ハツメイカーで大発明[★★★]

[初出誌] 『「ハツメイカー」で大発明』、「小学三年生」198110月号、20頁、135コマ

[単行本]  『ハツメイカーで大発明』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第30巻」1984425日 初版第1刷発行、21頁、144コマ

[大全集] 『ハツメイカーで大発明』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 122011330日 初版第1刷発行、21頁、144コマ

 

[梗概] のび太は両手を広げて、「ジャイアンやスネ夫にいじめられそうになったら、サササッとにげたいんだ。そんな道具をだしてよ」と懸命に訴えている。

 

 すると、ドラえもんが「そんな道具より、いじめられないようにしっかりしろよ。でないと、いつまでたってもいくじなしで、のろまで、みんなにばかにされて…」と説教を続けたので、両者の間ではげしいけんかになり、ドラえもんは「タイムマシン」で未来の世界へ帰って行ってしまった。

 

 のび太が外に出ると、ジャイアンとスネ夫が追いかけてきたので、おちおち外にも出られないと思って家に帰ると、ドラミちゃんがきていた。のび太がションボリしていると、ドラミちゃんはひみつ道具『ハツメイカー』を出してくれた。

 

 ほしい道具をこの機械に注文するとその作り方を教えてくれるものである。のび太は「どうせなら完成品が出ればいいのに」と要望すると、ドラミちゃんに「ぜいたくいっちゃだめ」と叱られてしまった。

 

 のび太が「いじめっ子におわれたら、パッとにげられる道具がほしい」と吹き込むと、「ジジイパチ パチ パチ パチ ビビビ ガガガ」と機械が作動して、ひみつ道具『ゴキブリぼう』の説明書と設計図を「バサ」と出してくれた。

 

 「ゴキブリぼう」の仕組みは魚眼レンズ、コンピューター、レーダーアンテナ、電極で構成され、ひみつ道具『材料箱』にはどんな材料でもそろっていた。最初はぼくの手におえないといっていたが、ドラミちゃんに「やってみもしないでなげだすなんて!!」ときつく説教されたので、説明通り懸命に作ると、「ゴキブリぼう」を完成させることができた。

 

 これをかぶると、ママから「のび太!!」と怒鳴られても、ゴキブリのようにすばやく逃げ出すことができた。外に出て、ジャイアンやスネ夫に追いかけられても、すばやく身をかわすことができたので、「サッ ゴツン サッ ゴツン」とジャイアンやスネ夫を自由自在に翻弄することができた。

 

 のび太はタケコプターなんかつまらないので、ドラえもんがもっていないような新しい空飛ぶ機械を発明してほしいと、「ハツメイカー」に頼んだ。すると、ひみつ道具『空中歩行機』の説明書と設計図が出てきた。

 

 この説明書には、「二本の足だけで空中を歩く機械であり、右足を空中にあげ、それがおちる前に左足をあげる。うんとはやくくりかえせば空を歩ける」と書かれてあった。

 

 のび太は自分の作った「空中歩行機」でしずちゃんの家に行くと、しずちゃんから「春、夏、秋の花が一年中いつでも見られる花だんがほしいいわ」とリクエストされた。しかし、この歩行機はとても疲れるのが欠点であった。

 

 ひと休みしていると、突然、机の引き出しが「ドン」と開いてのび太は突き飛ばされてしまった。ドラえもんが現れて、「ドラミちゃんがうるさくいうから、帰ってきてやったんだぞ。あやまるならゆるしてやる」と高圧的にでてきたので、のび太との間で再度けんかが勃発し、「べえだ!! もうだれのせわにもならないよだ」と強気になって、追い返している。

 

 のび太は早速、しずちゃんのリクエストである「オールシーズン花だん」を作って、とても感謝された。家に帰ると、顔中傷だらけのスネ夫から「どんな強いいじめっ子でもやっつけられる道具をだして」と頼まれたが、のび太が「やだよ。きみもぼくをいじめたくせに」と断った。

 

 しかし、スネ夫の「発明料千円!!」の一声に買収され、ひみつ道具『ファイタースーツ』を作ることになった。スネ夫がこのファイタースーツを操作し、「ズシ ズシ ズシ」と移動させ、ドカンの広場の一本のドカンを「ヒョイ」と投げあげ、「バカ」と粉砕することに成功した。

 

 この光景を見て、ジャイアンは「どんな強い相手でもいじめられる道具」をリクエストしてきた。完成して、操作の段階でジャイアンは「十円もの金をはらったんだぞ。もし、スネ夫に負けたらギタギタにしてやる!!」と脅してきた。

 

 スネ夫とジャイアンの件を話すと、ドラミちゃんから「どっちが負けてものび太さんがうそついたことになるのじゃないの」と指摘され、二人が戦う広場に出掛けた。

 

 「ズシ ズシ ドカ ドカ ドシン ドカン ガチャン ドカン ボカン」とはげしい戦いが続いたので、ドラミちゃんから「あたしの手にはおえません。お兄ちゃんにたのんで」といわれてしまったので、のび太は『ドラえもんとなかなおりする機械』を「ハツメーカー」に発明してもらっている。

 

 この「ドラえもんとなかなおり機」はドラえもんマンガ史上最高に笑わせるひみつ道具である。のび太は手をつけたランドセルを肩にしょい、タマネギのみじん切りの入った皿を両手で持つと、ランドセルの手がのび太の頭を「ガシ グイ」と懸命に押すので、のび太の頭はタマネギのみじん切りの入った皿に「グイグイ」押しつけらる。

 

 すると、「ヒイ~、目にしみる!!」となり、「ポロ ポロ」と涙を流し、結局「ペコ ペコ」と謝ることになった。ドラえもんから今度だけはゆるしてやるという許可が出た。

 

 頼みというのは、「ぜったいに負けない機械どうしの戦い」をやめさせることであった。現場に行って、ドラえもんは「いつまで戦ってもきりがないから…」と仲裁に入ろうとしたら、「ドカン」と足で蹴飛ばされてしまった。

 

 「だめだこりゃ、応援をよんでくる」といって、ジャイアンのかあちゃんとスネ夫のママを連れてきたので、「ギク」となって戦いは終わってしまった。

 

 のび太はやっぱりドラえもんは頼りになるなあと、どら焼きをごちそうしていると、窓の外で、ジャイアンは「ドラえもん、よくも母ちゃんにいいつけたな」、スネ夫も「よくもママにいいつけたな」と怒って、ドラえもんの出てくるのを待っていた。それを見たドラえもんは「きみのつくったゴキブリぼうをかして」と、のび太に懸命に頼んでいる。

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