら、不思議でしょうがなかった。
いるかいないかの確証はなかったが、ドラえもんは「のぞきお化け」を犯人と断定し、「警報機」、「何かが動くとひとりでにうつすカメラ」、「足跡の取れるスプレー」などで万全の警戒態勢を取った。
天井からは「アハハハ そんなしかけ役に立つもんか」と嘲笑された。警報は鳴り響き、写真も足跡もすべて家族のものばかりであった。
ドラえもんはのび太を外へ避難させ、金属の洗面器を頭に被り、手には自動小銃を持ち、畳には出刃包丁を突き刺して、お化けの襲来に備えた。アサガオの研究でもやっておけばと言いながら出掛けると、のぞきお化けが玄関にアサガオの種をまいてくれた。
しずちゃんは裏の沼でプランクトンを集め、スネ夫はジャガイモとトマトを一本の木に作ろうと栽培していた。のび太はスネ夫から夏休みの自由研究を尋ねられたので、口から出任せに、「アサガオにナスをならす」と言ってしまった。
スネ夫としずちゃんが是非見学したいというので、玄関まで連れてくると、アサガオにナスがなり、しかも、観察ノートも詳しく取ってあった。
家に帰ると、ドラえもんは「グウ」と寝ており、そのノートを見せると、無責任に「宿題お化け」がやってくれたと断言した。「ほかのものもやってくれるかしら。えんりょしないでたのもう」という二人の結論になったので、のぞきお化けは「調子に乗るな!」と叫んで、円盤で宇宙に帰ってしまった。
宇宙人が夏休みの自由研究発表会で、「地球人の生活を観察させてもらったお礼のつもりでしたが…」とプレゼンテーションすると、先生は「ほう地球人はそんなになまけものか」という感想を漏らした。
[S0111・I0306・047008]