野比家は三十階[★★]

[初出誌] 『高層マンション化エレベーター』、「小学三年生」19898月号、10頁、71コマ

[単行本]  『野比家は三十階』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第41巻」1990825日 初版第1刷発行、10頁、71コマ

[大全集] 『野比家は三十階』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 172012229日 初版第1刷発行、10頁、71コマ

 

【初出誌vs.大全集】

 変更なし

 

[梗概]  のび太の友だちが駅前の十五階建てのマンションメゾン・バベルトップにリハウスしてきたので、みんなで遊びに行くことになった。すごいながめの上、窓を開けっ放しにしておけるし、そよ風が入ってくるし、砂ぼこりや騒音も気にならない、その上、蚊やはえもこの高さまでは飛んでこないと、いいことずくめであった。

 

  スネ夫も「もっと高いマンションを買ってもらおう!!」とめずらしくとてもうらやましがっていた。

 

 家に帰ってマンションの話をすると、パパから「あのね、庭つきの家に住むのがいちばんいいんだ。人間は地面に足をつけていきるのが自然なのだから…」と言われる始末であった。ドラえもんは今はだめであるけれども、夜中の二時頃にこっそりためそうと言いながら、ひみつ道具『高層マンション化エレベーター』を出している。

 

  夜になると、ドラえもんはひみつ道具『亜空間コネクター』を出し、家が地面から離れても、電気やガス、水道など使えるように装着した。

 

 「エレベーター」をつけ、「カチ 三十階へ!」とボタンを押すと、「ゴトン スウ」と家が空にのぼっていき、三十階の高さで止まった。「昼なら、あのへんに富士山が見えてるはずだよ。ずっとこんなとこにくらしてると、心も広くなりそうだね」といった会話が続いた。

 

 玄関だけは、地上とつながっているので、真夜中におとなりの主人がまちがえて、「ドン ドン ドン」と玄関を叩くこともあった。エレベーターのボタンを押すと、家がゆっくり回転し、超高層展望台になった。

 

  二階で「ガタゴトゴト」と音がするので、行ってみるとドロボーが物色しており、ドラえもんの姿を見ると、窓から「ワー!!」と飛び下りたが、ドラえもんにパラシュートをつけてもらって無事であった。

 

 窓から隠しておいたテストの答案が飛び散り、見つかるだけは拾い集めたがあとはあきらめろとなった。ふたりで騒いでいるとママとパパが起きてきたので、ひみつ道具『グッスリガス』で「グウ…」と眠ってもらった。

 

 台風警報が出ていたので、風が強まり、「ミシ ミシ ビュウ グラ グラ ゴオ」と家が大揺れになった。のび太が「二十二世紀ではこんなときどうするの」との問いに、ドラえもんは「二十二世紀には台風なんか上陸する前に、消しちゃうんだ!!」と答えている。

 

  次の朝、野比家一家は「船で嵐にあったゆめをみて、すっかりよっちゃった。高いとこ、も~こりごり」と全員目を回して、愚痴っていた。

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