黄金バット[★★]
【道具解説】 ひみつ道具の『黄金バット』は、「ふりまわしさえすればかならずあたる」
【使用目的】 のび太は庭で黙々と「ブルン ブルン」と素振りを繰り返していた。野球に負けたのはのび太のせいであり、その上、「のび太くんは野球にむかないと。みんなのためにチームをしりぞいて…、女の子とあやとりでもやってろ」と言われてしまった。「こんなにばかにされてひっこんでいられるか。ぼくは名選手になって、みんなをみかえしてやりたい!」というのが、素振りの深いわけであった。
しかし、いつものようにのび太は「野球のうまくなる道具を出して」と頼むと、ドラえもんから、「自分の力だけでやってみようと思わないの?」と説教されてしまった。すると、のび太は「お説教聞きたくてそうだんしたんじゃない。ぼくがくやしい思いをしていれば、きみもいっしょにくやしがって…」としんみりなみだを流して語り出した。しばらくすると、背後からひみつ道具の『黄金バット』などがのび太の目の前に投げられた。
【使用結果】 のび太が孤軍奮闘したが、一回に十三点も取られてしまった。わたし打てるかしらという女の子に「黄金バット」を貸すと、ジャイアンの「ギイン」と投げる剛速球を「ガン」と打つことに成功した。女の子がみんなに「見て見てすごいあたり」と叫んでいるので、一塁に走ってもアウトになってしまった。
次のバッターは「ガアン」と打ったが、一塁に走らないで、三塁に走ったため、アウトになってしまった。三番目の着飾った女の子は「シズ シズ」と歩くので、のび太は「すべりこめっ」と怒鳴ってしまった。アウトになった女の子は「そんな、お洋服よごしたらおかあさまにしかられるのよ…。ひどいわ…」とハンカチを目に当て、「グスン」と泣き出してしまった。
すると、「なんだよさっきからのたいどは!」と首根っこをつかまれ、「そうよそうよ。ヒステリーみたいにきゃんきゃんどなりちらして!」と猛反撃を受けた。
しずちゃんが楽しそうにボールを「カーン」と打っているかたわらで、涙を流しているのび太に対して、ドラえもんは「みんながいうことには、ぼくはかんとくにむかないから、ひとりでもしてろといわれたの。かわいそうに」とハンカチを出して、のび太の涙をふこうとしていた。
[S04328・A07026・047412:332]