幸せトランプ[★★]

【道具解説】 ひみつ道具の『幸せトランプ』は、持ち主ののぞみを何でも自動的にかなえ、一つかなえるごとに一枚カードが消えるものである。五十二枚使ってジョーカーが残ると、それまでのうめあわせで不運がたばになってふりかかり、どこへ捨てても持ち主に「スポ」と返ってくるものである。ただ、持ち主はほしい人にゆずることができる。

 

【使用目的】 部屋の中に「ピカ ピカ」のトランプが置いてあったので、のび太はしずちゃんとババヌキをして楽しく遊んだ。ドラえもんからそのトランプは「幸せトランプ」であると知らされた。しかし、最後にジョーカーが残った時、不運が襲いかかるという怖いトランプであることも分かった。

 

【使用結果】  ママが「のび太!! きょうも先生にあんたの成績のことで…」と怒鳴って、階段を「ドドドド」と上がってきたとき、突然電話が「ジリリリリン」と鳴り、のび太は電話の鳴っている間に脱出に成功することができた。

 

  頼みもしないのに「幸せトランプ」のカードが一枚なくなり、ドカンのある広場でションボリしていると、スネ夫がやってきた。カードのジャーカーの話をしても、スネ夫は「いいからいいから」と積極的にもらってくれた。

 

 スネ夫が玄関前で、「パリにいきたいな。マロニエの並木をそぞろ歩きながら詩を作るんだ」と口にしていると、ママにパパからパリに出張することになり、春休み家族と一緒に行くことができるようになった、という電話がかかってきた。

 

 スネ夫が一枚カードが減っているので、外に出てジャイアンにこのカードのすばらしさと最後のジャーカーの話をすると、ジャイアンは「そんなおっそろしいものを、よくもおれに」と腹を立てたが、スネ夫から「まだ五十枚もあるんだよ。

 

  早いとこのぞみをかなえさせて、だれかにやればいいんだ」との指示により、ジャイアンは快く引き受けことになった。

 

 家の前で、「野球のユニフォーム、コンピューターゲーム、今川焼きを山ほど食ってみたいし、松本伊代のブロマイド…」と指を折りながら、部屋へ帰ると、かあちゃんが「ドタ ドタ」とやってきて、「おまえ、宝くじひろってとどけたことあったろ。一等当選で、落とし主が現れないんだって」と知らせにやってきた。

 

 その後、「しあわせトランプ」で、安雄は自転車、はる夫は携帯ラジオ、ケンちゃんはギター、ハル夫は電子ゲーム三十種…と望みを叶えて、大評判になっていた。

 

  のび太は「あわてて人にやることなかったんだ!! とり返す!!」と叫んで、男の子のところへ行くと、ゴジラからよっちゃん…、最後にたどり着いた女の子から、あと二枚といって強引に手渡されてしまった。

 

 のび太がたき火の中に「ポイ」と捨てても、「スポ」と戻り、粗大ゴミ集積所のハンディな金庫に「ガチャ」と入れても、「ガッ」と戻ってきた。

 

 ひとりドカンのある広場に隠れていると、ママが先生と会い、「またのび太がテストでひどい点を…。あまり強くしかって、やる気をなくされても…。では、きょうは許してやりますわ」の会話が聞こえてきた。

 

  これで家に帰れると思い金庫をのぞいてみると、ジャーカー一枚だけになっていた。「不運がたばになってふりかかるんだ!! ドラえも~ん!!」と泣き叫んで走っていると、見知らぬ男に「ドン」とぶつかられ、金庫をひったくられてしまった。

 

 家に帰ってそのことをドラえもんに話していると、テレビでは、「運の悪いひったくり常習犯がつかまりました。イヌにかまれ、ドブにおち、車にはねられて、おちたところが交番だったのです」といった、ニュースが流れていた。

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