のろのろ、じたばた [★★★]

[初出誌] 『くすりでジタバタ』、「小学三年生」19713月号、15頁、110コマ

[単行本]  『のろのろ、じたばた』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第5巻」1974121日 初版第1刷発行、15頁、110コマ

[大全集] 『のろのろ、じたばた』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 12009729日 初版第1刷発行、15頁、114コマ

 

[梗概]  のび太はドラえもんの大好きなどら焼きを差し出しながら、今日も宿題を手伝ってもらおうとしていた。ドラえもんは「宿題ならダメ」と断固拒絶している。そして、「このへんで、てってい的に反省してみる必要が、あるんじゃないかな」と説教を始め出した。

 

 のび太は相変わらず、ドラ焼きを食べながら、「そう言われれば…。そうね…。なぜだろうかね…」、挙句の果て、「ゆっくり考えてみる」と言い出し、まるで反省しているように見えなかった。

 

 堪忍袋の緒が切れたドラえもんは「それがいけないんだよ。のんびりしすぎてるんだよ」と激怒し、「やるべきことは、ぱっぱっとやらなくちゃ」と檄を飛ばしている。そして、気持ちも体の動きも速くなるひみつ道具『クイック』と逆の『スロー』を、のび太の目の前に「ドン」と出している。

 

 「クイック」を飲ませようとすると、薬はきらいだと逃げ回り、ほんとにいい薬なら自分も飲むと言うので、まず、ドラえもんが飲むことになった。

 

 ドラえもんが「クイック」を飲むと、「イライラ ソワソワ」したり、「ウオアワ~」と叫んだりして、「やれ! 宿題! できたか? できたか? ぱっぱとやんな」と矢の催促。

 

 しずちゃんの家へ宿題の相談に行くと、しずちゃんの家でお茶を飲む前に、「ごちそう」と言い、「やきいもは、食べるまえにおならをする。ボム」といった状態であった。食べたら「さようなら」とのび太の頭を手で押して下げさせ、用事が終わらないうちに、玄関を出ようとして、のび太に注意されている。

 

 のび太は薬の効き目がわかったので、往来で「スロー」を飲んで、もとに戻ってと頼んでいる。ドラえもんは「じゃ、きみクイックを飲むか! 飲むか!」と催促し、のび太が「飲む、飲む、飲む」と言うので、ドラえもんは慌てふためきながら薬を飲んだ。

 

 しかし、飲んだ薬が「クイック」であったので、走り出したら止まらなくなり、「スロー」を手渡そうとしても、受け取れないような状態になっていた。のび太が追いかけようとしても、ドラえもんはものすごいスピードで、のび太の目の前から消えてしまった。

 

 のび太はドラえもんが路上に出していった薬のビンを拾って飲むと、その薬は「クイック」ではなく「スロー」であることに気付いた。のび太は「フア~ ウファー、ファー ファー ファー」とため息をつきながら、「ノロ ノロ」と家に歩き出した。その脇をものすごいスピードで「ビュー」とドラえもんが駆け抜けている。

 

 ドラえもんは家に帰っても、「ビュー」と家の中を駆け回り、窓ガラスを「ガチャ」と破って外に飛び出している。ドラえもんは「からだはクタクタなのに、気ばかり、あせって。はやく、くすりを飲まないと、こわれちゃう」と言いながら、相変わらず猛烈なスピードで駆け回っていた。

 

 一方、のび太はのんびりとカタツムリと競争を始め出した。のび太は負けるもんかと思ったが、負けそうになったので頑張ってみた。しかし、結局、最後は負け、カタツムリさんにきみはは速いねと、声を掛けている。のび太が家に帰り、ビンの前で「ノタ~」として座り込んでいた。

 

 のび太が「それは…」と説明する前に、パパとママがうまそうなドロップがビンの中に入っているので、「パク」とふた粒ずつ飲んでしまった。すると、二人は「ガク ガク ガク」となったあと、部屋の中を「ドタ ドタ」と走り出した。

 

 ドラえもんは青森まで行って、やっとくすりが切れたので、家に戻ってきた。のび太もくすりが切れて元の状態になったので、宿題を始めることにした。しかし、パパとママは相変わらず部屋の中を「ドタ ドタ バタ バタ」と駆け回っていたので、のび太は「だから、くすりはいやだというんだ」とドラえもんに強く訴えている。

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