季節カンヅメ[★★]
[初出誌] 『季節カンヅメ』、「小学三年生」1978年9月号、7頁、46コマ
[単行本] 『季節カンヅメ』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第44巻」1993年5月25日 初版第1刷発行、7頁、46コマ
[大全集] 『季節カンヅメ』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 9」2010年8月30日 初版第1刷発行、7頁、46コマ
【初出誌vs.大全集】
「あたたかな春風がふいてほんとに春みたい」が「あたたかな風が吹いてほんとに春みたい」に変更[238(3)]
「今日みたいに暑い日は、冬を……」が「暑い日は冬を……」に変更[239(1)]
「すずしくなってきた、気持ちいい」が「涼しくなってきた」に変更[239(3)]
[梗概] のび太は「暑い! 体がとけちゃうよ! うちにクーラーがあってよかった」と思いながら帰宅すると。クーラーは壊れて全く冷房もきいていなかった。ママは「中古のクーラーなんか買うからですよ」と不満を漏らしていたが、パパは「夏はカーッと暑くなくちゃ夏らしくないよ。暑くてじつにいい気持ちだ」と豪語している。
ドラえもんがいないので、うちわを押し入れで探していたら、カンヅメらしいものがあったので、のび太が「プシュ」と開けると、「アチチチ焼け死んじゃう!!」と大騒ぎしているところへ、ドラえもんがタイムマシンで帰ってきた。
のび太の開けたカンヅメは『季節カンヅメつめあわせ』の夏用であった。開けると四つの季節を八時間楽しむことができるひみつ道具である。
ドラえもんが春のカンヅメを開けると、「ホーホケキョ ケキョ」とウグイスが鳴き、あたたかな風が吹いてほんとの春みたいになった。となりの庭のサクラの横へ投げ込むと、「パッ」と桜が満開になった。
秋のカンヅメでは、「チンチロリン スイッチョ コロコロリ」の虫の鳴き声、風が涼しくてさわやか、となりの庭の柿の木の横へ投げると、カキの実がびっしり実った。
暑い日には冬のカンヅメを開けると、「雪は本物じゃないよ。感じをだすためのかざりだ」と言いながらも、「ビュウ ビュウ ビュウ ビュウ」と吹雪になってしまった。すずしいどころではなく、寒くなり、のび太はママにセーターを出してもらおうとしている。
ママから「ばかなこといわないで! えっ、そんなカンヅメがあるの?」となり、ドラえもんから冬を一個もらい、少し寒いけど、わたし冬が好きといいながら、家中を冬にしてしまった。パパは「ハクション」と大きなクシャミをし、「だれだ!? こんなへんな物おいたのは?」と窓の外に投げ捨ててしまった。
ドラえもんに夏をもらい、ミーン ミーンミーン ミーンとセミの鳴く夏に家中をしてしまった。
パパとママがけんかしていたら、となりの主人から「いいかげんにしてください!! つぎつぎにへんなカンを投げこまれてうちの庭はめちゃめちゃですぞ!」と抗議されてしまった。
たしかに、となりの家の庭では、ウグイスが「ホーホケキョ」、セミが「ミーン ミーン ミーン」、虫が「チンチロリン」と鳴き、そのうえ、「ビュウ」と吹雪になっていた。
[S0931・A4416・037809]