水は見ていた[★★]
[初出誌] 『水ビデオ』、「小学三年生」1981年11月号、9頁、65コマ
[単行本] 『水はみていた』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第26巻」1983年1月25日 初版第1刷発行、11頁、76コマ
[大全集] 『水は見ていた』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 12」2011年3月30日 初版第1刷発行、11頁、76コマ
【初出誌vs.大全集】
タイトル『水ビデオ』が『水はみていた』に変更
「がっかりだなあ」コマ挿入[294(1)]
「ずいぶん川幅が広くなった」、「まだ長い長い旅がつづいて……」、「やがて浄水場へ入る」コマ挿入[298(5)]
「この水がじょう水場からうちへきたんだよ」が「そうして水道管でうちへ来ていまここにあるんだ」に変更[299(1)]
「時間は………、二時間ほど前を見よう」コマ挿入[300(4)]
「アハハ、水たまりへふみこんだ」、「あと一本あるね」コマ挿入[301(3)]
「ちょうどわいたところらしいよ」コマ挿入[301(8)]
「(ハートマーク2個)!」コマ挿入[301(9)]
「見てないなんにも見ていない!!」コマ挿入[302(2)]
「見てほしいものがあるのよ」挿入[302(3)]
「さっき見たあの子が?」、「きっとそうだ!」、「お兄さんは、いまどこにいるのかしら」コマ挿入[302(7)]
「待てよ………」コマ挿入[302(8)]
「あの顔……、どこかで見たような」コマ挿入[302(9)]
「えっ、おやじが病気!?」、「すぐ帰ってあげて!!」コマ挿入[303(4)]
[梗概] のび太はお日さまの光をあびながら気持ちよくひるねをしようとしたら、いつものドカンのある広場で寝ている人に気づいた。真っ昼間からブラブラ…。なまけ者だなあと思いながら家に帰った。
ドラえもんは映画館へ水を取りに行って帰ってきたところであった。映画館の天井につるしておいたビンの水を、ひみつ道具『水ビデオ』に「ジャー」と入れている。
しばらくすると、「ジャン ジャカ ジャーン」の音楽とともに、『大魔境』の映画タイトルがビデオに現れたきた。二人でこの映画を楽しんだ後、この水をビンにしまっておけば何度も見ることができた。こうしてドラえもんの映画コレクションはこの作品で五本目となった。
のび太が水道の水をくんできたので、「水ビデオ」で見ると、水が雲だったころから次に、「ザアザア ザア」と雨になり、わき水になって、小さな流れになり、きれいな小川になり、人影が見えきた。
のび太がさらにクローズアップすると、なんだかさびしそうな子どもがささ舟をながしている姿を目にすることになった。その後、川幅も広くなり、長い長い旅を続けて、やがて浄水場に入っていった。
のび太は昼寝も忘れて熱中し、「どこでもドア」を使っていろんな場所の水を集めに出掛けた。最初に見た公園の水には、ドカンのある広場で昼寝をしていた人が寂しげな姿で映っていた。学校の横の小川ではジャイアンとスネ夫が釣りをし、しずちゃんが見学していたが、全く釣れないので、しずちゃんはアクビをしたり、つまらなそうな顔をしていた。
最後の水はしずちゃんとこのお風呂の水であった。ドラえもんは「なんてことを!! はずしらず!!」と激怒したが、のび太が「じゃ、すてるよ」というと、ドラえもんはすました顔をして「せっかくだから見よう」と、自ら「ジャボ ジャボ」と「水ビデオ」に入れている。
お風呂がちょうどわいたところであり、しずちゃんが浴室に入ろうとしたとき、突如、しずちゃんが「こんにちは」と現れたので、「ワッ! バシャ」とビデオをひっくり返し、何も聞かれないのに、びっしょりになって「みてないなんにもみてない!!」と平身低頭している。
しずちゃんが小川で拾ったささ舟に、「兄さん、大へんです。父さんが畑しごとのさい中にたおれました。……。兄さんの住所がわからないので、舟で手紙を流します」といった内容の手紙がのせてあった。
のび太は土管のある広場や公園にいた男の人は、ささ舟を流している子と兄弟であると思った。「どこでもドア」で出かけて、ドカンのある広場にいたその人に聞くと、遠い山の中にあって、おやじとけんかして三年前に家出したという話であった。おやじさんの病気の話をすると、ビックリしたので、ドラえもんは「どこでもドア」で弟さんの待っているふるさとに帰ってもらっている。
[S1233・A2613・038111]