人間ブックカバー[★★]
[初出誌] 『人間ブックカバーでモーレツ読書』、「小学三年生」1982年4月号、9頁、62コマ
[単行本] 『人間ブックカバー』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第27巻」1983年4月25日 初版第1刷発行、9頁、62コマ
[大全集] 『人間ブックカバー』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 13」2011年4月30日 初版第1刷発行、9頁、62コマ
【初出誌vs.大全集】
タイトル『人間ブックカバーでモーレツ読書』が『人間ブックカバー』に変更
「みんなの中でマンガしかよまないものがいるらしいが」が「みんなの中でマンガしか読まない者がいるらしい」に変更[190(1)]
「えーっ、やだよ、本になるなんて」が「ええっ、やだよ、本になるなんて」に変更[194(2)]
[梗概] 学校で先生から、もっと活字に親しみ、童話とか小説とか、えらい人の伝記などを読んで感想文を書くように言われた。
のび太は字ばっかりの本をほとんど持っていないので、しずちゃんから『赤毛のアン』を借りてきて、読み出した。のび太はページをめくっただけで頭がズキンとして…、二、三行読むと目が回り始めて…、一ページも読まないうちにねむっちゃうので、ドラえもんにひみつ道具『人間ブックカバー』を出してもらっている。このブックカバーをかぶせると、人間が本になるというものである。
しずちゃんに頼んだも「いやあよ。本になるなんて…。ピアノのレッスンもあるし」と断られてしまった。のび太の頭に浮かんだ最適者は人間図書館みたいな出木杉である。
感想文のため本を読みたいというと、出木杉は『アンクルトムの小屋』、テグジュペリの『星の王子さま』、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』、『十五少年漂流記』をいろいろ紹介してくれた。本を貸してもらうのではなく、本になってもらいたいと頼むと「いやだ。いやだ」と徹底的に断られ、「たのみのつながきれた…」かに思われた。
そのとき、のび太は、出木杉がいっぺん未来の世界に行ってみたいと言っていたことを思い出した。
タイムマシンで未来の世界を紹介するとたいへん感動し、約束の「ブックカバー」をかぶって本になってもらい、出木杉は「十五少年漂流記」を語り出した。
「二週間もあらしにもまれ続けたスラーギ号は、帆もボートも波にさらわれ…。ようやく東の空が明るくなり陸がみえた。船は風におされ、まっしぐらに島へ進んだ。ガガガーン。船底があん礁にのりあげたぞ」と次から次へと災難が襲ってきた。
のび太が身を乗り出して、「それからどうした」と問いかけると、ママからお買い物を頼まれてしまった。
いまいいとこなのにと思っていると、ドラえもんが帰ってくるまで出木杉に「シオリ」をはさんでおいてくれた。
帰ってきてシオリをはずすと、「少年たちは川をくだる決心をし、船をこわしていかだを作った」、ドラえもんが「えらいなあ」と感想をもらすと、出木杉が「モジ モジ ソワ ソワ」しだしたので、トイレに行ってもらった。
トイレから戻ると、「二頭の大きな熊が、ジャックにせまる!!」、「七人の…悪…者が……銃を……」と声がかすれだしたので、のび太は続きが気になるので、本を借りて出木杉に帰ってもらうことにした。
机の前で熱心に本を読んでいるのび太を見て、ママは「夜ふかししちゃいけません!」と注意しているが、ドラえもんは「せっかく本のおもしろさがわかったところだから…」とやさしく弁護している。
[S1325・A2711・038204]