進化放射線とモニターテレビ[★★]
【道具解説】 ひみつ道具である『進化放射線』を出す機械の「進化加速ダイヤルを最高にセットしておけば、ざっと十億年分の進化を十日間で終えて、コケは火星人になる」 「進化の方向はモニターテレビを見ながらコントロール」できる。
【使用目的】 ドラえもんはのび太からスネ夫のいんちきなUFOの話を聞いた。すると、ドラえもんはインチキな物ではなく本物のUFOを撮ると言い出し、「進化放射線とモニターテレビ」を取り出した。
【使用結果】 ドラえもんは庭にロケットを準備し、そのロケットで「進化放射線」を火星に送るため、マッチで「ボム」と花火のごとくロケットを打ち上げている。
モニターでチェックしながら、コケの生えている付近でロケットを逆噴射させながら、軟着陸に成功させている。一方、ドカンのある広場では、ジャイアンの投げたUFOの模型をスネ夫がカメラで撮影してしていた。その二人に、のび太は十日ほどしたら本物を撮影するという謎の言葉を告げている。
モニターには、日光や風に反応してコケがかすかに動き出したので、ロケットから熱風を吹き出して、地面をカラカラにし、その中でたくましく生き残る新種を見つけようとしていた。ドカンのある広場では、のび太はジャイアンやスネ夫にいじめられていた。
なぜならば、前に写した写真に、ニコニコしたのび太の姿が写っていたからである。十日たったら本物のUFOを撮るという話を思い出した二人は「おれたちも、インチキなかまにいれろ!」と執拗にのび太を追い回していた。
モニターを見ると、キノコみたいな生物が群れをなしてカビを食べ始め出し、火星に原始社会が生まれ、村らしいものもでき始めた。やがて、「ドン ドン」発展して、人口も増え、大規模な工事も行われるようになった。近代都市が生まれ、車や飛行機もモニターに見えるようになった。
火星の家庭では、子どもがパパに、地球に人間がいるとか、『宇宙戦争』という本に書いてあった、地球が火星に攻めてくるという話をしていた。その子は宇宙ロケットを作って、地球を探検するんだと言いながら床についていた。
火星では、地球探検隊の門出がテレビで実況中継されていた。アナウンサーは「人類は第一歩をふみだしたのです! はたして地球人は実在するか! まもなくその謎もとかれようとしているのです!」と熱く中継している。
円盤型の宇宙船から、大気圏突入するという一報が入った。地球には文明があり、大都会では空気の汚れもひどく、ものすごい騒音がすると、レポートしている。目の前にジャイアンやスネ夫が現れると、なんという凶暴な顔つきだろう! と驚き、のび太を「バカバカ」といじめると、野蛮人と報告している。
テレビでは、『UFOレンジャー』が始まり、「われわれは地球の平和を守るため、毎週たたかっているのだ!」のナレーションに対して、のび太やドラえもんは「やれやれえ! 宇宙人なんかにまけるな! やっちまえ!」と画面に向けて怒鳴っている。
野比家の窓の外からこの光景を見ていた火星の探検隊は「な、なんというおそろしい…。地球人は血をみるのが大好きなんだ。もうとてもこんなおそろしい星にはいられない。はやく火星にかえってみんなにもしらせよう」と驚愕しながら、「フラ フラ~」と飛び立つと、円番さんの後頭部に「ゴツン」と衝突し、地面に墜落してしまった。
それを拾った円番さんは例の写真のUFOのおもちゃだと勘違いして、「わしはだまされていたのか!」と腹を立て、思いっきり「ポキャ」と蹴り飛ばしてしまった。スネ夫はUFOだと思い、写真をカチリと撮ったので、ジャイアンとスネ夫は「やったあ! ついに本物の撮影に成功した!」とお互いに手を取り合って大感激した。
モニターで、UFOの大群が飛び立つのを確認することができたので、地球にやってくるものと思い、のび太とドラえもんはカメラを持って屋根の上に待機していた。実際は、「なにっ! 地球にはそんなおそろし人種がすんでいるのか! いつ火星へせめてくるかわからないぞ。
地球の近くなんか、とても安心してすんでいられない。遠い星へ移住しよう」というのが事の真相であった。火星の都市がみるみるうちに廃墟になっていくのがモニターに映し出された。
ジャイアンとスネ夫が写した決定的な写真を円番さんに、「信じてよっ! こんどこそ本物なんですよっ!」と執拗に追いかけたが、円番さんからは「ええい! まだわしをだますきかっ」と全く信用されなかった。
[S20190・A13174・097608]