時門で長~い一日 [★★]
[初出誌] 『時門』、「小学三年生」1981年7月号、9頁、68コマ
[単行本] 『時門で長~い一日』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第31巻」1984年8月25日 初版第1刷発行、9頁、68コマ
[大全集] 『時門で長~い一日』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 12」2011年3月30日 初版第1刷発行、9頁、68コマ
【初出誌vs.大全集】
タイトル『時門』が『時門で長~い一日』に変更
[梗概] のび太はママから「宿題がおわるまでは、ぜったいに遊びにいっちゃいけません!!」 ドラえもんも「宿題をすませておけば、安心してゆっくり遊べるじゃない」と同じ意見であった。
しかし、のび太は「早くできるぐらいなら、苦労しないんだよ!! しずちゃんとの約束やぶったらおこるよ。きっとおよめにもきてくれなくなる。一生ひとりでさびしくくらすんだ。ママは、息子をふしあわせにしても平気なのだろうか」と愚痴りだした。
ドラえもんはひみつ道具『時門』を出して、「キーコ キーコ」とその門を閉め出した。のび太は「グッタリ」して宿題をおえたとき、五、六時間たっていると思った。しかし、「まだ四時前!? 宿題を三十分ほどでやったことに」気づいた。
「時門」を閉めて、時間をゆっくり流したためであった。しかし、「時門」は世界中の時間を遅らせるので、むやみに使っちゃいけないと、ドラえもんに厳しく注意された。
ドラえもんは今月の草むしり当番であったので、ぼうぼうと生えた庭の草むしりを始め出した。しずちゃんの家に遊びにいくと、ピアノ練習の五時まで一時間しかないと言われたので、時門を「キーコ キーコ」閉めて、ピンポンをしたり、ゲームをしたりしてたっぷり遊んだ。
しかし、二十分しか経過していなかったけれども、疲れたので家に帰ることにした。ドラえもんも疲れて、腰がメリメリいいだしたが、まだ五時であった。
のび太は五時から始まる「宇宙ターザン」を見だしたが、「それにしても、たった三十分で終わるのはつまんない」ので、時門を「キーコ キーコ」閉め、宇宙ターザンにたっぷり暴れてもらっている。
ドラえもんは二時間が長すぎるので、のび太が時門を使っていると確信し、やめさせるため出掛けようとすると、ママから「ドラちゃん!! 約束はキチンと守りなさい」と怒鳴られてしまった。しかし、ママも「それもしても…。きょうは日が長いわねえ」と不審に思っていた。
宇宙ターザンも「宇宙の平和をみだす者はほろびた。ではまた来週…。あれ? 時間がまだたっぷりあるぞ? しかたがないので、来週の怪獣がでてきた」 一方、ドラえもんは草むしりで、「ヒイ…ハア…」、しずちゃんもピアノの練習で、疲れ切っていた。パパは「もう二日分ほど働いた気がするよ」とこぼしていた。
宇宙ターザンは「四匹めの怪獣をやっつけたぞ。では…、また…。五匹めがでてきた!! 六匹め!!」のところで、のび太は「スヤラ フヤラ」と眠ってしまった。のび太が目を覚ますと、「番組の途中ですが、ターザンがつかれすぎで入院しましたので…」といったアナウンスがテレビから流れてきた。
ドラえもんが「時門をあけろ!!」と怒鳴り込んできた。パパは「きょうはほんとにおかしな日だった」、ママも「ほんとにムシャクシャするわ!!」とても機嫌が悪かった。ドラえもんから「あたりまえだ。日本じゅう、いや世界じゅうの人が、きみのせいでひどくめいわくしたんだぞ」と叱られた。
のび太は胸の前で両手を組んで、「おねがい!! このことだれにもいわないで!!」と涙を流して頼んでいた。ドラえもんはそっぽ向いて、「さあねえ、どうしようかねえ…」と腹の虫も収まる気配がなかった。
[S1229・A3101・038107]