ジキルハイド[★★]
【道具解説】 ひみつ道具である『ジキルハイド』を飲むと、「ひとつぶにつき十分間、まるっきりひとがらがあべこべになる。おそろしいくすりだ」
【使用目的】 のび太はジャイアンから望遠鏡を返してもらうために行ったけれども、ジャイアンからしんみりと欲しいものを、なんでも買ってもらえないとつぶやくのを耳にして、断念して帰宅してしまった。ドラえもんはのび太のお人好しを直すために「ジキルハイド」を出している。
【使用結果】 のび太が「ジキルハイド」をひとつぶのむと、「やい、ドラこう! さっきはえらそうにお説教なんかしやがって。ひげが気に入らない! ぬいてやる」と暴れまくり、「ハッ」と気づくと、目を回して横たわっているドラえもんのひげをつかんでいた。
望遠鏡を取り返すため、このくすりをもってジャイアンの家に行き、玄関前で「ジャイアン」と呼んだあと、「パク」と薬をひとつぶ飲んだ。すると、トイレの窓から顔を出し、「いまトイレだ。終わるまでまってろ」と言われてしまった。
家に上がると、「望遠鏡のことじゃないだろうな。あれなら、話はすんでるからな」と告げられたので、のび太はもうひとつぶ飲んで、「ジャイアン!」と怒鳴ると、顔を真っ赤にしたジャイアンが「おれにむかってその口のききかたはなんだ」と逆襲してきた。
のび太がそれ以上の迫力で、「なんだとはなんだ」と反撃したので、「おっかねえ。返すよ」と言い出した。
のび太のくすりが切れると急に「ショボ」としたので、「こわくなくなったぞ。よくもおどかしやがって、このう」と立ち上がって近づいてきた。のび太はくすりのふたが取れなくて、焦っていると、くすりの入っているビンを取り上げられてしまった。
ジャイアンは「強くなるくすりのんでたのか!」と言いながら、ふたをいとも簡単に「ポコ」と抜き、「ガバ ガバ」と全部飲んでしまった。
家に帰って、ドラえもんと「おっそろしいことになるぞ」と震えていた。なにをされるかわからないので、夜逃げしようということになった。
ジャイアンが「あの…、のび太さんいらっしゃるかしら」と家にやってきたとき、ドラえもんは唐草模様の風呂敷を背負って、のび太と夜逃げするところであった。
二人の前に正座すると、ジャイアンは「望遠鏡やなんか、いままでおかりしたものです」と差し出した。そして、さめざめと泣きながら、シャツの端で涙をぬぐい、でべそを出して、「あたしって、いけない子だったわ。ゆるしてちょうだいね」と謝っている。
この姿を見て安心したドラえもんは「らんぼうなひとがらが変わって、おとなしくなったんだ」とのび太に説明していた。
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