はこ庭スキー場[★]
[初出誌] 『はこ庭スキー場』、「小学三年生」1974年2月号、9頁、59コマ
[単行本] 『はこ庭スキー場』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第6巻」1975年1月1日 初版第1刷発行、9頁、59コマ
[大全集] 『はこ庭スキー場』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 4」2009年12月30日 初版第1刷発行、9頁、59コマ
【初出誌vs.大全集】
「なんか言った?」が「なにかいった?」に変更[237(9)]
「ゆっくり遊んどいで」が「ゆっくりあそんでおいで」に変更[239(8)]
「キャーツ」が「きゃあ」に変更[241(3)]
「ふ、月だよ。たぶんね」が「月だよ、たぶんね」に変更[241(4)]
[梗概] しずちゃんが涙を流しながら、「どうせむだよ。あんたたちに話したって」というので、スネ夫は「しずちゃんみたいなかわいい子が悲しそうにしていると、がまんできないんだ」と話しかけた。それを聞いて、のび太は「うまいこというなあ」と思った。
さらに、「なやみや苦しみをわけあってこそ、友だちじゃないか。しずちゃんのためなら、どんなことでもするよ」と付け加えている。
しずちゃんはどこも満員で、予約が取れないため、パパとスキーになんとか行けるようにしてと頼むと、スネ夫は「スキーなんて、つまんないよ。人ごみであぶないし、長い行列だし…」と説明したが、「それでもいきたいの」と言い張るので、スネ夫はどこかへ走って行ってしまった。
しずちゃんが「ずるい! ずるい! うそつき」と叫ぶので、のび太は「ぼ、ぼくは口先ばかりの、うまいことなんかいわない。かならずスキーにつれていく」と約束してしまった。
その話をドラえもんにしても、「無責任とか、ぼくが寒さに弱いの、知ってるくせに」と言って約束に耳を傾けてくれませんでした。のび太が「うそつきになってもいいのか」、「ささやかな少女のゆめを、かなえてあげたいと思ったのに…。
でも、しかたがないや」としんみり話すと、ドラえもんも何かを出そうとし出した。その様子を見て、のび太も「ぼくもけっこう、うまいこというよ」と舌を出している。
ドラえもんは「四次元ポケット」からロッジやリフトを出して、スキー場を造りだした。すると、のび太が箱庭なんか作ってくれとは言わなかったと抗議したが、ドラえもんは機械を使ってゲレンデに雪を降らせて見事なスキー場を完成してくれた。
のび太がしずちゃんを誘いに行くと、喜んだしずちゃんから、「万座? 赤倉? 志賀高原?…」と尋ねられたが、うまく返事ができなかった。ドラえもんから、だれにも知られていない素晴らしいスキー場で、場所が秘密だから、ちょっと眠ってほしいと、ふたりはスプレーをかけられた。
ふたりは縮んで小さくなり、「グウグウ」と眠りだした。ドラえもんは眠っている二人を、箱庭スキー場に「ポイ」と投げ入れている。
ふたりが目覚めると、目の前のスキー場はすいていて、ぶつかる心配もなく安全に滑ることができた。リフトも待たずに乗ることができ、しずちゃんは「ヤッホー」と叫び、右手をあげながら快適に滑り出した。一方、のび太は全く滑れず、「ゴロ ゴロ ゴロ」とゲレンデを転がり出した。
ドラえもんが箱庭スキー場をのぞきこむと、しずちゃんが「キャア」と叫び、丸いものが見えたとのび太に告げている。のび太は月だよと答えたが、しずちゃんはこんな真っ昼間に、月なんてと不審に思った。
さらに、ママの声が聞こえ、そのうえ、「まいどおなじみのちり紙こうかんです」といった声が聞こえてきた。まずいムードになってきたので、ドラえもんはスキー場に、ひみつ道具のライトを使って、きれいな虹を出している。
しずちゃんが同じ所ばかり滑るので飽きてしまい、かっこよく別の方へ滑って、端っこの壁に「コツ」とぶつかってしまった。ばれそうになったので、ドラえもんは「ゴウ」と吹雪の状態を作り出した。のび太はちょっとやりすぎだと思い、しずちゃんものび太さんのいうことを聞けばよかったと言い出した。
ロッジを探したが見つからず、しずちゃんはめずらしく「もう…歩けない、のび太さんひとりでいって!」と言って気絶してしまった。のび太は「きみをみすてることなんてできるもんか」と言いながら気絶したしずちゃんを背負って帰ることになった。
ドラえもんはその姿を見て、「それをまってたんだ」とウインクして応援している。次の日、しずちゃんはジャイアンやスネ夫の前で、「のび太さんて、すごく、たよりになるのよ」と話していた。
[S0435・A0604・037402]