精霊よびだしうでわ[★★★]
[初出誌] 『精霊よびだしうでわ』、「小学三年生」1980年3月号、9頁、68コマ
[単行本] 『精霊よびだしうでわ』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第21巻」1981年5月25日 初版第1刷発行、11頁、81コマ
[大全集] 『精霊よびだしうでわ』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 10」2010年10月30日 初版第1刷発行、11頁、81コマ
【初出誌vs.大全集】
「文字なし」コマ挿入[305(1)]
「よびだした?ぼくが?」「よんだじゃない、雪のせいって」コマ挿入[305(2)]
「よびだしてくださってうれしいわ」挿入[305(3)]
「雪が好き?」「大好き!」コマ挿入[186(1)]
「遊びましょ」コマ挿入[306(2)]
「あ、あ、雪が波みたいに……」「グ・グッ」コマ挿入[306(3)]
「ワーイ、サーフィンだ」コマ挿入[306(4)]
「ふぶきにのってあそびましょうよ」が「ああっ、ドラえもん!!」に変更 [307(7)]
「ぼくの友だちだぞ!!」「あんなのほっときなさいよ。ふぶきに乗って遊びましょ」コマ挿入[307(8)]
「ゴオ」コマ挿入[307(9)]
「だって…、そのうち春が来れば……」、「春なんか来させるもんですか」コマ挿入[308(2)]
「あたしは消えたくないの」、「いつまでもいつまでも」コマ挿入[308(3)]
「文字なし」コマ挿入[310(3)]
「一つだけ信じてほしいの」が「信じてほしいの」に変更[311(1)]
「わかってるよ……。きみと遊んでて楽しかった」、「ほんと?……………うれしいわ」コマ挿入[311(2)]
「文字なし」コマ挿入[311(3)]
[梗概] 野比家では、夕方までストーブの灯油がない状態が続いた。家族はみんな「ブル ブル」震えていたが、特に、ドラえもんは寒さに弱く、冬は寒いから大嫌いであるとこぼしていた。
ドラえもんがひみつ道具である『精霊よびだしうでわ』を取り出した。ドラえもんが「火の精でろ」と言いながら、この腕輪を「ゴシ ゴシ ゴシ」こすると、「ボウン」と火の精が飛び出してきた。とても温かかったが、火の精は「もえるものをなんでももやすのがぼくの役目だ」と言いながら、カーテンを燃やすと言い出した。
「バタ バタ」と二階は大騒ぎになり、一階にいたパパがタバコの火を消しながら、二階で騒いじゃいかんと大声で注意した。近くのタバコの火が消えると、火の精は「ポッ」と消えてしまった。
外は雪が降り出したので、ドラえもんは押し入れの布団に入り出した。のび太は家にいても寒いので、外で遊ぼうと思って出掛けることにした。まだ積もりそうにもなかったが、予想以上に寒いので、腕を「ゴシ ゴシ」こすりながら、「このひどい寒さは雪のせいだな」と呟いた。すると、目の前に雪の精が現れた。
のび太が雪の精なら、もっとどんどん降らすことができると尋ねると、「ドーツ」と降らして、あっという間に雪景色になってしまった。
のび太は雪が大好きであったので、雪の精は雪を波のように「グ・グッ」と動かし、サーフィンをしているような気にさせてくれた。ジャイアンとスネ夫が雪の玉をのび太に「パカ パカ」ぶつけたので、雪の精は二人の上に「ドサッ」と大量の雪を降らして追い払ってくれた。
ドラえもんがストーブに火が付いたと知らせてくれた時、「やっかいなことになる」とのび太に耳打ちしたので、雪の精は「ビュゴオ」とドラえもんを吹き飛ばしてしまった。
雪の精はのび太を吹雪に乗せて遊ばしてくれた。のび太は雪に満足し、「もういいよ」と告げると、雪の精は雪がなくなると、わたしが消えちゃうと言いながらさらに雪を降らしている。
のび太が「ハクション!!」をして、そろそろ帰りたいというと、雪の精はまだいいじゃないの、あなたが好きになったので、いつまでもいたいと言い出した。のび太が「おそくなるとママに叱られるんだ!!」と強く訴えると、やっと帰してもらうことができた。
家に帰ると、テレビでは、「気象庁はじまっていらいの大雪で、電車も車もストップ…」といったニュースを流していた。その晩、のび太は風邪をひいて、ひどい熱を出してしまった。大雪がひどくて、お医者さんも来ることができない状況であった。
布団を引いて寝ていると、雪の精が枕元に現れ、熱を吸いとっちゃうと言い出したので、のび太はそんなことしたらきみが消えちゃうと心配した。すると、雪は消えるのがあたりまえなのよと告げ、涙を浮かべて、「あなたにかぜをひかせるつもりなんかなかったのよ。ほんとにあなたがすきだったのよ」と語ってくれた。
翌朝になるとのび太の熱はウソみたいに下がり、雪もすっかり消えていた。外に出てみると、あたたかい南の風が吹いて、もうそこまで春が近づいていた。
[S1036・A2116・038003]