高層マンション脱出大作戦[★★★]

[初出誌] 『高層マンション脱出大作戦』、「小学三年生」19901月号、10頁、70コマ

[大全集] 『高層マンション脱出大作戦』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 172012229日 初版第1刷発行、10頁、70コマ

 

【初出誌vs.大全集】

 「あす午後一時、ちゃんとてきくれるかな」が「明日午後一時、ちゃんと来てくれるかな」に変更[302(1)]

 

[梗概] ジャイアンらは土管のある広場で野球をしていた。ジャイアンはマナブくんという、まるでプロみたいな強打者に、あすの午後一時からの試合に是非出てもらいたかった。マナブくんから、土曜日は四時まで勉強の予定が入っているので、試合に出ることができないと断られたが、どうしても出てもらいたかった。

 

  ジャイアンが窓から脱出する作戦を話すと、マナブくんは十二階のマンションに住んでいることがわかった。のび太はジャイアンから、ジャイアンズの勝利がかかっているから、ドラえもんに頼んで何かいい道具を出してもらえと、強要されていた。

 

 ドラえもんから、「心配するな。脱出用の道具なら一杯あるから」と言われたので、早速、マナブくんのマンションへ行って、「ピンポーン」を押した。ママのガードが固くて、玄関から入れないので、「タケコプター」を使って窓から侵入した。

 

  予備の「タケコプター」や「どこでもドア」がなかったので、ドラえもんは『手ぶくろパラシュートお子さま用』を取り出し、左手にはめて、ベランダから飛び降りてもらった。マナブくんは目方がありすぎて、急速に落下してしまったので、「こんなあぶない道具はもういやだ!!」と拒絶されてしまった。

 

 次に、『ジャックの豆の木下半分』を出して、タネをまくと、根が伸びて、立派な非常梯子になった。マナブくんは高所恐怖症であったので、さらに、『タテヨコバッジ』を出し、建物のタテとヨコをひっくり返して、平らな地面を歩いているようにした。

 

  歩いている途中、ビルの住人から、「ビルあらしだ!! 110番へ電話しろ!!」と叫ばれたので、次の作戦を練ることになった。

 

 ドラえもんは『ミニサイズハングライダー』を出して、「よくとぶんだよ。つかいかたかんたん」と説得しても、マナブくんは「いやだ! もーいやだ!!」と言って梃子でも動かなかった。ドラえもんたちは明日ちゃんと来てくれることを祈って、マンションをあとにした。

 

 土曜日の午後になっても、来ないのでジャイアンは腹を立てていた。その時、マナブくんは「ハングライダー」を付け、思い切ってマンションから飛び出していた。

 

  ジャイアンが執拗に「もうまてねえ。おれがいくからなんか出せ!!」とドラえもんに要求するので、『物体交換クロス』を出し、ジャイアンを包んで、「マナブくんと入れかえ!」と叫んだ。すると、マナブくんが目の前に現れ、彼の大活躍で、ゲームに勝利することができた。

 

 「ハングライダー」に入れ代わったジャイアンは操縦も降り方もわからないので、ただ「おろしてくれぇ」と助けを求めながら、飛ぶだけだった。体にキズを負いながら着陸したところは、フクロウが「ホウホウ」と鳴く、山奥であった。

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