タイムマシンがなくなった!! [★★★]

[初出誌] 『タイムマシンがなくなった!!』、「小学三年生」19805月号、20頁、120コマ

[単行本]  『タイムマシンがなくなった!!』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第22巻」1981825日 初版第1刷発行、21頁、129コマ

[大全集] 『タイムマシンがなくなった!!』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 1120101130日 初版第1刷発行、21頁、129コマ

 

 [梗概] のび太はひみつ道具『モンスターボール』を使って、「ガミ ガミ」とうるさいママを、伝説の怪物である竜やカッパやてんぐなどを出して、「キャア」と驚かし、「バタ」と失神させていた。ドラえもんはママが怒るのは当たり前だと叱りつけ、さらに、タイムマシンの出口が開けっ放しだと注意した。

 

 ドラえもんが机の引き出しを覗き込んで、「ワアッ」と叫び、ブレーキをかけておかなかったので、どこかへ流れていってしまったと大騒ぎし出した。ドラえもんが「あれがないとどこへも行けない。未来へも帰れない。ワア~」と号泣すると、のび太も「ぼくの責任だ。どうしよう」と、ドラえもんもビックリするような大声で泣き出した。

 

 泣いていてもしょうがないので、考えてドラえもんはひみつ道具『タイムベルト』を取り出した。このベルトは「場所はうごけないけど時間旅行はできる」ものである。さらに、動いているタイムマシンは、超空間に波をおこすから、その波をたどることのできるひみつ道具「タイムセンサー」も一緒に出している。

 

 「タイムセンサー」でタイムマシンの波をとらえ、二人は超空間をどんどん昔に向かって漂いながら流れていった。どんどん近づいたが、あと五十年近くのところで、波が止まってしまったので、超空間からひとまず「シュン」と抜け出ることにした。

 

 場所は動かないので、のび太の勉強部屋のあったところであり、時代は今から千八百六十六年前の昔であった。

 

 超空間の渦の方向から判断して西のほうへ流されていることがわかったので、タケコプターを使って、弥生時代の日本を探すことになった。行けども行けども村さえ見えず、タケコプターも「プルル… プスン プスン」と電池切れになってしまった。

 

 夜まで飛んだけれども、何一つ発見できなかったので、たき火をたいていると、森の中から鹿や猿やウサギが跳びだしてきて、ふたりの目の前を横切って逃げていった。「ズル… ドサッ バキ ズル ズル」となにか大きな…重いものをひきずっているような音がした。なにか通ったあとのように、木や草などがメチャメチャに踏み荒らされていた。

 

 たき火をどんどん燃やして、「桃太郎印のキビダンゴ」など、準備万端の体制で敵にそなえた。その晩は何も現れなかった。寝不足でフラフラになりながら歩いていると、川に二本のはしが流れてきたので、ドラえもんは川上に人が住んでいる証拠だと考えて、上って行くと、待望の村を見つけることができた。

 

 陰気くさくていやな感じのする村に入っていくと、「シクシク」泣く声が聞こえてきたので、家に入っていくと老夫婦と娘さんが抱き合って泣いていた。

 

 「ほんにゃくコンニャク」で泣いている理由を聞いてみると、半年前にヤマタノオロチが現れて、村を荒らし回り、オロチのなだめるための、娘さんを今夜捧げるという話であった。

 

 のび太が女の子の前でオロチをやっつけると言い、のび太とドラえもんがその役をかって出たので、村の人々に箱の中に入れられて、オロチに捧げられるため、村の外れまで担いで運ばれた。

 

 のび太がヤマタノオロチの意味がわからなかったので、頭が八つで、八つのまたにわかれているのでヤマタであると、ドラえもんはわかりやすく説明した。すると、のび太は頭が八つならまたは七つで、ナナマタのオロチというべきだと質問しだした。

 

 「昔からヤマタと決まってるの!」と答えると、「どうして決まってるの、ね、どうして!? どうして!?」と執拗に問い掛けるので、ドラえもんは堪忍袋の緒が切れて「それどころじゃないっ」と怒鳴っている。

 

 ふたりが言い争っていると、「シャーツ」の音とともに巨大なヤマタノオロチが目の前に現れた。ドラえもんは「桃太郎印のキビダンゴ」を投げたり、「ホームミサイル」、「スモールライト」、「空気ピストル」、「さいみん機」、「ラジコンロボ」、「ゼロ戦」など、持っているひみつ道具すべてを出したけれども全く通用しなかった。

 

 もう逃げるしかなくなったので、草の茂みに逃げ込むと、「ザザザ」と追い掛けてきたので、絶体絶命のピンチになってしまった。草むらの中に、幸い、タイムマシンと「モンスターボール」を見つけることができ、サルか何かが「モンスターボール」のボタンをいじわるなどして押したことがわかった。「カチ」とボールのボタンを押すと、「スウ」とオロチを閉じこめることができた。

 

 ボールの作ったマボロシであったので、どんなひみつ道具も効かなかった。タイムマシンも、ぼくらよりも半年前の世界に流れ着いていたことも明らかになった。

 

 ドラえもんが「この大さわぎも、元はといえばきみのだらしなさが原因だ」と、クドクド説教したので、のび太も「一度いえばわかるよ。しつこいなあ」と反論している。

 

 帰りのタイムマシンで、「またが七つでどうしてヤマタなの? ね、どうして? どうして、どうして?」と尋ねるのび太に対して、ドラえもんは冷や汗をかいて、「しつこいんだよ、きみは!」と怒鳴っている。

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