ぼく、マリちゃんだよ[★★★]

[初出誌] 『人気タレントこうたい』、「小学三年生」19737月号、15頁、110コマ

[単行本]  『ぼく、マリちゃんだよ』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第8巻」1975725日 初版第1刷発行、15頁、110コマ

[大全集] 『ぼく、マリちゃんだよ』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 420091230日 初版第1刷発行、15頁、110コマ

 

【初出誌vs.大全集】

 タイトル『人気タレントこうたい』が『ぼく、マリちゃんだよ』に変更

 「い、いやぼくだ!!」が「いーや、ぼくだ!!」に変更[161(7)]

 「こーんなになかいいんだもんね」が「こぉんなになかいいんだもんね」に変更[163(4)]

 

 「えーっ、ぼ、ぼくテレビに出るの?」が「ええっ、ぼ、ぼくテレビに出るの?」に変更[165(1)]

 「かーえろ」が「かあえろ」に変更[166(4)]

 「あー、自由っていいな」が「ああ、自由っていいな」に変更[169(1)]

 「休めた?マリちゃん」が「休めた?」に変更[169(4)]

 

【単行本vs.大全集】

 「ン、モウ 大大大ファン!!」が「ン、モウ、ファファン!!」に変更[157(6)]

 

 [梗概] ドラえもんは丸井マリの大ファンで、こっそり彼女のブロマイドを大量に収集していた。きょうも、テレビの前で、陶酔しきった顔をして丸井マリの歌に聴き惚れていた。

 

  のび太が「なんだい、あんなの。ちょっとばかりかわいい顔して、歌がうまいだけじゃないか」と丸井マリをけなすと、「ゆるせぬ!!」と立ち上がったドラえもんはのび太を引き寄せ、「丸井マリの悪口をいうことは…」と言いかけた。そのとき、外で「ガヤ ガヤ ザク ザク」と大きな音がした。

 

 窓を開けると、ジャイアンが「丸井マリが、公園でロケをやってんだ」、スネ夫が「サインをもらうん」と言うので、ドラえもんは窓から飛び出し、「ダダッ」と公園を目指して駆け出している。

 

  のび太も「ダダダダダ」とドラえもん以上にハッスルして、駆け出した。公園に着くと、丸井マリが自動車の中から、どこかへ消えてしまっていたので、みんなはがっかりして帰ろうとし出した。

 

 ドラえもんがドカンの中から「グウ」という音が聞こえてきたので、のぞき込むと丸井マリが眠っていることに気づいた。丸井マリから「ここにいること、だれにもいわないで」と頼まれたので、「いわない!! ぜったいに」と約束し、「も、もし、ねむかったら、うちで休みませんか」と誘いをかけた。

 

  丸井マリが家についてきたので、ドラえもんは「ゆめじゃないかしら」と涙を流して、感激している。

 

 のび太の部屋に案内すると、丸井マリはコーヒーを飲みながら、「こっそりにげだしちゃたのよ。なにもかもいやになって。あなたたちがうらやましいわ。できればかわりたいぐらい」と告白するので、ジャンケンの結果、パーで勝ったのび太が替わることになった。

 

  ドラえもんの出したひみつ道具『トッカエバー』のはしっこをお互いにもって、「ブウン」と替わることになった。

 

 のび太はいっぺんスターになってみたかった夢が実現したので、ドラえもんといっしょに外に出かけることにした。ふたりで歩いていると、ジャイアンとスネ夫に「丸井マリ!!」と指さされることになった。

 

  ドラえもんが友だちで、こんなに仲がいいと、丸井マリから頭をなぜてもらうと、ジャイアンもスネ夫も本当に「うらやましい~」と思った。サインを頼まれたので、「サラ サラ」とのび太という名を書いている。ファンにつかまり大騒動になったので、その輪からほうほうのていで退散すると、偶然に、丸井マリのママの乗った車に避難することができた。

 

 ロケが日のべになったので、テレビ局の『歌のグランプリ』に出ることになった。司会者に紹介され、楽団の「ブン チャッ チャッ」の伴奏に合わせて、歌おうとしたが「ブル ブル ブル ガチガチ ガチ」と全身が震えてしまった。

 

  「なにやってんだ」と怒鳴られたので、「ドガジャーン」と歌い出すと、みんなひっくり返ってしまった。レコードに口だけをパクパク合わせて歌ったので、なんとか終えることができた。冷や汗をかき、やっぱしむりだと思って帰ろうとしたら、雑誌社のインタビューがまっていた。

 

 記者から、マリちゃんの趣味はなんですかと聞かれたので、「テレビ。マンガ。昼寝」と答えると、ママがのび太の口を押さえながら、「音楽、読書ざますのよ。ホホ…」と訂正し、すきな食べ物はと聞かれたので、「しるかけごはん!」と答えると、その後、ママが代わりに「ペラ ペラ ペラ ペラ」と答えることになった。

 

  「ソロリ ソロリ」と帰ろうとすると、ママにつかまってしまった。その後、夜中の二時まで、五つのスケジュールがぎっしり組まれていた。移動する車の中で、「死んじゃうよっ」と泣け叫び、ドラえもんが助けてくれるのを待つことにした。

 

 ペカコーラのコマーシャルの撮影中、ドラえもんがひみつ道具『人探し機』でのび太を発見して、連れ去ろうとした。すると、ママが「このへんなたぬきみたいなのは、なんざます」と行く手を挟んだので、カッとなったドラえもんは「トッカエバー」をのび太に投げ渡した。

 

  そして、のび太が反対の端をママに握らせ、「ブウン」と交代した。のび太は「いやだなあ。おばさんになるなんて」と不満を漏らしていたが、自由になったので、はやく家に帰って昼ご飯を食べようとした。

 

 家に帰るとのび太と交代した丸井マリはママの姿を見て「キャーッ」と叫び、「ここまでママがおいかけてきた」と怖じ気づいていた。ママが交代したのび太と知って、ホッとして、昼食をごちそうになることになった。丸井マリも「こんなにのんびりできたのひさしぶりよ」とご満悦であった。

 

 夜になったので、みんなで「タケコプター」を装着し、ドラえもんはさらに、「人探し機」を携えて、ママを探しに出かけた。

 

  マリ姿のママは公園のベンチに座っていたので、近づくと、「あんまり仕事がたいへんで、こっそりぬけだしてきたざます」と語り、ママ姿ののび太の手を握って、「ママをゆるしてちょうだいませ」と涙を出して謝っている。そのかたわらで、のび太姿のマリちゃんは「わたしこっちよ」と指さしていた。

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