実感帽[★★]
【道具解説】 ひみつ道具である『実感帽』を被って、出したい物の姿を頭の中に浮かべると、目の前にそのものが現れてくる。ただし、幻であるため、本人以外は目にすることができない。
【使用目的】 買うことができないので、のび太は空想の飛行機を「ブーン ブーン」と言いながら、飛ばしている姿を見て、ドラえもんはいじらしくて「ホロリ」としたので、「実感帽」を出している。
【使用結果】 「実感帽」を被って、のび太の最初に思い浮かべた飛行機が「ゴト」と目の前に現れたとき、とてもかっこの悪いものであった。しかし、二回目に、本の広告をじっくり見、よく考えて思い浮かべると、「おもさといい、てざわりといい、本物としか思えないような」すばらしいできばえになった。
のび太がテスト飛行をするため、広場に出向いて、「右まわりり。左まわり。ちゅうがえり」と大きな声を出して、ひとり楽しんでいた。何も見えない、ジャイアンとスネ夫は「ガハハハハ ゲラゲラガラ」と大わらいし、「前からおかしなやつだと思っていたが、ほんとにおかしくなっちゃった」と噂していた。
のび太は二人を思い浮かべて、地上に「ドサ」と落下させたり、思いっきり「ボカ ボカ」殴って、憂さを晴らしている。
しずちゃんにこの帽子を貸すと、大事そうに何かを抱えて大喜びしていた。ジャイアンとスネ夫が何を抱えているのと尋ねると、「見えないの? このすてきなお人形が」と言われて、はじめてこの帽子の威力に気づいた。
のび太が帽子をジャイアンに奪われそうになったので、「ライオンとびかかれ!」と叫んでも、まぼろしは人に通じないので、帽子を奪われてしまった。
ジャイアンが帽子を被って、「おれがほしいものはだな。あれと、あれと、あれと…」と次々思い浮かべると、目の前に現れ、「おっ、こりゃかっこいいぞ。こいつはうまいや。こりゃすげえ、ウヒウヒウヒ」と大層のご満悦であった。
しばらく借りて、夜も帽子を被って寝ることにした。ジャイアンは朝になって登校するときも、「まだおってくる。いいかげんにきえてくれ」と懸命に逃げていた。ドラえもんにものび太にも、ジャイアンが何を怖がっているか、皆目見当もつかなかった。
[S06353・A18103・057706:116]