机からとび出したドラえもん[★★★]
[初出誌] 『無題』、「小学三年生」1970年1月号、15頁、104コマ
[単行本] 『机からとび出したドラえもん』、「藤子不二雄ランド ドラえもん短編第1巻」1984年6月8日 初版発行、15頁、104コマ
[大全集] 『机からとび出したドラえもん』、「藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん 1」2009年7月29日 初版第1刷発行、15頁、104コマ
【初出誌vs.大全集】
タイトル『無題』が『机からとび出したドラえもん』に変更
「そうだ、しず子ちゃんのうちへ行こう」、「そうだ、しず子ちゃんの……」が「そうだ、しずちゃんのうちへ行こう」、「そうだ、しずかさんの」に変更[65(5)]
「しず子ちゃんとはなしていると、たのしくなるんだ」が「しずちゃんと話してると楽しくなるんだ」に変更[65(6)]
「くよくよしているところ」が「くよくよしてるところ」に変更[66(4)]
「すごいじゃない」が「すごいじゃな」に変更・校正ミス[71(5)]
[梗概] この作品の登場人物のプロフィール欄で、ドラえもんは「未来の国から来たできそこないのロボット」、おとうさんとおかあさんは「あまくてぜったいのび太をおこらない」、しずちゃんは「しずか」と紹介されている。
のび太はパパとママからたくさんのお年玉をもらったので、机の引き出しにしまおうとすると、突然飛び出てきたセワシから、「年に一度のお年玉がたったの50円! おねがいだからもっとしっかりしてよ。おじいさん」と抗議されてしまった。のび太がママから呼ばれたので、セワシは引き出しに消えてしまった。
のび太は全くチンプンカンプンで、引き出しを調べても以前と全然変わりがなかった。しばらくすると、今度はドラえもんが引き出しから出てきて、セワシを探し出した。二人が一緒になると、セワシはのび太の孫の孫、つまり、のび太はセワシのおじいさんのおじいさんであると判明した。
セワシは「タイムマシン」で来たら、のび太の机の引き出しに到着したことを説明している。セワシの『タイムテレビ』での調査によれば、のび太は「スポーツもだめ、ジャンケンさえ勝ったことがない、お金を持てば落っことす、道を歩けばどぶに落ちる、あわてんぼうで、根気がなくて、お人よしで、なにをやってもだめ!」と、セワシが詳細に語り出した。
のび太は顔を真っ赤にして、「人をばかにして!」と、バットを振り回しながら、「かえれ!」と怒鳴っている。
「あ、あ、あんまりほんとうのこというな」と「カッカ カッカ」し、面白くないので外に遊びに出かけた。のび太がしずちゃんの家へ遊びに行こうとすると、どぶに落ち、のび太のとなりで一緒に行動する学生を目にした。
「タイムテレビ」で映し出された九年後ののび太の姿であり、大学をすべってくよくよしているところだと、セワシから説明された。
のび太がしずちゃんの家で、ジャイアンやスネ夫とトランプをすると完敗で、悔しくてお茶を飲んでいると、玄関にお客さんが来たので、出てみた。すると、会社をクビになって、ゴムひもや歯ブラシを売る押し売りだった。「タイムテレビ」によれば15年後ののび太の姿であった。
さらに、20年後には、宝くじにあたって小さな会社の社長になり、パリッとした服装で現れた。しかし、一年後にはつぶれ、無精ヒゲを生やして、手にカンヅメの缶を持ちながら、お金を恵んでもらっている姿が映し出された。
「その時の借りた金があんまり多くて100年かかって返しきれない。だからぼくのお年玉も50円」とセワシは訴えている。それを聞いて、のび太は卒倒してしまった。
目覚めると、「ぼくはもう生きているのがいやになったよ~」と嘆き悲しむので、ドラえもんは「未来を変えることもできるんだ」と元気付けた。さらに、のび太が困った時、未来の便利な道具を取り出し、助けてあげると、約束してくれた。ドラえもんはセワシから「ロボットとしてできのいい方じゃないからな」と言われながらも。
セワシが帰ったあと、のび太もトランプに勝ったことがないので、帰ろうとすると、ドラえもんは『透視メガネ』を取り出してくれた。ドラえもんも自分のシッポを引き、そして、自分の姿を消して、のび太のトランプをアシストした。
スネ夫から一等賞はミカンにしようと提案された。のび太がこのメガネをかけると、相手の手の内をすっかり見通すことができたので、連戦連勝になり、すべてのミカンを獲得してしまった。
帰りに、ドラえもんから「ぼくは役に立つだろ」と尋ねられたので、「うん」と答えた。さらに、ぼくがついている限り安心だと話している時、ドラえもんはドブに落ちてしまった。のび太は「ぼくににたようなもんだな」と認めざるを得なかった。
[S0104・I0115・037001]