長い長いお正月 [★★★]
[初出誌] 『「三倍時計ペタンコ」で長~い長~いお正月』、「小学三年生」1980年1月号、20頁、138コマ
[単行本] 『長い長いお正月』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第23巻」1982年1月25日 初版第1刷発行、20頁、141コマ
[大全集] 『長い長いお正月』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 10」2010年10月30日 初版第1刷発行、20頁、141コマ
【初出誌vs.大全集】
タイトル『「三倍時計ペタンコ」で長~い長~いお正月』が『長い長いお正月』に変更
「まわりの景色がくるくるかわって」コマ挿入[276(1)]
「おもしろいねえ」コマ挿入[276(2)]
「ブワア」コマ挿入[276(8)]
[梗概] のび太は一月三日なのに、憂うつそうな顔をし、きょうがおわると、もう来年まで…、それを思うとさびしくてさびしくて…と泣き出してしまった。のび太は一年中正月だといいがせめてあと三日ほしいとドラえもんに頼んでいる。
すると、ドラえもんはひみつ道具『三倍時間ペタンコ』を出してくれた。このペタンコを水にぬらし、貼り付けて三分後にはがすと、一日が三日分の長さに使えるようになる。
言動が急にモタモタし、つまり、会話もモタモタして、聞くほうもじれったくなった。作品の欄外に、藤子先生と我孫子先生が登場して、「このちょうしでは、読者のみなさんもじれったいと思うので、これから先はふつうのことばでかきます」とコメントしている。
のび太がたっぷりひるねできると思って横になっていたら、ドラえもんに叱られ、外へ遊びにでかけた。しずちゃんたちが羽根突きをしていたので、入れてもらうと、しずちゃんの「コ~ン」と打った羽根は、ゆっくりとんでくるので、簡単に打ち返すことができた。
しかし、のび太が「カシーン」と打った羽根は三倍の早さであったので、しずちゃんは打ち返すことができなかった。どうしても勝つことができないので、しずちゃんたちはのび太さんは、ひとがちがったみたいだと感嘆している。
広場で、ジャイアンやスネ夫がドラえもんに、なにかおもしろい遊び道具を出しとほしいと頼んでいた。ドラえもんが「二十二世紀の立体オセロ」や「音声多重ワイドスクリーンテレビゲーム」を出そうとすると、のび太がクレームをつけた。
怒ったスネ夫に「じゃ、どんなのがいいんだよ!!」と問い詰められると、のび太はカルタがいいと言い出した。スネ夫から「ぼくらをいくつだと思ってるんだい」と腹を立てられたが、ドラえもんはひみつ道具『アクションカルタ』を取り出して、みんなに遊んでもらうことにした。
このカルタは町中に散らばったカードを、読み札のヒントをたよりに探すゲームである。みんながイヤホンを耳に当て、町中に散らばったカードの落ちた場所に合わせて、コンピューターが出したヒントをたよりに探すことになった。
第一のヒント「足でのぼっておしりでおりる」の回答は広場の滑り台、第二のヒント「イヌも歩けばくたびれる」の回答はイヌのくせに散歩のきらいな無精者「NORO」であった。ヒントがむずかしすぎるのび太とヒントはやさしいけど、先をこされるしずちゃんがコンビを組んで、しずちゃんが考え、のび太が取りに行くことになった。
第三のヒントは「大きなひょうたん金魚が泳ぐ」の回答はスネ夫の池のひょうたん池、第四のヒントは「しゃべるニワトリ」の回答は川田さんとこのつがいのインコ、第五のヒントは「とおしてくれない赤い顔」の回答は交通信号であった。
第六のヒントは「にくまれっ子のシャツの下」の解答はジャイアンのシャツであったので、みんながジャイアンのまわりに集まってきた。のび太が「ありましたあ!」と、ジャイアンのシャツの中からすばやく札をとった。
「ドガア」と怒ったジャイアンが「ブウン」と殴り、「チョエーッ」と足蹴りしても、のび太はこんなのろいものは、ちょっとも怖くないと言いながら、「ヒョイ ヒョイ」と体をかわしている。最後には、ジャイアンは「ハー ハー ゼー ゼー ヨタ ヨタ ズン」とぶっ倒れてしまった。
のび太がくたびれて家に帰る途中、最後のヒントは「町一番のなまけ者」であった。まさかと思って自分のポケットをさぐると、その札がでてきた。おなかがすいたので、家に帰ると、まだ午後二時半で晩ごはんまで四時間あった。
ドラえもんからきみにとってはあと十二時間と言われたので、「ウエ~」と絶句し、昼寝しようとしたが、腹が減っていたため昼寝どころではなかった。
気をまぎらわすてため、ドラえもんはひみつ道具『メリーゴーランドゴマ』を出してくれた。コマを回すと家が回るのでとても楽しかったが、こういう単純な遊びに、のび太はすぐ飽きてしまった。
晩ごはんまであと十時間、ひみつ道具『凧乗り』で楽しく遊んでもすぐ飽きてしまった。まだ八時間あるので、ひみつ道具『雲かためガス』を使って、雪だるまをつくったり、雪合戦をしたり、雲スキーを楽しむことにした。
まだ六時間もあると聞くと、のび太は「しぬ~」と大げさに泣き叫ぶので、ドラえもんはひみつ道具『三分の一時間ペタンコ』を出し、それを貼らせた。急にまわりがチャカチャカ動き出したが、のび太は走っていても、ドラえもんからもっと速く歩けと言われてしまった。
家に着くと、玄関前でママに「こんなおそくまでどこへいっていたの!!」と怒鳴られてしまった。
部屋に入ると、のび太はドラえもんに「これをたくさんはるともっとはやく時間がたつかな?」と質問すると、「たつよ」と答えてくれたので、「腕いっぱいにはってよ! はやく来年の正月がくるように!!」と立ち上がってはしゃいでいた。
[S1034・A2315・038001]