のび太のなが~い家出 [★★]
[初出誌] 『のび太のなが~い家出』、「小学三年生」1981年4月号、9頁、68コマ
[単行本] 『のび太のなが~い家出』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第25巻」1982年8月25日 初版第1刷発行、10頁、76コマ
[大全集] 『のび太のなが~い家出』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 12」2011年3月30日 初版第1刷発行、10頁、76コマ
【初出誌vs.大全集】
「ああ!おれも家出したいとなんどユメ見たことだろう。それをおまえはついに!!ついに!!」、「これほどうけるとは思わなかった」コマ挿入[210(1)]
「成功させてやろうじゃないか」、「それが男の友情ってもんだぜ」、「協力するとも」コマ挿入[210(3)]
「文字なし」コマ転置[10(8)]
「いいえ、これはただごとじゃないわ」、「なにかあったんだわ」コマ挿入[213(3)]
「そうそう、そうこなくちゃ家出したかいがないよ」コマ挿入[213(4)]
「こんなに親に心配かけて!!」、「帰ってきたらぜったいに許さないわ!!」コマ挿入[214(3)]
「ぜったいに!!」コマ挿入[214(4)]
「食えよ」、「スネ夫が取りよせてくれた晩めしだぞ」コマ挿入[214(7)]
「神さま、のび太をお返しください」、「ぶじに帰ってさえくれたら…………、神さま」コマ挿入[215(3)]
[梗概] のび太はママから「あんたなんかもう、うちの子じゃありません!!」と、顔を真っ赤にして怒鳴られたので、「いくら親でも、あんなひどいこといっていいものだろうか。ぼくがいなくなったら、思いしるだろう。ぼくがかけがえのないひとりむすこだってことを…」と涙ながら、ドラえもんに真情を吐露している。
のび太は「きみには世話になった。忘れないよ。じゃ…体に気をつけてな…」と唐草模様の風呂敷を担いで家出をした。しかし、ものの五分もたたないうちに、のび太が戻ってきた。
そして、「今夜ぜひみたいテレビ番組があって…。晩ごはんもたべなきゃならないし…。六時ごろまでには帰ろうかと思うんだ」と言い、さらに、「ちょっとぼくがるすにしただけで、ママがオロオロ心配するようなそんな道具ない?」とあきれるような相談を持ちかけてきた。
ドラえもんも最初はあるわけないと断っていたが、ハッと、ひみつ道具『時間ナガナガ光線』があることに気づいた。この光線は「楽しいことを時間たっぷりかけて味わうための機械なんだ。光をあびると、十分が一時間に感じられる」ものである。のび太はママに「ビカ」と光線をあびて再び家出を決行した。
往来でジャイアンに会い、家出の話しをすると、「えらい!! よくやった!! おまえにそんな勇気があるとは思わなかったぜ」と絶賛された。さらに、「だいたい親なんていばりすぎるんだよ。おれ、いつも頭にきてる。しっかりやれ、力をかすぜ。とうぶん、おれのへやにいろ。おふくろにみつかるなよ」と意外に親切に扱ってくれた。
しばらくすると、ママがどれほど心配しているか気になり、家に戻り、観察すると、ママはまんじゅうを食べながら、テレビをのんきそうに見ていた。腹が立ったが、まだ二十分しかたっていないとドラえもんに言われてしまった。帰るとき、いちいち見に来なくてもすむようなモニターを借りている。
モニターで見ていて、五十分たつと、ママはイライラし始め、「ほんとにもう…、帰ってきたらもう…。ただじゃおかないから!!」と腹を立てだした。心配になってきたママは会社のパパに「すぐ帰ってきて。もう九十分も姿が見えないのよ」と電話すると、「いそがしいのにつまらないことで電話するな!!」と怒鳴られてしまった。
ママは交番に行って、誘拐事件かもしれない、なぜなら、家を出て百二十分もたつんですと説明しても、警官から二時間ぐらいじゃ、行方不明とはいえませんと言われている。
ママの瞳は炎のように燃え上がり、「こんなに親に心配かけて!! 帰ってきたらぜったいに許さないわよ!!」と激怒するので、怖くなって家を出ると、ジャイアンにつかまり、「それでも男か、おれが帰さねえぞ!!」と脅され、スネ夫がとりよせた晩めし、ラーメンを食べることになった。
心配になったドラえもんがのび太を呼びに来てくれた。家では、ママは「神さま、のび太をお返しください。ぶじ帰ってさえくれたら…、神さま」と、真っ暗な部屋で祈っていた。
のび太の姿を見ると、涙顔のママはしっかりとのび太を抱きしめた。その光景を見て、パパはドラえもんに「なにがあったんだい?」と尋ねると、ドラえもんは「のび太が三時間ぶりに帰ってきたの」と説明している。
[S1226・A2501・038104]