全体復元液[★★]
[初出誌] 『全体復元液』、「小学三年生」1989年11月号、10頁、68コマ
[単行本] 『全体復元液』、「てんとう虫コミックス ドラえもんプラス第2巻」2005年8月25日 初版第1刷発行、10頁、68コマ
[大全集] 『全体復元液』、「藤子・F・不二雄大全集 2」2012年4月30日 初版第1刷発行、10頁、68コマ
【初出誌vs.大全集】
変更なし
[梗概] 発見した化石はティラノサウルスの歯とか、ツメかもしれないと、出木杉はしずちゃんに話していたので、のび太は日本にティラノはいなかった、というのが常識であると反論した。
出木杉は理路整然と、恐竜界の大スターであるティラノの栄えた白亜紀の後半は日本列島の骨格が出来上がり、大陸と陸続きのところもあったので、ティラの仲間が日本に来ていてもおかしくないと説明した。そして、もっと完全な標本を見つけるんだと、しずちゃんに力説していた。
のび太も標本発掘を考えながら、家に帰ると、ドラえもんはお客さんのために買っておいたどら焼きを食べてしまったので、ママからひどく叱られていた。ドラえもんは『全体復元液』を出し、どら焼きのかけらにこの液をかけて、ちゃんとしたどら焼きにしていた。
この液をかければ、「小さなかけらさえあれば、もとのすがたにもどる」というひみつ道具である。この液で、破れたマンガ、壊れたおもちゃを復元することができた。
のび太は出木杉から借りた化石をわざと落とし、そのかけらに液をかけ、化石の発見現場である裏山にひみつ道具『ジェットモグラ』で穴を掘って埋めた。恐竜の化石を丸ごと掘り出す計画なので、時間もかかり、夕方堀りに来て、ノビタサウルスと名付けるんだと夢見ていた。
家に帰ると、ママから庭掃除を言いつけられた。落ち葉を掃き集めて、燃やそうとしたが、湿っていてなかなか燃えないので、カミクズと一緒に燃やすことになった。のび太は隠しておいた0点の答案を燃やすことにした。
燃やしているとパパから、カミクズの広告のチラシの裏に、大事なメモを書いておいたといった電話がママに入った。水で「ジャッ」と消したがあとの祭りであった。
しかし、のび太が「復原液」をかけるとすっかり元通りに戻すことができた。その中には、0点の答案も混じっており、ママに発見され、長時間にわたって、「ガミガミ ガミガミ」と説教されることになった。
化石を堀り出しに行く元気もなくなり、テレビを見ていると、「日本で初めての大型肉食恐竜の化石が発見されました。発見したのは小学生で…」と言ったニュースが流れ、出木杉がテレビに映っていた。泣いて悲しむのび太に、ドラえもんは「しかたないじゃない。もともと出木杉くんの化石なんだから」と慰めていた。
[S1729・B0212・038911]