ご先祖さまがんばれ[★★★]

[初出誌] 『無題』、「小学三年生」19706月号、16頁、88コマ

[単行本]  『ご先祖さまがんばれ』、「てんとう虫コミックス ドラえもん第1巻」197481日 初版第1刷発行、16頁、92コマ

[大全集] 『ご先祖さまがんばれ』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 12009729日 初版第1刷発行、16頁、92コマ

 

【初出誌vs.大全集】

 タイトル『無題』が『ご先祖さまがんばれ』に変更

 「む!たのもしいやつじゃ」が「むっ、たのもしいやつじゃ」に変更[356(1)]

 「かん心してちゃこまる」が「感心してちゃ困るよ」に変更[356(3)]

 

 「なに-っ、おらもいくさに!?」、「そして、えらくなるんだ」が「なぬうっ、おらもいくさに!?」、「そして出世するんだ」に変更[356(4)]

 「やだ、やだぁ~おら、おっかねえこときらいだよぉ」が「やだやだ。おら、おっかねえこときらいだよお」に変更[356(5)]

 

 「ぜしぜしよろいととりかえてくんろ」が「ぜひよろいと取りかえてくんろ」に変更[358(4)]

 「す、すげえ」が「す、すごい」に変更[359(1)]

 「メリ メリ」「バリ」コマ挿入[362(1)]

 

「行くぞお!!」コマ挿入[362(2)]

「とのさまとスネ丸をすくったのは、じぶんだとはっきりいうんだよ」コマ挿入[363(4)]

「これで、うちの先祖はきっと家老になれる」コマ挿入[363(5)]

 

「これで、うちのせんぞはきっと、とのさまになってるね」が「ひょっとして、とのさまになってるかもしれないよ」に変更[363(6)]

「わあい、生まれてはじめてイノシシをとった」が「ワーイ、生まれてはじめてイノシシをとった」に変更[364(7)]

 

 [梗概]  スネ夫の先祖は家老であったので、家宝の刀を見るときには、スネ夫はみんなに刀の前で「ははあっ」と礼をすることを強要している。ジャイアンも、のび太も、ときにはしずちゃんもそうした扱いに対して、嫌悪感や不満をあらわにしていた。

 

のび太がパパに先祖の話を聞くと、野比家の先祖は鳥や獣を取って細々と暮らしていた狩人らしかった。ドラえもんはスネ夫の先祖の話を聞いて、「負けてたまるか!!」と激高し、「タイムマシン」に乗って、「うちも家老。いや、とのさまにしてやる」と意気込んで、のび太と戦国時代へ出掛けている。

 

 「タイムマシン」を降りて、しばらく歩いていると、ドラえもんの頭に一本の矢が「ブスリ」と刺さり、「ワーイ、初めてぼくの矢が当たった。大ダヌキだ」と叫びながら、さえない狩人が飛び出してきた。

 

  尋ねると、目の近いのび作という狩人であった。そこへ、イノシシが「ドドドッ ドドッ」と突進してきて、三人は崖の端まで追い詰められたが、狩人はおとなしい鳥や獣しかつかまえてことがないといって、なすすべを知らなかった。

 

  しかし、スネ夫そっくりのお侍が一本の矢で「ゲボ!」とイノシシを射止めている。そこへ、「スネ丸出陣じゃ」と父上がやってきて、二人は颯爽と戦場に出掛けている。


 狩人ののび作にいくさの話をすると、家に閉じこもって、「やだやだ、おら、おっかねえこときらいだよお」と話しにならないくらいだらしない男であった。

 

  そこで、ドラえもんはのび作そっくりののび太が手柄を立てて入れ代わるという作戦に変更した。そこへジャイアンそっくりのお侍がやってきたので、当時の宝物であったビー玉といくさに必要なものを全部取り替えてもらった。


 のび太はお侍の姿に着替えて戦場に出ると、矢が飛んできて大地に「グサリ グサリ」と刺さったので、「キャッ」と叫んで茂みに隠れてしまった。

 

  心配になったドラえもんはのび太に「タケコプター」、『透明マント』、『スーパー手袋』を授け、「手近のとのさまをつかまえて、相手のとのさまにわたせば、いくさはおしまい」といった、きわめて適当なアドバイスを与えて戦場に送り出している。


 姿を消して、近くの殿さまを捕まえて、日の丸の扇子を持った別の殿さまのところへ持っていくと、あっぱれと称賛され、望み通りのご褒美を与えると言われた。そこへ、スネ丸が生け捕りされてやってきた。

 

  殿さまがスネ丸をきりすていと命令するので、「殺すことないでしょ。かわいそうじゃない」と抗議すると、「こやつもきりすてい!!」と部下に命令するので、のび太は「スーパー手袋」を使って近くの大木を引き抜いて、敵を蹴散らすことに成功した。

 

 スネ丸と捕まえた殿さまを運びながら、別の殿さまの味方をしようと決心していたが、のび太は敵の旗竿の「+ - X =」の記号を見て、突如、今日の「算数の宿題」を思い出した。

 

  二人を戦場に残し、三つのひみつ道具をのび作に与え、自分が殿さまとスネ丸を救ったとはっきりいうのだと伝言して、「タイムマシン」で家に帰ってきた。


 今頃うちの先祖様はもしかして殿さまになっているかもしれないと思って、『タイムテレビ』で確認することにした。テレビの画面では、スネ丸が「せっしゃが殿さまをお助けした」と進言し、殿さまにあっぱれと称賛されていた。

 

  一方、のび作は偶然落石の当たったイノシシの前で、「ワーイ、生まれてはじめて、イノシシを取った」と大騒ぎしていた。このシーンを見て、のび太もつくづく、狩人ののび作は「ダメな人」だと思わざるをえなかった。
[S0124A0108037006]