南海の大冒険 [★★★]

[初出誌] 『南海の大ぼうけん』、「小学三年生」19809月号、20頁、125コマ

[単行本]  『南海の大冒険』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第45巻」1996525日 初版第1刷発行、20頁、129コマ

[大全集] 『南海の大冒険』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 1120101130日 初版第1刷発行、20頁、129コマ

 

【初出誌vs.大全集】

 「音符」挿入[262(4)]

 「気持ちわるいよォ、ゲ~」が「気持ち悪い~、ゲ~」に変更[266(5)]

 「ハンディキャップがしめてるうちに」削除[272(1)]

 「文字なし」コマ挿入[272(2)]

「これでもし、宝がなかったらただじゃすまねえぞ!!」コマ挿入[272(6)]

 

「あの山に!!」、「宝が!!」コマ挿入[276(1)]

「これが楽しみで、毎日ついてきたんだ!!」コマ挿入[276(2)]

「貯金があまりないから、マンガとかいろいろそろえて……」、「ほんとにへんな宝さがし…」、「マンガ(本)」が「わずかばかりの貯金におもちゃとかマンガとか…」、「とっときのドラやきをそなえて」、「ロンくん(本)」に変更[277(5)]

 

 [梗概] のび太は学校の図書館で読んだ『宝島』を右手にかかげて、「ドタ ドタ」とドラえもんのいる部屋へ駆け込んできた。ドラえもんは「宝島をさがしにいこうというんだろ? ほんとはそんなものない!! それにしてもきみは宝さがしがすきだねえ。そんなユメみたいなことは忘れて、勉強し、体をきたえ、自分の力でお金をかせぎなさい」ときっぱりと言い渡した。

 

  すると、テレビから「昔海ぞくキッドのうめたものと思われ…。金貨や宝石など今のお金にして百億円…」といったニュースが流れてきた。

 

 のび太から「あったじゃないか!! すぐ宝さがしにいけばまにあったのに!!」と責められたので、ドラえもんはひみつ道具『宝さがし地図』を取り出している。

 

  この地図は世界中を三百六十枚にわけてかかれた地図であり、針で刺して探し、宝のありかを正確に刺すとブザーがなるというものである。宝から一ミリでもずれてもだめのものであり、確率はきわめて小さいのが特徴的である。

 

 のび太がめくら滅法に地図を針で刺すと、「ビ~」となった。ドラえもんは「きみってやつは…。運がいいのか悪いのか、さっぱりわからない」と嘆いている。南太平洋のまん中であることがわかったので、のび太のきびしい探検の条件にしたがって、どこでもドアで海岸へ出て、帆船型のモーターボートで乗って宝さがしに出帆した。

 

 のび太は「海は広いーな大きいなー」と歌っていたが、おなかがすいてきた。帆船の台所で料理するのがめんどくさいので、わが家で食事を取ることになった。ジャイアンとスネ夫が野球に誘いにきたが、「悪いけど、そんなつまんないことにかまっていられない」と断っている。船の旅にもどると、どこまでいっても海ばかりであり、退屈になってきた。

 

 のび太はドラえもんに、「せめて嵐でもでないかしら? 冒険がしたいんだよ!」と要望するので、ひみつ道具『ほどほどあらし』を出している。

 

  船の上だけに暗雲が広がり、「ドザザア ゴオ ザザー」と嵐になり、のび太は「嵐の感じがですぎるよ~、とめてくれえ!!」と悲鳴を上げ、ドラえもんは「むりいうな! 暗雲がなくなるまでふき続くよ。安心しろ。船がしずまない程度のほどほどの嵐だから」と説明している。のび太は「よっちゃたんだよ。気持ち悪いよ~、ゲ~」といったさんざんな目で家に帰ってきた。

 

 船酔いを治すため散歩にでかけると、スネ夫とジャイアンにつかまり、「メンバーがたりなくて野球できなかったんだぞ。なにをしてたんだ」と問われたので、「じ、実は宝島を…」と答えると、ふたりは「ウヒャ ヒャ ゲラ ゲラ」と大笑いしてどっかへ行ってしまった。

 

 のび太はふたりを海賊役にして、ライバルのある冒険にしようと考えた。ふたりを看板「宝島へどうぞ」、もう一枚の看板「宝島ぼうしをかぶったら次へどうぞ」と誘導し、最後は「どこでもドア」から海賊船に乗ってもらうことにした。

 

  のび太が懸命に宝さがしの話をしても、スネ夫は「宝さがしごっこ!? ばかばかしい、のび太じゃあるまいし」、ジャイアンも「そんなユメみたいな話につきあってるひまはないんだ」といいながら下船してしまった。

 

 のび太が「こっちが先にみつけても宝をわけてあげるから」、「宝なんかわるわけない!!」、「かならずある!! くびをかけてもいいよ」と頼んで、なんとか乗船して追い掛けてもらえるようになった。退屈なのでスネ夫が海賊船のボタンを押したので、レース競争をして遊ぶことになった。

 

  さらに、ボタンを押すと、「ほどほど大砲」であったので、「ドカン ドカン ドドーッ」とはげしい大砲合戦になってしまった。絶対に当たらないことになっていたが、装置が故障しているため、ドラえもんの帆船にどんどん当たり出したので、ひみつ道具『ハンディキャップ』を締めて、敵が動けない間にほどほど装置を修理することができた。日が暮れたのでみんなで帰ることになった。

 

 毎日放課後、船に乗って、追っかけっこをしたり、当たりもしない大砲を撃って遊んでいたら、あきちゃい、ある日、ふたりが姿を見せなくなってしまった。探しにでかけると、広場で野球をしていたので、「まじめにやってくれなくちゃこまる!!」と抗議すると、「おれたちは船が島についたらいくからよんでくれ」という身勝手なものであった。

 

 のび太も退屈になっていたので、何時ごろ島に着くかを尋ねると、今の調子だとあと四十三日かかるというドラえもんの返事であった。のび太はドラえもんから「タイムふろしき」を借り、どこでもドアにかぶせて、四十三日たったところでくぐる計画を立てた。

 

 島が目の前に見えたので、ふたりに知らせ、船を下りて、宝のある高い山を目指して登り出した。ジャイアンとスネ夫が先行するので、ドラえもんはふたりの「ハンディキャップ」を締めて、その間に宝のあり場所まで行くことができた。

 

 ドラえもんはこの場所は、この前にテレビで見た海賊キッドの宝の島であり、教えてくれた地図はまだ宝が見つかったことを知らなかったということに気づいた。

 

  ジャイアンとスネ夫が怒るだろうと思ったので、ふたりが失神している間に、ドラえもんとのび太は「大急ぎでなにかうめとかなくちゃ。わずかばかりの貯金にオモチャとかマンガとか…。とっときのドラやきをそえて」宝の箱につめようとしていた。

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