遠写鏡[★★]
【道具解説】 ひみつ道具である『遠写鏡』に写った画面を、他の鏡にも映し出すことができる。映し出す範囲は家の中から町中まで自由に調整できる。この鏡を自動にセットしておくと、鏡をのぞいた時にだけ写すこともできる。さらに、同じ画面を繰り返し映し出すこともできる。
【使用目的】 ドラえもんはひみつ道具『遠写かがみ』を使って、実験をしていた。この鏡に写った画面をほかのかがみにも写しだすことができる。ドラえもんがこのかがみにゆうれいを写していたので、のび太とママが鏡台を見ると、ゆうれいが写っていたので、「キャアー」と叫んで、「ドタ ドタ」と逃げ出すことになった。
【使用結果】 「遠写かがみ」はせいぜい人を脅かすぐらいしか用途がないので、ドラえもんはトンカチで壊そうとしていた。のび太はおもしろい使い道を考えるため、しばらく借りることにした。テレビを見ていて、のび太は「遠写かがみ」をコマーシャルに使えることに気づいた。
次の日、スポンサー探しに出掛けたが、契約してくれる店が一軒もありませんでした。のび太がションボリしていると、ドラえもんは無料サービスで一軒の店のコマーシャルを、流すことを提案している。裏通りにあって、あまりはやっていない店に的を絞り、オンボロで今にもつぶれそうなあばら屋が選ばれた。
表通りにきれいな商店街ができてから、お菓子の味に絶大な自信があっても、さらに、店はきれいでほこりひとつ落ちていなくても、客足がバッタリとだえてしまったと、店の主人は嘆いている。押すな押すなとお客が詰めかけるように、かがみのボリュームを最大にセットして、町中にCMを流した。
のび太のパパがひげを剃っていたら、突然、ドラえもんが鏡いっぱいに、「あばら屋のまんじゅうは、おかしの三かん王です!」と言いながら現れた。喫茶店の窓ガラスでは、のび太が「うまい! 大きい! 安い!」と叫んで、アベックを驚かしている。ドラえもんは鏡台に、「あばら屋のドラヤキで、百円玉はかえません。あしからず」と登場している。のび太は水たまりに登場し、「あばら屋 あばら屋 あばら屋」と叫んで、しずちゃんに「エッチ!」と言われている。
お客さんがとんと店に現れないので、のび太はCMの結果を調べに出掛けた。予想に反して評判が悪く、「みんなおこって、あばら屋の菓子なんか買うもんかと…」といきり立っていた。店の主人から、ドラえもんとのび太は「はじめから気がすすまなかったんだ! たのみもしないのに、よけいなことを。どうしてくれる」と拳を振って怒られることになった。
ドラえもんとのび太が「ぼくらのせきにんだ。ごめんなさい。わ~」と泣いてお詫びすると、主人は「店をやめようと思っていたところだった。よかったら店の菓子、すきなだけ食べてってくれない」かと言われた。ドラえもんが「いっぺんドラやきを、山のようにたべてみたかったよ」と、とてもおいしそうに「パク パク」と食べた。
さらに、のび太は「こ、このきんつばのうまいこと」、ドラえもんも「このだんごだって!」と大きな口をあけて、とても楽しげに食べているシーンが窓ガラスやお風呂屋の鏡や鏡台にクローズアップして何度も何度も写しだされた。そのため、町の人たちもぜひ食べてみたくなり、あばら屋にお客さんが殺到し、店は大繁盛となった。
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