落とし物カムバックスプレー[★★]

【道具解説】 ひみつ道具である『落とし物カムバックスプレー』を吹き付けると、「おとしても、わすれても、なくしても、かならず、もち主の家へ帰ってくる」

 

【使用目的】 本棚にあったマンガの雑誌や本を一冊残らず、ママはけさのゴミ集めに出してしまった。「いくらいっても、勉強しないからです!!」がその理由であった。のび太は「ああ…、ぼくは生きるのぞみをうしなった…」と泣き崩れた。

 

  ドラえもんから「いつかはこうなると思っていたよ。ちゃんと勉強してれば、こんなことにならなかった」と言われると、のび太は「してるよ。前より一日五分よけいに勉強してる。きょうからもう五分、ふやそうと思ってたのに…。あんまりだぁ!! う、う、う…、おいおいおい…」とタタミを叩いてくやしがっていた。

 

  すると、ドラえもんが「安心しな。まんがは、もうすぐ帰ってくるから」と耳打ちしてくれた。ドラえもんがひみつ道具『落としものカンバックスプレー』をあらかじめ本にかけておいてくれたので、「バサ バサ バサ バサ バサ」とかわいい本が全部返ってきた。

 

【使用結果】 のび太は持ち物全部にこのスプレーをかけ、ママが入ってきた時には買い物かごにもかけてしまった。お使いを頼まれたが「べーだ!!」と断り、「なによ、その態度は!! ガミ ガミ ガミ」と叱ったが、ママがビックリするほど強情で、「まんがをすてたの、うらんでいるのね」と買い物に出掛けた。

 

  しずちゃんにこの便利なスプレーを見せようと思って、出掛けると、しずちゃんはスネ夫から「すてきなビデオをみにこないか」と誘われていた。のび太はこなくていいといわれたが、しずちゃんから「そんないじわる、いわないの!!」と注意された。

 

  スネ夫はうちきれい好きだから、部屋をよごさないようにと何度ものび太に告げていた。そして、三人でホームビデオを見ることになった。緑が原でキャンプをし、スイカをバカバカ割ったり、ガバガバジュースを飲んだり、ドカドカ花火を打ち上げて楽しんでいるビデオであった。

 

 ビデオの中で、でーっかいクワアガタやカブトムシの話になり、いとこなんか二十匹も捕まえたと聞かされたので、のび太はタケコプターを使って、緑ヶ原キャンプ場にひとりで出掛けた。おじさんから「カブトムシは動き回るのは、夜中から明け方にかけてだよ」と教えてもらった。

 

  おじさんが「毎日ひろってもひろっても、きりがない。でも、お山がかわいそうでな…」と、ゴミをひとつずつ拾ってかごに入れていた。のび太も「ほんとにそうだ!! めいめい、自分のごみだけでも、かたづけて帰りゃいいんだよ」と腹を立てていた。のび太は「キャンピ場の回りに、スプレーして…。みんなそれぞれのもち主の家に帰りなさい」と命令していた。

 

 ママはドラえもんと買い物かごから消えた財布、ハンコといった大事なものを、懸命に探したがどうしても見つからなかった。のび太がママに「二度とまんがをすてないと約束するなら、みつけてあげるよ」、「する! する! ぜったいにすてないから…」となり、いっしょに家に帰ると玄関に大事なものがすでに帰っていた。

 

  のび太はさっきママの買い物かごに、スプレーをかけたことをしっかり覚えていたためである。スネ夫が家にいると、「ザ・ザ・ザ…」と大きな音がきこえたので、客間に行ってみると、キャンプ場に捨てた物が帰ってきた。それを見て、スネ夫は「わーっ、うちはきれいずきなのに!!」と叫んでいる。

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