空間入れ替え機とチョーク[★★]

【道具解説】 ひみつ道具である『空間入れ替え機』を使うと、「チョーク」で囲った部分を他の場所と入れ替えることができる。

 

【使用目的】 スネ夫が北海道の夕日岳から、今「フワ フワ」の雪の中でスキーを滑っている電話を入れてきた。のび太ひとり滑れなくて恥をかくので、ドラえもんに「空間入れ替え機」を出してもらっている。

 

【使用結果】 ドラえもんはのび太の部屋を「空間入れ替え機とチョーク」でできるだけ広くくって、夕日岳のゲレンデを持ってくることにした。ドラえもんは「いつものようにすぐいやになって、投げだすなよ」と釘を刺して、どこかへ行ってしまった。

 

  のび太はスキーをはいて「ヤッホー!!」と叫びながら、滑り出すと、「ツル ゴロ ゴロ ゴロ」といつものように転がり出した。さらに、調子が出たと思ったら、「ドン」と本棚に激突してしまった。

 

 二階に上がってきたママから、手紙の投函を頼まれたが、体が痛くてそれどころでなかったので、夕日岳の代わりにポストを呼び出すことにした。うまく用事を済ますことができたので、空き地を出したり、しずちゃんの部屋を出したりした。しずちゃんが世界中の地図を持っていたので、パリのシャンゼリゼ大通り、アマゾンの原始林、エベレストの頂上、アフリカのサバンナの一部を次から次へと出して楽しんでいた。

 

 ハワイのワイキキビーチで泳ぐことになり、しずちゃんが泳いでいるかたわらで、のび太は浮き袋に腰を落とし、のんきに「アロハオエ~」と歌っていた。帰ってきたドラえもんに怒鳴られてしまったが、のび太に狭くて、スキーなんかできるわけがないと言われたので、それももっともだと思い、今夜うんと広い夕日岳を持ってくることにした。

 

 夜になると、チョークで公園をスッポリ囲んで、公園を雪山に替えてしまった。一面の銀世界で滑っても、相変わらず、「ゴロ ゴロ」の連続であった。のび太が「ねえドラえもん、ぼく、思うんだけど…。もう少しうまくなってから練習したほうが…」と甘ったれるので、ドラえもんは厳しくにらみつけて、死の特訓を開始した。

 

 厳しい指導のため、のび太の「死ぬう。たすけてえ」の悲鳴は何度何度も、広いゲレンデにこだましていた。一方、スネ夫の一家は道に迷ってロッジに帰れない状態になっていた。ママが「ゲレンデなんかつまらない、ツアースキーをやろうなどと、キザなこというからざます!!」と腹を立てて叱りつけると、スネ夫も「キザは親ゆずりだい!!」と反論している。

 

 明日になると、パパは会社の仕事、ママはPTAのお茶の会、スネ夫は学校だと騒いでいると、目の前に一台のタクシーがやってきたので、パパが「夕日岳のロッジまで」と頼むと、運転手は「夕日岳のロッジってどこの?」と尋ねるので、パパと運転手の間で、「北海道の大雪山山系の夕日岳に決まってるでしょうが。タクシーじゃ、料金が大変ですよ。金にはかえられない。やってくれ!!」といった会話が続いた。

 

 のび太が「やだよ、もう」と泣き出すので、ドラえもんが「根性がないなあ。もとにもどすよ」と言って機械を操作していた。そのとき、かたわらの道路を走るタクシーから「はやく! はやく!」という声が聞こえてきた。

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