愛妻ジャイ子!? [★★★]

[初出誌] 『無題』、「小学三年生」19702月号、16頁、113コマ

[大全集] 『愛妻ジャイ子!?』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 12009729日 初版第1刷発行、16頁、113コマ

 

 [梗概] しずちゃんから、面白いゲームを誘われたが、ドラえもんに尻を「ギュ」とつねられたので、のび太は「べんきょうしているからあとで」と断っている。ドラえもんから「うんとべんきょうしてえらくなって」、セワシからも「われわれ子そんにめいわくをかけないでね、おじいさん」と言われている。

 

 セワシが孫の孫であると自己紹介したので、のび太は自分も将来結婚して、お嫁さんをもらうのではないかと想像した。お嫁さんは「ひょっとしたらしず子さん…」かと尋ねると、セワシは「ジャイ子」だと答えた。

 

そして、ドラえもんが野比家に伝わるアルバムを差出し、ジャイ子との結婚写真を見せてくれた。のび太は「うそだ!!」と絶叫し、ホウキで二人を追い返そうとしている。

 

 セワシは『タイムテレビ』で20年後の壮絶な夫婦げんかの映像をのび太に見せた。のび太は「い、いやだ。こんなのいやだ」と訴えると、ぼくらだって困る。だからそうならないようにお手伝いしたいと、二人は申し出た。

 

のび太が「うんめいがかわったら、きみは生まれてこないことになるぜ」と質問すると、セワシは「心ぱいいらない。ほかでつりあいをとるから。れきしのながれがかわっても、けっきょくぼくは生まれてくるよ」と答えている。

 

 セワシが「タイムマシン」で帰ったあと、ドラえもんはのび太を連れ出し、ジャイ子に嫌われる作戦を展開した。ドラえもんにジャイ子が嫌うことをするように言われたが、なかなかできず、かえって、ジャイ子から「のびちゃんなんて、いいとこひとつもないじゃんウハハハ」と笑われてしまった。

 

 ドラえもんの指示にしたがい、のび太がジャイ子を「チビデブ」と言うと、「ギュ」と足を踏まれてしまった。「なぐりかえせ」との指示で、ジャイ子を殴ろうとしたら、ジャイアンが出てきたので、思わず、ジャイ子の頭にほこりがついていると言いながら、「パッパ」とはらったりしていた。

 

  逆効果になり、ジャイ子から「なかよくししてやろう」とまで言われてしまった。

 

 のび太がなにをやってもだめだなあと嘆くので、ドラえもんは軽蔑されたり、みっともないことをしたり、うんとばかにされたり、くだらない奴だと思われたりするアイディアを与えると、のび太は「そんなことできるか! もういやだぼくかえる」と言い出した。

 

  そこで、25年後、のび太が家出して、ジャイ子に見つかり、ズルズル引っ張られる姿を「タイムテレビ」で見せられた。

 

 のび太が「学校の成績も、スポーツも、顔もハンサムでない」と告げると、ジャイ子はさらに「うたえばおんちだし、ぶきちょうであわてんぼで、わすれっぽくてこんきがなくて」と付け加えたので、さすがののび太も「キー」と切れてしまった。

 

  追い掛けるとジャイアンが現れ、土管のある広場で決闘することになった。「ボカッ ドスッ ボギュ」と殴られている最中、ドラえもんが救い出し、「タケコプター」で空中に避難した。

 

 のび太はドラえもんに、「ほっといてくれ。ぼくのうんめいはぼくの手でひらくんだ」と強情に主張した。ドブに落ちても、「ぼくはもうびくびくするのはやめた。まけてもいいから、力一杯ぶつかってやるんだ」と宣言すると、ジャイ子から「パチ パチ」と拍手を受け、尊敬しちゃうと言われてしまった。

 

 のび太はジャイ子に「そんけいされたの、はじめてだ」と楽しそうに語りながら、一緒にそろって家に帰って行った。ドラえもんも「ま、まずいよこりゃ。ぼくのてにおえない」と「タイムマシン」に乗って、セワシの所へ帰ってしまった。

 

 セワシは二十二世紀のテレビを見ながら、のび太は今までになかった強さが出てきたと評価していた。画面が変わって、ずぶぬれになってママに「ああんおかあさん」と泣き崩れているのび太を見て、セワシも「やれやれ、さきがおもいやられるよ」といった感想を漏らしている。

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