雑誌作りセット[★★]

【道具解説】 ひみつ道具である『雑誌作りセット』(113)では最初に、どんな雑誌にするかを『編集ロボット』(445)に相談する。次に、『まんが製造箱』(113)に見本のまんがを入れると、「ウイン ウイン」とコンピューターが絵柄や作風を分析し、製造箱は見本そっくりの能力を身に付ける。

 

  最後に、原稿を『製版印刷製本機』(113)が雑誌にまとめて製本する。

 

【使用目的】 のび太が『大宇宙の大怪魔』という三十二頁の作品を『週刊少年ジャブン』に投稿した。しかし、佳作にも入選にも入らなかったので、仰向けに寝っ転がって、「ぼくのまんがをのせてくれる雑誌がないかなあ…」と呟いていると、ドラえもんが「雑誌作りセット」を出してくれた。

 

【使用結果】 のび太はドラえもんの忠告にも耳を傾けないで、今までに描いたマンガを「週刊のび太」に載せることに決め、さらに、表紙も自分の写真を使うことにした。原稿をセットの「製版印刷製本機」に入れると、「ゴト ゴトン バタ バタ ザク ザク」と、アッという間に何冊も刷り上がげることができた。

 

  全国の書店で売り出すため、ひみつ道具『遠写カガミ』でコマーシャルを積極的に流したので、のび太の家に町内の子どもたちはもの珍しそうに集まってきた。

 

 一冊百円の「週刊のび太」をひと目見ると、だれも買わないで帰っていこうとした。のび太は「ただでもいいから!」と叫んで追い掛けたが、誰ひとり買うものが現れなかった。そのため、毎度おなじみのちり紙交換の業者に全部引き取ってもらうことになってしまった。

 

 ドラえもんの忠告にしたがって、のび太はセットの「編集ロボット」と相談しながら、まず、読者が何を読みたいか、アンケートで調べることにした。次に、好きなまんが家、手塚治虫、鳥山明、松本零士、ちばてつやなどを選んだ。

 

  セットの「マンガ製造箱」に、例えば、見本として手塚治虫作品を入れると、「ウイン ウイン」と作動して、コンピューターが絵柄や作風を分析し、先生とそっくりの能力を身に付けることになった。

 

 この箱は手塚先生になったので、のび太がマイクで「SFマンガ! 迫力ある宇宙冒険物。笑いや涙も盛り込んで二百五十頁読み切り」と入力すると、「ドサ」と『スペースシンドバッド』という作品が完成して出てきた。

 

  しかも、原稿料ただで。たくさんの原稿を入力して、次から次と作品を作り、その中にのび太の作品を一本だけ入れることにした。

 

 マンガがそろったので、企画のアンケートを実施すると、「見つからないカンニング法の特集、ピンク・レディーの百のひみつ、ヌードのグラビア、フロクに毎週少年サンデーをつけろ、とじこみフロクに一万円札」など、かってな要求が多かったけれども、読者の希望をできる範囲で取り入れることにした。

 

 「編集ロボット」のアドバイスにより、表紙にはしずちゃんを起用することに決めた。フロクには、ほんとに乗れる実物大組み立てヨットをつけて発売することにした。人気絶大であったので、アッという間に全部売り切れてしまった。

 

 のび太は「あれにのせたぼくのまんがはとっておきの自信作だったよ」と、ドラえもんに楽しげに報告していた。「編集ロボット」が読者の声を持ってきてくれた。

 

  その声には、「すばらしい雑誌だ、のび太のまんががなければもっとすばらしい。これからも買いたいと思う。ただしのび太の連載をやめれば。のび太のまんがをとりはずせるようにしてくれ」と書かれてあった。それを読んだのび太は腕組みをして、「もうやめたもうださいない!」と、悔し涙を流すことになった。

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