ウラオモテックス[★★]
[初出誌] 『ウラオモテックス』、「小学三年生」1976年6月号、7頁、48コマ
[単行本] 『ウラオモテックス』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第12巻」1976年12月25日 初版第1刷発行、7頁、48コマ
[大全集] 『ウラオモテックス』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 7」2010年4月28日 初版第1刷発行、7頁、48コマ
【初出誌vs.大全集】
変更なし
[梗概] スネ夫がジャイアンに「よっ、人気歌手。これからテレビ局?」と声をかけると、ジャイアンから「おまえのじょうだんはいつも気がきいてるな」と誉められた。それに対して、スネ夫は「いやいや、きみの歌にはかなわない。
こんどのリサイタルいつ? 楽しみにしてるんだよ」と答えたので、有頂天になったジャイアンは「ラ~ラ、ララ~」と歌いながら去っていった。「ぷっ、ばかはおだてやすいよ」と言われたのも知らないで。
スネ夫はしずちゃんによその家のバラを切りとって、「きれいな花は、きれいな人にこそふさわしいのさ」と言いながら、そのバラをプレゼントしている。のび太のママには、「おばさんて、会うたびに若くなれますね」とよいしょし、さらに、宿題を終えて、夕方まで三つの塾を回ると告げている。
家に帰ったママから、のんきに足でヨーヨーをしているのび太は、「あなたもスネ夫さんを見習いなさい」と注意されてしまった。
のび太がスネ夫は塾へは行かないでさぼり、先生におべっかを使っているから、叱られずにすんでいると、反論すると、「お友だちのこと、そんなふうにいうもんじゃありません。あなたのひとがらがうたがわれるわよ」と言われる始末であった。
ドラえもんから「うわべばっかりかざる人間は、いつかきっとぼろをだすさ」と言われたが、腹の虫が治まらないのび太は「いつかぼろをだすまでまっていられない。いますぐぼろをださせてやる」と言いながら、出掛けている。
ジャイアンに往来で会うと、「おれの新曲。どう?」と尋ねられたが、スネ夫のことが頭いっぱいで、「そんなことより、スネ夫しらないか」と言ってしまった。ジャイアンは「おれの芸術をそ・ん・な・こ・とだと!? スネ夫のつめのあかでもせんじてのめ!」とのび太をコテンパンにやっつけて、この捨て台詞とともに去っている。
腹を立てたのび太がしずちゃんに、「スネ夫のばかやろうしらない?」と尋ねると、バラを手にしたしずちゃんは、「そのいいかた、ひどすぎると思うわ。スネ夫さんはとってもやさしくてデリケートな心の持ち主よ」と弁護している。
のび太が「なんだい! 花一本もらったぐらいで、そんなにうれしいの」と言って、よその家のばらを一本折ると、その家のおばさんに「毎日、花をぬすんでいくのは」と、首の根っこをつかまれてしまった。
その光景を見て、スネ夫は「ぼくの友だちが花どろぼうだったなんて…、ああ、ぼくははずかしい。ぼくからもおわびします」と申し出ている。
のび太の悔しさを十分理解したドラえもんはひみつ道具『ウラオモテックス』を出している。路上で、スネ夫がおばさんたちに、「この問題をクラス全員で話し合ってみたいと思います」とかっこよく提案している。
そのスネ夫の背中に「ウラオモテックス」を貼ると、「けちけちするなってんだよ。こんなにさいてるのに」と激変し、「ぼくなんか毎日とってるんだ」と、何本を千切ってしまった。
その花をしずちゃんの部屋に投げ込み、「ただで花をやってるんじゃないぜ。ぼくが宿題みせろといったらいやな顔をすんなよ」と毒づいている。
さらに、ジャイアンが「おう、心の友よ。新曲を聞いてくれ」と歌い出すと、「うんざりだなあ。ばかのごきげんをとるのもらくじゃないよ」と口走ったため、「ギャ~」と悲鳴をあげる結果になってしまった。
のび太は「ウラオモテックス」のすごさがわかり、やっと、みんなもスネ夫の正体がわかったらしいと安心していた。ママが道路に打ち水をしていると、ジャイアンなどに痛めつけられたスネ夫がやってきた。
「おばさん、またしわがふえたね。できの悪いむすこをもつと、苦労するんだね」とストレートに言われたので、「はっきりとほんとのこといわれて、ママははずかしかったわ」と、再度のび太は叱られることになってしまった。
[S0716・A1203・037606]