正直太郎[★★]

[初出誌] 『正直太郎』、「小学三年生」19739月号、9頁、63コマ

[単行本]  『正直太郎』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第2巻」197491日 初版第1刷発行、9頁、63コマ

[大全集] 『正直太郎』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 420091230日 初版第1刷発行、9頁、63コマ

 

【初出誌vs.大全集】

 変更なし

 

 [梗概] のび太のママの弟である玉夫おじさんは、好きな人の前に出ると舌がもつれてなにも言えなくなるといった件で、パパやママに相談して元気付けてもらっていた。のび太はこうした大人の話が大好きなので、話に加わろうとしたが、ママから「大人の話に、口をだしちゃだめ!!」とキッパリ断られてしまった。


 好きな人に気が弱くてなにも言えない、気の毒なおじさんのためにドラえもんはひみつ道具である『正直太郎』の人形を取り出している。このひみつ道具を持つと、持っている人の思っていることを勝手にしゃべりだす。

 

  例えば、のび太が持つと、この人形は「ドラえもんはいつ見ても、おもしろいゆかいな顔だなあ」とペラペラしゃべり出した。

 

 ママからテストの話を聞かれると、のび太が「先生が休んじゃって・・」と答えたが、「正直太郎」は「ほんとはあったんだよ。でも、0点とったから」とペラペラしゃべり出した。そこで、のび太は「あんまり正直すぎるよ」とドラえもんに訴えると、「そこがこまったとこなんだ」との返事であった。

 

  往来で禿げたおじいさんを見ると、「ハゲゴリラ」と、ブルドッグ連れた奥さんを見ると、「そっくり! 親子じゃないかしら」と大きな声でしゃべり出すので、おちおち往来も歩くことができなかった。ひとまず、木陰にこの人形を隠して、玉夫おじさんを追い掛けることになった。


 バス停で追いつくと、玉夫おじさんはあの人はぼくを嫌っており、デートするたびにプンプン怒って帰ると語るので、のび太は「もう一度だけさそってみなさいよ。いい物かしてあげるから。ふたりで公園のベンチでまっててね」と念を押して別れた。


 ドラえもんが木陰に隠したひみつ道具を、スネ夫が見つけ、ちょっと借りると言いながら、往来を歩いていると、ジャイアンに出会った。すると、ひみつ道具が「こいつよくばりだから、人形を横取りされるかもな」としゃべったので、顔を真っ赤にしたジャイアンに殴られて、ノックアウトされてしまった。

 

  しばらくすると、スネ夫は「おまえなんか、こわれちまえ!!」と怒鳴りながら、この人形を蹴り飛ばしてしまった。


 キョロ キョロ ソワ ソワしながら、玉夫おじさんは彼女と一緒に公園のベンチでドラえもんたちを待っていた。彼女から「ねえ、なにか用があるからよんだんでしょう!!」と詰問された。

 

  すると、玉夫おじさんはしどろもどろになりながら、正直に「のび太くんがどうしてもというから」と白状すると、彼女は「じゃあ、のび太さんとデートすればいいじゃないのっ」とプンプンに怒って、どこかへ行ってしまった。


 その時、ドラえもんたちは木陰に隠した「正直太郎」を探していたが、スネ夫がすでに持っていったため、どうしても見つけることができなかった。一方、彼女が公園の滑り台のところへ来ると、一匹の野良犬がかわいい人形にじゃれていた。

 

  彼女は誰が捨てたのかしらと心配しながら、拾い上げて、抱きかかえると、その人形は「あたしほんとは、玉夫さん大好きなの。それなのにあの人がはっきりしなくて。あたしのことどう思っているのか……」としゃべり出した。


 それを耳にした玉夫おじさんは「今いってたこと、ほんと!?」と尋ねると、彼女も顔を真っ赤にして、「い、今のはあれは……」と答えている。ドラえもんとのび太がふたりに近づくと、ふたりは仲良くブランコに乗っていた。

 

  玉夫おじさんも、はっきりと「ぼくずっと前から、きみのこと大好きで!」と告げていたので、のび太は「べつにせわをやくことなかったなあ」といった感想を漏らしている。
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