ションボリ、ドラえもん [★★★]

[初出誌] 『ドラミちゃん』、「小学三年生」19814月号、13頁、92コマ

[単行本]  ションボリ、ドラえもん』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第24巻」1982425日 初版第1刷発行、13頁、92コマ

[大全集] 『ションボリ、ドラえもん』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 122011330日 初版第1刷発行、13頁、92コマ

 

【初出誌vs.大全集】

 タイトル『ドラミちゃん』が『ションボリ、ドラえもん』に変更

 

 [梗概] 今日も今日とて、ドラえもんとのび太は激しく言い争っていた。のび太「いつもこうなんだ。きみのだす道具を使うとろくなことにならない」、ドラえもん「かってな使い方をするからだ!! 自分が悪いんだ!!」、のび太「失敗しない道具をだせばいいんだ」、

 

  ドラえもん「きみなんかにどんないい物だしたってむだなんだよ」、さらに、のび太「いったな!! 中古のポンコツロボットのくせに!!」、ドラえもん「なんだと!! ピンボケのピーマンのダメ男!!」にまでエスカレートして、とどのつまり、「ドタン バタン」の取っ組み合いで終了する。

 

  ドラミちゃんと『タイムテレビ』を見ていたセワシは「ドラえもんをおじいちゃんとこへやったのは、まちがいだったかな。おじいちゃんをもっとしっかりさせるためにいかせたのに、あんまりうまく言ってないみたい」と反省しきり。ドラミちゃんは「おにいちゃん、いっしょうけんめいやってるわ」と弁護するが、

 

  セワシは「それはわかってるけど…。ドラえもんも、あんまりできのいいロボットじゃないしね。どうだろう、しばらくドラミちゃんかわってみない? それで、よければ、ドラえもんをよびもどすことにして…」と提案するのであった。

 

  夕食の時間でも二人は反対の方向を向いて、のび太は「パクパク ムシャムシャ」、ドラえもんは「モリモリ バリバリ」と、ママを心配させる態度をお互いに取り続けている。

 

  夕食後、ドラミちゃんがドラえもんに会うと、開口一番、「気のせいかしら、二、三ミリやせたんじゃない?」と問うと、「やせたかもしれないね、苦労が多いから。のび太のめんどうみるのはたいへんなんだ。もうせわがやけてせわがやけて」と愚痴をこぼしている。

 

  それを聞いて、のび太も「な、な、なにいってんだ!! 自分こそ役たたずのくせに」と猛反発。一方、ドラえもんも「もう、うんざりだよ。未来の世界へ帰りたい」と言い出す始末。

 

 朝になると、ドラミちゃんが「のび太さんおきて! 学校に送れるわよ」とやさしく起すが、のび太は「ムニャ…、ゆかい…、グウ…」と言うだけでなかなか起きません。夢を見ているらしいので、ひみつ道具の『ゆめグラス』でのぞいてみると、のび太はジャイアンを馬にして、馬乗りを楽しんでいた。

 

  ドラミちゃんはかわいそうと思ったけれど、『ゆめコントローラー』で電波を送って、立場を逆転にし、ジャイアンに追い掛けられるのび太に場面を展開し、早く夢から覚めるようにと促した。ドラミちゃんは目覚めたのび太を学校にとてもスムーズに送り出した。

 

 一方、ドラえもんは「ワー、ねぼうした。のび太おきろ!!」と言いながら飛び起きると、すでにドラミちゃんがのび太を学校に送り出していた。ドラえもんは「じゃ、なにかして遊ぼう」と誘いを掛けたが、『タイムテレビ』を監視しているドラミちゃんから「だめよ、これからのび太さんのめんどうをみなくちゃ」と断られた。

 

  ドラえもんは「きみがのび太のめんどうを? よせよせ、手におえる相手じゃない。ぼくでさえもてあましてるぐらいだから」と注意している。

 

 「タイムテレビ」を見ると、のび太はいつものように教室で居眠りを始めた。ドラミちゃんは「ゆめコントローラー」を再度取り出して、夢の中にしずちゃんを登場させた。

 

  しずちゃんが「のび太さんすきよ。でもいねむりなんかしないで、きちんと勉強したらもっとすてきよ」とウインクしながら激励すると、居眠りから目覚めたのび太は先生や回りの仲間もビックリするほどの大きな声で「やるぞお!!」と叫んでいる。ドラえもんもそれを見て、「ふうん…。なかなかやるね」と認めざるを得なかった。

 

 家では、掃除も洗濯もすべて終わっているので、ママがドラミちゃんに「うちにいてくれるとたすかるわ」とお礼をいうと、ドラミちゃんも「わたし、おそうじやおせんたくすきなんです」と答えている。

 

  ドラえもんが「タケコプター」を使って、学校でののび太の様子を見に行くと、マラソンの授業中であり、のび太はダントツのビリを走っていた。

 

  ドラえもんは「あいかわらすだな。『かくれマント』で姿をけして、あとおしするか。それとも『おならロケット』をとりつけて…」と考えながら『四次元ポケット』からひみつ道具を取り出そうとすると、追い掛けてきたドラミちゃんから「だめよ、自分の力でやらせなくちゃ」とブレーキを掛けられてしまった。

 

 ドラえもんが「よけいなさしずをするな」と抗議すると、ドラミちゃんは「きょう一日、わたしがのび太さんの係なの。もしうまくいったら…」と口を濁すと、ドラえもんはその言外の意味を察して、「ぼくとこうたい!? セワシくんがそんなひどいことをいったの!?」と問い質している。

 

  すると、ドラミちゃんは「だって、おにいちゃんうんざりしてるんでしょ」と反駁されてしまった。

 

 運動場では、のび太が「やんなちゃった。もうやめようかな」と考えて走っていると、突如、空からひみつ道具である『自信ヘルメット』が落ちてきて、スポッとのび太の頭に被せられた。

 

  「自信ヘルメット」を被ると、スネ夫の「のび太だけあと三周」、ジャイアンの「やあいノロマ」といった悪口が、のび太には、「のび太えらいぞ」、「最後までがんばれ」と聞こえるのであった。元気になって、走り終えたのび太に対して、先生は「ほう、きょうはへばらなかったのか。よくやった野比」と絶賛している。

 

 「ただいま~」と元気溌剌の姿で帰宅したのび太は、ママに「きょうは三度も先生にほめらたよ」と報告し、ママからも「まあ、めずらしい」と歓迎されている。

 

  ドラえもんがどら焼きを食べている所へ来て、いつものように「ひるねしよう」と宣言すると、ドラえもんは「宿題をすませちゃったほうが…」とアドバイスすると、舌を出して「よけいのおせわ!」と言われてしまった。ドラミちゃんがひみつ道具である『瞬間昼寝ざぶとん』に取り替えておいたので、のび太は瞬時に昼寝をすますことができた。

 

  宿題もドラミちゃんの取り出したひみつ道具の『クイズパズル光線』をあてると楽しくなり、のび太も信じられないほど、素早く全部の宿題を終えることができた。

 

  宿題を終えたのび太はドラミちゃんにひみつ道具の『ハッスルねじ』で元気を付けてもらったので、しずちゃんから「きょうののび太さん、いきいきしているわね」、ジャイアンからも「人がかわったみたいぜ」と言われながらサッカーを終えることができた。

 

 ドラえもんは今日の一日を振り返り、涙を流しながら、「ドラミにはかなわないよ。のび太のためを思うなら、こうたいしたほうがいいんだ」という心境になっていた。セワシからの「ドラえもん、いいにくいんだけど…」という言葉をさえぎって、ドラえもんは「いや~うれしいな。これでやっと楽ができる」と返事している所へ、のび太が入ってきた。

 

 セワシから、ドラえもんが帰ると聞かされると、のび太は「え~つ。ドラえもんが帰る!? いやだ!! ぜったいに帰さない!!」と言いながらドラえもんに駆け寄った。

 

  ドラえもんが「でも…、でも、ぼくのだした道具でいつもきみがひどいめに…」と涙ながら語ると、のび太は「ぼくが悪いんだよ。かってに使うからなんだよ。これからいうこときくよ。ひるねしない! 宿題する! だから! お願いだから!」と顔をクシャクシャにして、大粒の涙を流しながら、ドラえもんとしっかり抱き合うのであった。

 

 セワシとドラミちゃんは「タイムマシン」に乗りながら「ま、長い目でみようよ」という結論になった。帰宅して、「タイムテレビ」を付けると、画面ではいつものようにドラえもんとのび太が取っ組み合いのけんかをしていた。

 

  ドラミちゃんは「しょっちゅうけんかしてても、ほんとはなかよしなのよね」との指摘に、腕組みしたセワシもコックリとうなずくのであった。

[S1225A2417038104]